フィギュア 北京五輪代表に3連覇かかる羽生結弦ら10人が内定

来年2月に行われる北京オリンピックのフィギュアスケートの代表内定選手が発表され、男子シングルで3連覇がかかる羽生結弦選手などあわせて10人の選手が選ばれました。

日本スケート連盟は、26日まで行われた全日本選手権やこれまでの国際大会の結果などを受けて来年2月に行われる北京オリンピックの代表内定選手を発表しました。

男子シングルは、全日本選手権を制し、オリンピック3連覇がかかる羽生選手と、全日本選手権2位でピョンチャンオリンピック銀メダリストの宇野昌磨選手、それに、全日本選手権3位でことしの世界選手権で銀メダルを獲得した18歳の鍵山優真選手が選ばれました。鍵山選手は、オリンピック初出場です。
女子シングルは、全日本選手権で優勝しピョンチャンオリンピック代表の坂本花織選手と、全日本選手権で2位に入り、3年前の世界選手権で銀メダルを獲得した樋口新葉選手、それに全日本選手権3位でNHK杯でも2位に入った17歳の河辺愛菜選手が選ばれました。樋口選手と河辺選手は、オリンピック初出場です。

アイスダンスは、全日本選手権で大会4連覇を達成した小松原美里選手と小松原尊選手のカップルが選ばれました。

またペアは今シーズンの国際大会の成績などから三浦璃来選手と木原龍一選手のペアが選ばれています。

注目のアイスダンス 選考理由は…

日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は代表内定選手の選考理由を報道陣に説明しました。

このうち小松原美里選手と尊選手のカップルと、村元哉中選手と高橋大輔選手のカップルがそれぞれ候補に挙がっていたアイスダンスについては「競技力がきっ抗していて、さまざまな議論が行われた。それぞれのカップルが4つの選考基準のうち2つを満たしていて、そうであれば最後は全日本選手権のチャンピオンを選出しようという結論になった」と説明しました。

また、17歳の河辺愛菜選手が選出された女子シングルの3枠目は「河辺選手だけでなく三原選手と宮原選手などが候補に挙がり議論したが、最終的には将来も見据えて若い世代に頑張ってもらいたいと河辺選手を選出した。全日本選手権でもトリプルアクセルを決めて競技力も申し分ない」と話しました。

また、北京オリンピック前の来年1月にエストニアで行われる四大陸選手権については、ヨーロッパにおける新型コロナの新たな変異ウイルス、オミクロン株の感染拡大によるリスクを避けるためオリンピックの内定選手は派遣しないということです。

羽生「前回とは違った強さでオリンピックへ」

代表内定選手が発表された会見で羽生選手は、3連覇がかかる北京オリンピックについて「正直に言って、僕にとってはあまり考えていなかったオリンピックだが、ここにくるまでの過程、支えて頂いた方々への思い、現在も支えてくれる方への思いを踏まえて出ることを決意した。そして、全日本選手権で勝ち取った」とまっすぐに前を見つめながら話しました。

羽生選手は「出るからには、勝ちをしっかりとつかみ取って来られるように。また今回のような4回転半ジャンプではなく、きちんと武器として4回転半ジャンプを携えていけるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込みを話したうえで「もちろん、1位を目指してやっていくが、ただ、自分の中ではこのままでは勝てないことはわかっている。もちろん4回転半ジャンプへのこだわりを捨てて勝ちにいくのであれば他の選択肢はある。ただ、自分がこの北京オリンピックを目指す覚悟を決めた背景には、4回転半ジャンプを決めたい思いが一番強くある。4回転半ジャンプを成功させつつその上で優勝を目指して頑張る」と、あくまで4回転半ジャンプの成功を目指しながら北京大会での金メダルを狙う考えを示しました。

これまでのオリンピックとの違いを聞かれると「僕にとってはピョンチャン大会までが完全に夢の舞台だった。ソチ大会とピョンチャン大会で両方とも金メダルを取って2連覇して、僕が小さい頃から抱いた夢、目標を具体的なものにした。正直、3連覇はあまりに考えずに過ごしてきた」と話し、「3連覇という権利を有しているのは僕しかいない。もちろん、夢に描いていたものではなかったかもしれないが、この夢の続きをしっかり描いてあの頃とはまた違った、前回やその前とは違った強さでオリンピックに臨みたい」と引き締まった表情で締めくくりました。

