羽生結弦 全日本2連覇で北京五輪の代表に内定【得点詳細】

さいたま市で開かれた北京オリンピックの代表選考を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権は26日夜、男子シングル後半のフリーが行われ、羽生結弦選手が4回転半ジャンプに挑み成功はなりませんでしたが、そのほかのジャンプは大きなミスなく決めてフリーで211.05、合計で322.36をマークして2年連続6回目の優勝を果たしました。
男子シングルは羽生選手と2位の宇野昌磨選手、そして3位の鍵山優真選手が北京オリンピックの代表に内定しました。

全日本選手権は大会最終日の26日、男子シングルとペアの後半の演技が行われました。

このうち北京オリンピックの3つの代表枠を争う男子シングルは、今大会の優勝者が最優先で代表に内定します。

前半のショートプログラムでトップに立った羽生選手は、フリーで和の楽曲を用いたプログラム、「天と地と」を演じました。

羽生選手は、演技の冒頭に世界で誰も成し遂げていない4回転半ジャンプ(=クワッドアクセル)に挑みましたが、回転が足りずトリプルアクセルと評価されたうえ、両足での着氷になったため出来栄え点を獲得できませんでした。しかしその後の演技は4回転サルコーをほぼ完璧に決め、演技の後半には、4回転トーループからの連続ジャンプ2つをミスなく着氷するなど着実に得点を重ねました。

羽生選手は、音楽に乗せて流れるような振り付けと合わせてスピンとステップでも最高評価のレベル4を獲得し、フリーで211.05、合計で322.36をマークして2位に20点以上の大差をつけて2年連続6回目の優勝を果たしました。

2位は宇野昌磨選手で4回転トーループの転倒で大きく減点されましたが、演技をまとめ、合計で295.82をマークしました。

3位は鍵山優真選手で4回転トーループからの連続ジャンプを決めたほか、表現力豊かに演技を終えて合計292.41をマークしました。

羽生選手は男子シングルの3連覇がかかる北京オリンピックの代表に内定。また宇野選手、鍵山選手も北京オリンピックの代表に内定しました。

羽生選手は「疲れました。4回転半ジャンプを込みで通す練習は完全な通し練習ではないが、自分のなかで60%くらいの達成度でできていたので、なんとか持ったかなという印象だ。ただ、冒頭が4回転ループなのとは比べものならないくらい、体力の消耗はあった」と初めて冒頭に4回転半ジャンプを組み込んだ演技を終えたあとの心境を語りました。

そのうえで、「きょうの朝の練習で、自分の中では4回転半ジャンプをまわせることを期待していなくて、とにかく本番が一番大事なので 本番に合わせられるようにと思って練習していた。ただあまりにも跳べな過ぎて若干失望していて、本番までにかなり精神がぐじゃぐじゃになった。そういうところも含めてまだ自分自身が成功しきれていないジャンプを 本番で使用するのは難しいんだなと改めて感じた」と話しました。
成功はならなかった4回転半ジャンプの手応えについては、「まぁ、頑張ったなって感じだ。 今大会の練習のアクセルをみなさんが見て、羽生はアクセルが上手になったと思われたと思うが、あれができるようになって、2週間くらいだ。それまでは軸が作れなくて回転も足りなくて何回も体を打ち付けていた。やっとあれができたが、でもそれが毎日できるわけじゃない。正直、まだいっぱいいっぱい。悔しいですけど」と話しました。

そして、今後については、「正直、自分の中でも結構焦っている。早く跳ばないと体はどんどん、衰えていくのはわかる。自分が設定した期限よりも明らかに遅れていて、何で跳べないのだろうという苦しさはある。そういう苦しさとこんなにやってできないのにやる必要があるのかなという諦めみたいなものもだいぶ出た。ただ、せっかくここまで来たんだったら、みんなの夢だから。皆さんが僕にかけてくれている夢だから皆さんのために、自分のためにももちろんあるが、みなさんのためにもかなえてあげたいなと思った」と習得を急ぐ考えを示しました。

羽生結弦 五輪3連覇かけて北京へ

フィギュアスケートの男子シングルでオリンピック2連覇の羽生結弦選手が全日本選手権を制して3回目の大舞台となる北京オリンピックの代表入りを決めました。右足首のけがで今シーズンの最初の試合でしたが圧倒的な演技を披露して、日本のエースとして3大会連続の金メダルに向けてその一歩を踏み出しました。

羽生選手は、ピョンチャン大会で2連覇を達成したあと、次の北京大会については出場の意思を明らかにせず、4回転半ジャンプ(=クワッドアクセル)の達成を最大の目標に掲げました。

