正社員平均年収 前年同期比6万円減 コロナ禍で残業代減要因か

2021年8月までの1年間に転職サイトに登録した正社員の平均年収は、前の年の同じ時期より6万円減少したという民間の調査結果が発表されました。

なかでも20代から40代の収入の落ち込みが大きく、コロナ禍で残業代が減ったことなどが要因とみられています。

人材サービス会社の「パーソルキャリア」は、2021年8月末までの1年間に転職サイトに登録した20歳から65歳までの正社員、約45万人のデータをもとに平均年収を取りまとめました。

それによりますと、全体の平均年収は403万円で、前の年の同じ時期より6万円減少しました。

年代別にみると「20代」は341万円、「30代」は437万円、「40代」は502万円で、前の年と比べて7万円から8万円、それぞれ減少しました。

コロナ禍によるテレワークの普及や時短営業で残業代が減ったり、ボーナスが減額されたりしたことが要因とみられています。

一方「50代以上」は613万円で前の年と変わりませんでした。

50代以上は管理職が多く、残業代などの影響を受けにくかったためとみられています。

転職サイトへの登録者数も増加しているということで「パーソルキャリア」の喜多恭子さんは「コロナでグローバルに経済が止まった影響が給与に反映された。今回の調査結果は残念だが、将来の働く環境などを考えるうえで、気付きのある1年だったのではないか」と話しています。

専門家「“昭和の働き方”から脱却できていない」

こうした調査について、雇用問題に詳しい日本総合研究所の山田久 主席研究員は「本来は所定内の労働時間で基本的に仕事を終え、十分な基本給がもらえるはずだが、日本はいわゆる“昭和の働き方”から完全に脱却できていない。欧米では当たり前の原則を作っていく必要がある」と指摘しています。

そのうえで、今後の働き方については「人手不足となる中、企業はいかに人材を確保し、定着させていくかが重要になる。アフターコロナに向けて経済社会や産業の仕組みが変わる中、テレワークが普及し、副業を認める企業も出てきていて新しい働き方が見えてきている。企業側も働く側も新しい可能性を試し、変化を前向きに捉えることが大事ではないか」と話していました。