宇野「自分が成長できるような舞台にできたら」

2大会連続のオリンピック代表に選ばれた宇野選手は「代表選手に選ばれてうれしく思うが、いまの率直な気持ちは全日本選手権で羽生選手や鍵山選手の演技を見て自分に足りないものを痛感し、いまは一刻も早く練習したい」と率直な思いを語りました。

そのうえで2回目のオリンピックに向けては「やはり僕はどの試合も2番手が多い。そこに悲観はしていないが、ことしはトップを目指して練習をしているので、トップを争える選手として名前が挙がる状態で臨みたい」と意気込みを話しました。

そして、「前回のオリンピックは緊張は全くなかったが、2回目は新たな感情が生まれるかもしれない。どんな心境になってもそれが自分の実力だと受け入れる覚悟は持っている。オリンピックはいい演技をする舞台ではなく自分が成長できるような舞台にできたらいい」と話していました。

鍵山「ノーミスで演技できるようレベルアップしたい」

初のオリンピック代表に内定した鍵山選手は「うれしい気持ちはあるが頑張らないといけない。いまの演技構成ではノーミスでもほかの選手には勝てないので、大会までに新しい4回転ジャンプをもう1種類練習して、そのうえでノーミスで演技ができるようレベルアップしたい」とさらなる成長を誓いました。

父でコーチの正和さんも出場したオリンピックへの思いについては「誰しもが小さいころからの夢で出たい舞台だと思う。自分もずっと出たいと思っていたし、ついさっき大会を終えるまでずっと目標に頑張ってきた。本当に大きな舞台だなと思っている」と話しました。

そのうえで「今のままでは実力不足なのは全日本選手権を通して感じたことなので、レベルアップができるようにしっかり練習して、団体戦も個人戦も全力を尽くして表彰台に上がれるよう頑張りたい」と意気込みを話しました。

坂本「すべてを出し切りたい」

女子シングルで2大会連続出場となる坂本花織選手は「オリンピックでは自分のベストの演技をするだけなので、しっかりとコンディションを整えたい。前回と同じぐらい緊張すると思うが、やるべきことをやってきた。経験してきたことを発揮できるようにすべてを出し切りたい」と意気込んでいました。

樋口「楽しめるように頑張りたい」

初出場の樋口新葉選手は「前回は出場することができずすごく悔しい気持ちで4年間を過ごしてきた。出場が決まってほっとしているのとうれしい気持ちでいっぱいだ。オリンピックでも自分らしい落ち着いた演技ができたらいいなと思う。小さい頃からの夢だったオリンピック出場なので、楽しめるように頑張りたい」と話していました。

河辺「練習するしかない」

初出場の河辺愛菜選手は「うれしい気持ちもあるが、実力不足だとすごく感じているので、オリンピックまでに今までよりも一生懸命練習して少しでも実力をあげられたらいいなという気持ちが一番大きい。自分が世界でどれぐらいの位置に入れるのかも分からないので、練習するしかない」と気を引き締めていました。

小松原美里「少しでも上に」尊「全力で頑張りたい」

アイスダンスで代表に内定した小松原美里選手は「このカップルを選んでよかったと思っていただけるようにさらなる高みに向かって練習していきたい。団体では一番足を引っ張る立場だとしっかり自覚して、少しでも上に上がれるようにしたい」と意気込みを話しました。

小松原尊選手は「とても光栄だ。オリンピックは小さい頃からとても大きな夢だった。いろいろなことを乗り越えてきた強さもあると思っているので、全力で頑張りたい」と話していました。

羽生結弦とは

羽生結弦選手は、宮城県出身の27歳。トリプルアクセルや4回転ジャンプなどを含め、質の高い演技で多くのファンを魅了する日本のエースです。

4歳からスケートを始め、東日本大震災では、練習拠点としていた仙台市のリンクが使えなくなりましたが、国内各地でアイスショーに参加しながら練習を続けました。

2011年のシーズンにグランプリシリーズの大会で初優勝するとともに、世界選手権では3位に入り、17歳で表彰台に上がりました。

その後、拠点をカナダに移し世界的に有名なブライアン・オーサーコーチのもとで力をつけ、2012年のシーズンには全日本選手権で初優勝を達成。翌年のシーズンは、グランプリファイナルで初優勝を果たすと、ソチオリンピックでは、世界選手権3連覇のカナダのパトリック・チャン選手を破って19歳で、日本の男子シングルで初となる金メダルを獲得しました。

