「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」会場変更へ

茨城県ひたちなか市で長年にわたって開催されてきた、国内最大規模の屋外音楽フェスティバル「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」について、運営側は、感染対策と両立させるためとして、ことしから千葉市に会場を変更することを決めました。

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」は、2000年から毎年夏に茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催されてきた、国内最大規模の屋外音楽フェスティバルです。

3年前は「Official髭男dism」「ももいろクローバーZ」「スピッツ」など250のアーティストが出演し、5日間で延べ33万人余りが訪れました。

しかし、おととしと去年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催が中止され、運営側はことしの開催について検討を進めた結果、ことしは千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」に会場を変更することを決めました。

変更の理由は、ひたち海浜公園は会場の構造上、ステージからステージに移動する観客の密が避けられない一方で、千葉市の会場は観客がステージを移動する必要がほとんどないうえ、動線が広く密になりにくいためなどとしています。

総合プロデューサーの渋谷陽一さんは「経営的にもギリギリで、ロック・イン・ジャパンを存続させるためには、この選択肢しかなかった。ただ、国営ひたち海浜公園には何十万人、何百万人の忘れられない思い出が詰まっており、25周年、30周年といった年でのひたちなか開催を模索したい」とコメントしています。

去年は感染対策示し開催発表も 拡大懸念で中止に

国内最大規模の屋外音楽フェスティバル「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」は、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で、2000年に初めて開催されました。

運営側の発表によりますと1回目の開催は2日間で、訪れた人は6万人余りでした。

その後、年々規模が大きくなり、3年前は250のアーティストが出演し、5日間で過去最多となる33万人余りの観客が訪れました。

しかし、おととしは新型コロナウイルスの感染拡大によって、初めて中止となりました。

去年、運営側は当初、8月7日から5日間の日程で開催すると発表し、来場者の距離を保つために一日当たりの収容人数を例年の半数以下に減らすほか、7か所あったステージを1か所にして人の移動を抑える、アルコールの持ち込みや歓声を含めて大声を出すことは禁止するなどの感染対策を示していました。

そのうえで、King Gnu、YOASOBI、あいみょんなどが出演する予定だと発表していました。

しかし、感染拡大を懸念した茨城県医師会などが中止や延期などを検討するよう要請し、主催者側は去年7月になって開催を中止すると発表しました。

ひたちなか市長「非常に残念」

ひたちなか市で開催されてきた「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の会場が千葉市に変更されることについて、ひたちなか市の大谷明市長は「ひたちなか市を代表するイベントの開催地が変更になったことは非常に残念でなりません。20年間、市でイベントを開催していただいたことに大変感謝しています。まずは、会社の経営を再び安定させていただき、周年開催など、新しい形での開催ができるよう、市としても全面的に協力してまいります」というコメントを発表しました。

茨城県 大井川知事「非常に残念 再び開催を」

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の会場が千葉市に変更されることについて、茨城県の大井川知事は「多くの県民に愛されてきた20年の歴史あるロックフェスが本県から移転することは非常に残念でならない。県として何とか引き続き本県で開催いただけないかと支援策を提案させていただいたが、コロナ禍での開催に多くの課題があるとして、苦渋の決断をされたと思う。今後、再びひたちなかで開催していただくことをお願いしたいし、その際には全面的に協力していきたい」というコメントを発表しました。

茨城県の人 「残念」「経済効果なくなるのが心配」

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の会場が茨城県から千葉県へ変更されることについて水戸駅前では残念だという声が相次ぎました。

水戸市に住む20歳の男性は「コロナが収まったら、いつか行きたいと思っていたので残念です。茨城県の魅力が少ないと言われる中で、大きな魅力がなくなってしまう気がします」と話していました。

ひたちなか市に住む高校1年生の女子生徒は「生まれたときから開催されていて、期間中は街がにぎやかになり、会場の音が自宅まで聞こえてきて『夏が来た』という感じがしていたので残念です」と話していました。

また、水戸市に住む53歳の男性は「開催され始めたころは、このような大規模なイベントは近くでなかったので、驚いたことを覚えています。経済効果がなくなるのが心配です」と話していました。

千葉市長「大変光栄に思っている」

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の会場が、茨城県ひたちなか市から千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」に変更になることについて、千葉市の神谷俊一市長は会見で「国内最高峰の音楽イベントと思っており、新しい会場に選んでいただいたことを大変光栄に思っている」と述べました。

そのうえで、神谷市長は「蘇我スポーツ公園は密にならない会場設定が可能となっており、主催者からは『万全の感染対策が可能な唯一無二の野外ロックフェス会場』と評価されている。運用面でも感染防止安全計画の策定など万全の対策を取ったうえで開催されるということであり、千葉市としても地域の理解を得ながら、ロック・イン・ジャパンがひたちなか市で積み重ねてきた20年の歴史を将来に引き継いでいく役割を果たしていきたい」と述べました。