ファイザー 新型コロナ飲み薬の承認を厚労省に申請

アメリカの製薬大手ファイザーは、新型コロナウイルスの飲み薬の承認を厚生労働省に申請しました。承認されれば飲み薬としては国内で2種類目です。

承認申請が行われたのは、ファイザーが開発した新型コロナウイルスの重症化を防ぐための飲み薬「パクスロビド」です。

ファイザーは、日本国内での使用に向けて14日、厚生労働省に承認を申請しました。

先月、ファイザーが公表した臨床試験の最終的な分析では、重症化リスクのある患者に発症から3日以内に投与を始めた場合、入院や死亡のリスクが89%低下したとされています。

また、オミクロン株に対する効果についても、実験室で確認したところ増殖を抑える効果がみられたとしています。

日本政府はファイザーから200万人分の供給を受けることで基本合意していて、今後、有効性や安全性を審査したうえで来月中の早い時期の実用化を目指すとしています。

承認されれば、新型コロナウイルスの飲み薬では先月下旬に承認されたアメリカの製薬大手メルクの「ラゲブリオ」=一般名「モルヌピラビル」に続いて2種類目です。

パクスロビドは、先月、EMA=ヨーロッパ医薬品庁が正式な承認はしていないものの、緊急時などに重症化リスクの高い成人に使用できるとする見解を発表したほか、アメリカFDA=食品医薬品局が正式な承認の前に薬を使用できるようにする「緊急使用の許可」を出しています。

飲み薬「パクスロビド」とは

「ファイザー」が厚生労働省に承認申請した新型コロナウイルスの飲み薬「パクスロビド」は、新型コロナウイルス向けに開発した抗ウイルス薬と既存の抗エイズウイルス薬を組み合わせたものです。

先に承認されたアメリカの製薬大手メルクの「ラゲブリオ」=一般名、モルヌピラビルと同様、細胞内に侵入したウイルスの増殖を抑えるタイプの薬ですが、作用のメカニズムが異なり、ウイルスが自身のRNAをコピーして増える準備段階で働く酵素を機能しなくすることで増殖を抑えます。

アメリカでは、先月22日にFDA=食品医薬品局が「緊急使用許可」を出していて、投与の対象となるのは、軽症から中等症の患者で、12歳以上の重症化のリスクが高い人とされ、感染が確認されたらなるべく早く、症状が出た場合は5日以内に、一日に2回、5日間、服用するとしています。

会社が12月14日に公表した治験の最終的な分析結果によりますと、重症化リスクのある患者に対して発症から3日以内に投与を始めた場合には入院や死亡のリスクが89%低下し、発症から5日以内に投与を始めた場合でも、88%低下したとしています。

副作用について、薬の服用後に有害事象が出た割合は、薬を服用した人たちと偽の薬を服用した人たちで頻度は変わらず、ほとんどが軽かったとしています。

また、実験室での分析の結果、オミクロン株に対しても「強い抗ウイルス活性を維持する可能性が示唆される」としています。

新型コロナウイルスの治療に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「治療の選択肢を増やせる点で意義は大きい。今後、薬に耐性があるウイルスが出る可能性もあり、作用のメカニズムが異なる複数の薬が実用化されることは重要だ」と話しています。