その後も試合後などの取材のたびに北京オリンピックへの出場の意思を問われても、「僕の目標はあくまで4回転半ジャンプ。北京オリンピックはその道の先にあれば」などと述べて自身の態度を明らかにしてきませんでした。

一方で4回転半ジャンプについては少しずつ、その最高難度のジャンプを組み込んだ演技をイメージしながら準備を進め、昨シーズンは、「4回転半ジャンプを組み込むという決意を持って曲を選んだ」と、和の楽曲を用いたフリーのプログラム、「天と地と」を取り入れました。

右足首のけがの影響で全日本選手権が今シーズン最初の試合となりましたが、この北京オリンピックの代表選考を兼ねた大一番を前に「この延長線上に北京はあるかもしれないなと腹をくくってここまできた」と初めて3回目のオリンピック出場を目指すことを明らかにして今大会に臨みました。

そして前半のショートプログラムでは、右足首のけがの影響をまったく感じさせない4回転ジャンプやスピンやステップ、それに流れるような振り付けを披露し、ほぼ完璧な内容で2位の宇野昌磨選手に10点以上の差をつけてトップに立っていました。

そして、フリーに向けては「一つ一つ大切にしながら、まずはこの試合で4回転半ジャンプをきちんと決められるように、一つ一つ練習したい。その先に北京オリンピックがあるのだったら、この試合でしっかりと勝ち取れるように、ふさわしい演技ができるように頑張りたい」と意気込みを話していました。

宇野昌磨 高難度のプログラムで2回目の五輪へ前進

北京オリンピックを控えた今シーズン、宇野選手はフリーで自身にとって過去最高難度となる4種類の4回転ジャンプを5本跳ぶ構成に挑むなど、かつてない高い意欲で臨んでいます。

難しいプログラムの完成度を高めるため豊富な練習量をこなす姿は、ともに練習する機会があった鍵山選手が「練習の鬼」と表現するほどでした。

しかし、全日本選手権に向けて調整を続けるなかでアクシデントがおきました。大会開幕を目前にした練習で4回転フリップを着氷した際に右足首をひねったのです。当初は痛みもあり、オリンピックのメダリストで今シーズンの国際大会でも実績を残している宇野選手には大会の出場を回避する選択肢もありましたが、欠場という選択はしませんでした。

大会前の記者会見では「大会に向けて全選手がいろんな努力をしてきている。自分が成長できる大会にしたいし、逃げてしまうような演技だけはしたくない」と力強く話し、ショートプログラムでけがをする原因となった4回転フリップをしっかりと決めるなどまさに”逃げない”演技に徹しました。

そして、後半のフリーでも難度の高い構成に挑んだ宇野選手。その姿からは北京で世界のトップに立つという決意が伝わってきました。

宇野選手は演技後フリーの出来について報道陣から尋ねられると「頑張ったと思います」と答えました。

大会前の練習中に右足首をけがした影響があったということで、「思っていたよりもジャンプの状態が戻りきらなかった。1つ失敗したら失敗を重ねる不安もあったが、そこはけがをするまでしっかり練習してきた時間があったからこそ、あれだけの失敗でおさえられた」と振り返りました。

また、演技直前の練習で足に痛みを感じていたことを明かし「ジャンプの練習で足をひねったみたいでちょっと痛みがあった。ただし痛いからといって失敗の理由にはならない。どうしたらジャンプを跳べるかを冷静に考え演技ができた」と話していました。

今大会で感じた課題については「必要だと思ったのは羽生選手や鍵山選手のようにジャンプの出来栄え点でプラスをもらえるように入り方だったり、着氷のあとに自分なりのアレンジが必要だと思った。僕は苦手はあまりないが自分の武器を強くもっていない。そういったものを何か見つけないといけない」と話していました。

鍵山優真 「満点ではないが満足の演技できた」

男子シングルで3位に入り北京オリンピックの代表に内定した鍵山優真選手。若手のホープとして期待されてシニアデビューした昨シーズン、初出場の世界選手権で2位。今シーズンは序盤に不調な時期も経験しましたが、父でコーチの正和さんの指導のもと調子を持ち直し、グランプリシリーズの2大会で優勝して世界ランキング1位になるなど、着実に歩みを進めてきました。

今回の全日本選手権では前半のショートプログラムでジャンプにミスが出ましたが、引きずることなく落ち着いた表情で「悔しい気持ちはあるが僕らしさ全開で演じられた。みんながベストな状態で臨んでいて、これがやりたかった試合だと感じた」と話し精神面での成長を感じさせました。