その後、世界で初めてショートプログラムとフリーの合計で300点越えを果たし、2016年のシーズンにはグランプリファイナルで4連覇、世界選手権では世界最高得点を更新して優勝しました。

ピョンチャンオリンピックを控えた2017年のシーズンはNHK杯での練習中に右足首のじん帯を損傷しましたがオリンピック本番では質の高い演技を見せて、男子シングルで66年ぶりのオリンピック連覇を果たしました。

ピョンチャンオリンピックの後は、世界でまだ誰も成功していない4回転半ジャンプに取り組む一方、去年2月の四大陸選手権で初優勝し、オリンピック、世界選手権、グランプリファイナルに続き主要な国際大会を制しました。

昨シーズンは、新型コロナウイルスの影響などからグランプリシリーズを欠場しましたが、12月の全日本選手権では5年ぶり5回目の優勝を圧倒的な演技で決めました。

ことし3月の世界選手権は、前半のショートプログラムでトップに立ったものの、後半のフリーでネイサン・チェン選手、鍵山優真選手に続く3位でした。

今シーズンは新型コロナウイルスの影響で練習拠点を置くカナダには渡航せず、国内で練習を続け、北京オリンピックを控えた今シーズンの目標については「4回転半ジャンプをしっかりと決めたい。ショートプログラム、フリーともに自分が目指す理想の形を試合で出したい」とかねてから掲げていた4回転半ジャンプの達成を目標とする考えを示していました。

宇野昌磨とは

宇野昌磨選手は愛知県出身の24歳。5歳の時、地元のスケートリンクで後にバンクーバーオリンピックの女子シングルで銀メダルを獲得する浅田真央さんに声をかけられたことをきっかけにスケートを始めました。

早くから4回転ジャンプに挑み、2014年のジュニアのグランプリファイナルで4回転トーループを決めて、優勝しました。また2015年の世界ジュニア選手権でも優勝し、次のシーズンから本格的にシニアに参戦してシーズン最終戦で世界で初めて大技の4回転フリップを成功させました。その後、4回転ループや4回転サルコーも成功させるなど難度の高い構成に積極的に取り組んできました。

ピョンチャンオリンピックでは、羽生結弦選手に次ぐ銀メダルを獲得し、世界最高峰の舞台でトップレベルの実力を見せました。

オリンピック後、2019年のシーズンからはこれまで指導を受けてきた山田満知子コーチと樋口美穂子コーチのもとを離れ、トリノオリンピック銀メダリストのステファン・ランビエールコーチの指導を受けています。そしてその年の全日本選手権で4年ぶりに出場した羽生選手に初めて勝って4連覇を果たしました。

昨シーズンはランビエールコーチのもとでスイスを拠点としましたが、新型コロナウイルスの影響で大会に出場することができずシーズン初戦として臨んだ全日本選手権では羽生選手に続く2位で5連覇を逃しました。

ことし3月の世界選手権では、ネイサン・チェン選手、若手の鍵山優真選手、羽生選手に続く4位。北京オリンピックを控えた今シーズンは、「トップを目指したい」と気持ちを新たにして臨み、フリーでは4種類の4回転5本を跳ぶ難度の高い構成に挑戦していました。

鍵山優真とは

鍵山優真選手は神奈川県出身の18歳。ジュニア時代にユースオリンピックで優勝するなど着実に実績を積んで昨シーズン、シニアデビューするとグランプリシリーズのNHK杯で初優勝、全日本選手権でも羽生結弦選手と宇野昌磨選手に次いで3位に入り、次世代のホープとして注目を集めました。
またことし3月の世界選手権では自己ベストを更新して初出場ながら3位の羽生選手を上回る2位に入りました。

シニア2年目の今シーズンはグランプリシリーズのイタリア大会とフランス大会で2連勝し、世界ランキングで初の1位に立つなど力をつけています。

持ち味は安定感のある4回転ジャンプで、トーループとサルコーの2種類を跳びますが、北京オリンピックを見据えて4回転ループの習得にも挑戦しています。

父親でコーチを務める正和さんは、アルベールビルとリレハンメルの2大会連続でオリンピックに男子シングル代表として出場していて、親子2代でのオリンピック出場を目指していました。

