新型コロナ専門家会合「今後も急拡大が継続するおそれ」

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、オミクロン株への置き換わりで都市部だけでなく各地で経験したことのない速さで感染者数が急速に増加し、今後も急拡大が継続するおそれがあるとして、感染対策への協力を求めるとともに、医療機関や福祉施設、自治体や交通機関などで、業務継続計画の早急な点検が必要だと訴えました。

専門家会合は、現在の感染状況について、「まん延防止等重点措置」が適用されている沖縄県、山口県、広島県を始め、首都圏や関西などの都市部だけでなく各地で「これまでに経験したことのない速さで新規感染者数が増加している」と指摘し、大部分の都道府県でオミクロン株の市中感染が拡大し急速な置き換わりが進んでいるとしています。

そのうえで年末年始の帰省や3連休で人の移動やふだん会わない人との接触、それに気温の低下に伴う屋内での活動が増えていることを踏まえ「今後も感染の急拡大が継続するおそれがある」とする見通しを示しました。

また、全国で療養者数が急増し、重症者の数も増加していて、現在の若者中心の感染拡大で療養者数が急激に増加した場合には軽症や中等症の患者への医療体制がひっ迫する可能性があり、今後、高齢者に感染が波及することで重症者数の増加につながる可能性があるとしています。

医療機関や福祉施設などでは多くの職員や家族が感染したり、濃厚接触者になったりすることで欠勤して業務が難しくなる事態も起きているとして、濃厚接触者の待機期間を見直すとともに、医療機関や福祉施設、自治体や交通機関などでの業務継続計画の早急な点検が必要だと訴えています。

さらに、オミクロン株について、国内では、これまでのところ多くの感染が従来のウイルスやデルタ株と同様飲食の機会で起きていて、飛まつや接触などを介した感染経路は変わっていないとしていますが、感染力が強いため、1つの密でも避けるとともに、マスクの正しい着用や手指の消毒、換気などの基本的な感染対策が重要だとしています。

また、自分自身や家族の命を守るため、軽度の発熱やけん怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えて積極的に検査を受け、医療体制のひっ迫が懸念されるような急速な感染拡大が見られる地域では、より慎重な判断と行動をとるよう求めました。

新規感染 全国で前週と比べ8.54倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、12日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて8.54倍と、これまでにない急速な感染拡大が続いています。

まん延防止等重点措置が適用されている地域では、広島県が9.57倍、山口県が3.64倍、沖縄県が7.56倍と急増が続いています。

首都圏の1都3県では、東京都で8.47倍、神奈川県で9.69倍、千葉県で9.39倍、埼玉県で11.04倍と急増しています。

関西でも、大阪府で8.20倍、京都府で6.18倍、兵庫県で10.58倍、中京圏でも、愛知県で12.04倍、岐阜県で6.81倍、三重県で37.14倍と急激な増加となっています。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると、沖縄県が最も多く605.46人、広島県が135.01人、山口県が81.44人、大阪府が65.35人、東京都が57.24人、また全国では41.48人でした。

脇田座長「隔離期間の短縮案 早急に取りまとめたい」

厚生労働省の専門家会合のあと記者会見に出席した脇田隆字座長は、オミクロン株に感染した場合などの隔離期間について「きょうの会合で、さまざまなデータなどが報告され、隔離期間を短縮するのにどういった案が適切かについて多くの意見が出た。会合では具体的な日数について結論は出ていないが、早急に取りまとめて示していきたい」と述べました。

そのうえで、専門家の間では大筋で合意しているとして、具体的な提言としてなるべく早く取りまとめる方針を示しました。

また、オミクロン株の症状について、脇田座長は「これまでのウイルスやデルタ株では、下痢やおう吐、食欲不振、嗅覚・味覚障害が特徴的だったが、オミクロン株ではそうした症状は少なく、発熱やせき、のどの痛み、鼻づまりやとう痛、全身のけん怠感などかぜのような症状が多い。また、広島県からの報告によるとワクチンを接種した人と接種していない人で症状の差はないのではないかということだった」と話しました。

そのうえで、高齢者の感染が比較的多い大阪府ではすべてがオミクロン株とは確定していないものの、重症者も出ているなどとして、今後、各地で高齢者に感染が広がると重症者が増加するおそれがあると指摘しました。