北京オリンピックに向けては練習を重ねている4回転ループを構成に入れる予定で、このジャンプの完成度を高めることができれば、目標とする表彰台も現実味を帯びてきます。

鍵山選手は「全力で滑り切ることができて満点ではないが満足の演技ができた。オリンピック代表の選考会で候補の1人として周りの期待もあって、すごく緊張していた。終わったときにはほっとして涙が出た」と振り返りました。

そして、「今シーズンは全部うまくいかないのではと思うくらい苦しい演技が続いていた。ダメなときもあったが、きょうは全力で滑って諦めない姿を見せることがかなったのでガッツポーズをした」と笑顔で話していました。

羽生選手と宇野選手の存在については「一緒に練習したり2人とあと何回、試合をできるか分からない中ですごく貴重な経験をさせてもらっている。4回転ジャンプを目の前で見ることができて勉強になったし2人のように挑戦したい」と話していました。

また今シーズンは“北京オリンピックを目指す”と目標をはっきりと公言してきたことについて「その強さが自分なんだと思う。その言葉が自分を高めているしやらなくちゃという緊張感につながった。大会が終わって自分がやってきたことは間違いじゃないと思える。オリンピックを目指すと口に出してよかった」と話していました。

【得点詳細】

総合1位 羽生結弦 総合得点:322.36

【フリー得点:211.05(フリー順位:1位)】
<技術点 得点:114.25>(※GOE=出来栄え点)
4回転アクセル(ダウングレード):4.11(GOE-3.89)
4回転サルコー:14.00(GOE4.30)
トリプルアクセル+2回転トーループ:12.61(GOE3.31)
3回転ループ:6.86(GOE1.96)
フライング足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.90(GOE1.40)
ステップシークエンス(レベル4):5.85(GOE1.95)
4回転トーループ+3回転トーループ:18.19(GOE3.12)
4回転トーループ+シングルオイラー+3回転サルコー:20.21(GOE4.48)
トリプルアクセル:12.69(GOE3.89)
コレオシークエンス:5.50(GOE2.50)
フライング足換えシットスピン(レベル4):4.33(GOE1.33)
足換えコンビネーションスピン(レベル4):5.00(GOE1.50)
<演技構成点 得点:96.80>
 スケートの技術:9.61
 演技のつなぎ:9.61
 演技表現:9.68
 振り付け:9.79
 音楽の解釈:9.71

総合2位 宇野昌磨 総合得点:295.82

【フリー得点:193.94(フリー順位:3位)】
<技術点 得点:101.64>(※GOE=出来栄え点)
4回転ループ:13.65(GOE3.15)
4回転サルコー:12.61(GOE2.91)
4回転フリップ:12.57(GOE1.57)
トリプルアクセル:10.86(GOE2.86)
フライングキャメルスピン(レベル4):4.21(GOE1.01)
コレオシークエンス:4.21(GOE1.21)
4回転トーループ:5.70(GOE-4.75)
4回転トーループ(繰り返し違反):8.68(GOE1.36)
トリプルアクセル+シングルオイラー+3回転サルコー:16.32(GOE1.14)
フライング足換えコンビネーションスピン(レベル4)(基礎点減点):3.23(GOE0.60)
足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.70(GOE1.20)
ステップシークエンス(レベル3):4.90(GOE1.60)
<演技構成点 得点:93.30>
 スケートの技術:9.43
 演技のつなぎ:9.04
 演技表現:9.36
 振り付け:9.39
 音楽の解釈:9.43
<減点:-1.00>

総合3位 鍵山優真 総合得点:292.41

【フリー得点:194.26(フリー順位:2位)】
<技術点 得点:105.68>(※GOE=出来栄え点)
4回転サルコー:12.47(GOE2.77)
3回転ルッツ:7.92(GOE2.02)
4回転トーループ+3回転トーループ:17.09(GOE3.39)
トリプルアクセル+シングルオイラー+2回転サルコー:11.40(GOE1.60)
足換えシットスピン(レベル4):3.60(GOE0.60)
ステップシークエンス(レベル3):4.38(GOE1.08)
4回転トーループ:13.98(GOE3.53)
3回転フリップ+3回転ループ:13.11(GOE1.89)
トリプルアクセル:7.54(GOE-1.26)
コレオシークエンス:4.64(GOE1.64)
足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.75(GOE1.25)
足換え足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.80 (GOE1.30)
<演技構成点 得点:91.58>
 スケートの技術:9.25
 演技のつなぎ:8.93
 演技表現:9.18
 振り付け:9.25
 音楽の解釈:9.18