坂本花織とは

坂本花織選手は兵庫県出身の21歳。持ち味は脚力を生かした高さと幅のあるダイナミックなジャンプで、初出場となったピョンチャンオリンピックでは6位、同じ年の全日本選手権で初優勝するなど、実績を残してきました。

2019年から2020年にかけてのシーズンはモチベーションの維持に苦しみ2連覇を目指した全日本選手権は6位に終わりましたが、昨シーズンは北京オリンピックを見据えてトレーニングに取り組み、グランプリシリーズのNHK杯で初優勝しました。

全日本選手権は4回転サルコーを跳んだ紀平梨花選手に次いで2位、ことし3月の世界選手権では日本勢で最上位の6位でした。

ここ数年は世界のライバルとの戦いを見据え、トリプルアクセルや4回転ジャンプにも挑戦してきましたが、今シーズンは大技への挑戦を封印し、みずからの武器であるジャンプの質の高さや演技の完成度に磨きをかけてNHK杯で2連覇を果たすなど着実に結果を残してきました。

樋口新葉とは

樋口新葉選手は、20歳の大学3年生です。全日本選手権では2014年から3年連続で表彰台に上がるなどジュニア時代からその実力は国内トップレベルでした。

スピードのあるスケーティングから繰り出す高さと幅のあるジャンプが持ち味で2017年には、2大会連続でグランプリシリーズの表彰台に上がり、日本勢トップの成績でシリーズの上位6人で争うグランプリファイナルにも出場しました。

しかし、ピョンチャンオリンピック代表の最終選考会となった2017年の全日本選手権ではショートプログラム、フリーともに得意のジャンプにミスが出て4位となり代表入りを逃しました。

気持ちを切り替えて臨んだピョンチャンオリンピックの直後に行われた世界選手権では、フリーですべてのジャンプを高い出来栄えで成功させる会心の演技を披露して銀メダルを獲得し確かな実力を世界の舞台で示しました。

その後は、成績が伴わない時期が続きましたが、トリプルアクセルの習得や演技の構成に磨きをかけて2019年の全日本選手権で2位に入ると、去年のNHK杯でも2位に入り、オリンピックシーズンに向けて着実に力をつけてきました。

河辺愛菜とは

河辺愛菜選手は愛知県出身の17歳。2歳年上の紀平梨花選手に憧れ、中学生のときに練習拠点を京都府に移し、紀平選手と同じ濱田美栄コーチのもとで技術を磨いてきました。

おととしの全日本ジュニア選手権ではトリプルアクセルを決めて優勝するなど濱田コーチは「4回転を跳べる能力を持っている」と高く評価しています。

去年のユースオリンピックでは4位、その後、シニアデビューして去年の全日本選手権は6位でした。

今シーズンはトリプルアクセルの安定感を高めるため、クラシックバレエを取り入れ体の軸を意識する練習などに取り組んだことで、徐々にジャンプの安定感が増しました。

そして、紀平選手の欠場によって急きょ出番が回ってきたグランプリシリーズのNHK杯でトリプルアクセルを決めるなど自己ベストを大幅に更新して2位に入り、北京オリンピックの代表候補として一躍、注目を集めました。

小松原美里・尊とは

フィギュアスケート、アイスダンスの小松原美里選手と小松原尊選手はカップルを結成して6年目です。

小松原美里選手は岡山県出身の29歳。ジュニア時代にアイスダンスを始め、その後はイタリアに渡ってイタリア人選手とカップルを組んで活躍しました。

一方、小松原尊選手はアメリカ出身の30歳。2013年にシングルからアイスダンスに転向し、韓国やノルウェーの選手とカップルを組んできました。

2人は2016年にカップルを結成し、そのよくとし結婚すると、2018年と2019年の全日本選手権で優勝します。昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で練習拠点のカナダに渡ることが出来ず、練習を日本で行いましたが、グランプリシリーズのNHK杯で初優勝し、全日本選手権で3連覇を果たしました。

去年11月には尊選手が日本国籍を取得したことで日本代表としてオリンピックに出場する資格を得ました。名前の由来は「日本武尊(やまとたけるのみこと)」で日本への尊敬の念を込めているということです。

ことし3月の世界選手権では19位に入ってアイスダンスの日本の出場枠1つを獲得し、今シーズンはリズムダンスとフリーダンスともにプログラムを一新し、初のオリンピック出場を目指していました。