フィギュア 羽生結弦 圧倒的な演技でSP首位発進【得点詳細】

北京オリンピックの代表選考を兼ねるフィギュアスケートの全日本選手権は、男子シングル前半のショートプログラムが行われ、羽生結弦選手が右足首のケガを感じさせない圧倒的な演技を披露して111.31の高得点をマークし、3回目のオリンピック代表に向けて、好スタートを切りました。

来年2月の北京オリンピックの代表選考を兼ねた全日本選手権は、さいたま市で競技が行われ、大会2日目の24日は、男子シングルとペアの前半の種目が行われました。

このうち、男子シングル前半のショートプログラムには右足首のケガでグランプリシリーズを欠場し、今大会が今シーズンの初戦となる羽生選手が出場しました。

羽生選手は、白と水色を基調とした衣装に身をまとってピアノの楽曲のプログラムを演じ、冒頭の4回転サルコーをほぼ完璧に決めました。

そして、続く4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプも、大きなミスなく決めると、得意のトリプルアクセルも持ち前の高いジャンプで着氷までしっかりとまとめました。

羽生選手は、スピンとステップでも最高評価のレベル4を獲得し、圧倒的な演技で111.31をマークして前半でトップに立ちました。
羽生選手は、今シーズンの初戦ながら調整不足を感じさせず、23日の会見で出場の意思を明らかにした北京オリンピックの代表に向けて好スタートを切りました。

2位は宇野昌磨選手で、先週の練習で右足を痛めて状態が不安視されましたが、冒頭の4回転フリップをしっかり決めるなど、大きなミスなく演技をまとめて101.88をマークしました。

3位は18歳の鍵山優真選手で、得意の4回転トーループで転倒して得点を伸ばせず、95.15でした。

男子の後半、フリーの演技は、26日行われます。

1位 羽生「4回転半ジャンプに挑戦するつもり」

トップに立った羽生選手は、「大きく耐えたジャンプもあったが、4回転半ジャンプを練習してきたことや、他のジャンプもしっかりと練習してこれたので、そういう点が土壇場で生きてくれたのかなと思う。4回転サルコーとトリプルアクセルに関しては、非常にコントロールされたジャンプだった」とふり返りました。

そして、初めて披露するプログラムだったことについては「公式練習でエッジが引っかかったり空まわってしまってちょっと心配だったのと、この会場でサルコーを失敗した記憶もあったので、緊張はしていた。ただ、最初の4回転サルコーが決まった段階で、少し落ち着いて演技ができた。まだ洗練はされていないかもしれないが、具体的な物語や曲に乗せる気持ちがすごくあるプログラムなので、ジャンプだけじゃなくて、全部を見ていただけるような、プログラムにしたい」と話しました。

後半のフリーに向けては、「もちろん、4回転半ジャンプに挑戦するつもりではいるので、まずは公式練習と、最後の最後までケガをしないように気をつけながら、ふだん通りにいけるように、集中力を高めながら頑張りたい。あすの練習を含めて全部が試合なので、1つ1つ大切にしながら、まずはこの試合で4回転半ジャンプをきちんと決められるように、1つ1つ練習したい。その先に北京オリンピックがあるのだったら、この試合でしっかりと勝ち取れるように、ふさわしい演技ができるように頑張りたい」と意気込みを話しました。

2位 宇野「少しでも自分のベストの演技を」

先週の練習で右足首をひねるけがをしながらもショートプログラムを終えて2位につけた宇野選手は「もっといい調子であったならば、きょうは悔やむべき点の方が多い演技だった。ただ、けが明けで朝の公式練習の状態からすればもっと悪い演技をする可能性もあると思っていたので、いまのいい演技をだせたと思う」と冷静に振り返りました。

けがをする原因となった4回転フリップもしっかり着氷したことについては「正直、ジャンプを右足を使わないサルコーに変えるかどうか悩んでいたが、ランビエールコーチと相談して『君はどっちでも跳べる』とアドバイスされ、フリップを跳ぼうと迷いがなくなった。直前の練習でいつもどおりのジャンプが跳べたので不安はなかった」と話していました。

4種類の4回転ジャンプ5本を跳ぶ高難度の構成に挑戦するフリーに向けては「構成は全く変えない。この全日本を自分が成長する舞台にできる可能性が出てきた。少しでも自分のベストの演技を皆さんに見せられるよう頑張りたい」と意気込みを話しました。

3位 鍵山「まずは自分の演技が一番大事」

得意の4回転ジャンプにミスが出て3位の鍵山選手は「転んだ4回転トーループは力が入りすぎて軸が後ろにいってしまった。悔しい気持ちはあるが、その後のスピンやトリプルアクセルでは僕らしさ全開で演技ができた。そこは今までの練習の成果以上が出た」と少し悔しそうな表情で振り返りました。

初のオリンピック出場がかかっていることについては「ここに来るまでいろいろな思いを抱えながら練習してきて、気合と同時に重い何かを背負ってしまっている感じがした。ただショートプログラム前には理由は分からないが早く試合がしたいと思ってすごくわくわくした。それが楽しさにつながって失敗はあったけど、自分の中では納得のいく演技ができたので良かった。みんながベストな状態で全日本に臨んでいてこれがやりたかった試合だと感じた」と話していました。

フリーに向けては「前半を終えて3位と去年と変わらないがこの差をつめたい。まずは自分の演技が一番大事なのでしっかりまとめられるよう頑張りたい」と意気込みを話しました。

羽生 北京オリンピックへ 好スタート

羽生選手のショートプログラム。今シーズン、新たに取り入れたピアノの楽曲のプログラムにのせて3つのジャンプをほぼミスなく決めて圧倒的な演技でトップに立ちました。右足首のけがの影響、今シーズンの初戦と不安になりうる要素をその演技で振り払い、大会前に出場を目指す意向を明らかにした北京オリンピックに向けて好スタートを切りました。
羽生選手は当初、先月のグランプリシリーズのNHK杯でシーズン最初の試合を迎える予定でした。NHKのインタビューに羽生選手は、「4回転半ジャンプをしっかりと決めたい。ショートプログラム、フリーともに自分が目指す理想の形を試合で出したい」と、かねてより口にしてきた世界で誰も成し遂げていないクワッドアクセル(=4回転半ジャンプ)の達成を最大の目標に掲げました。

しかし、そのインタビューの直後に羽生選手は練習中に右足首を負傷します。NHK杯とそのあとのロシア大会はやむをえず欠場。羽生選手の描いていた今シーズンの道筋は大きく変わりました。
ケガの回復とリハビリに時間を費やす日々。
それでも羽生選手は、最大の目標を心に秘め、今シーズン中の達成を諦めることなく、全日本選手権の大一番を迎えました。
前半のショートプログラムは大会で初披露となった新プログラム。
羽生選手は「心が折れてつらかった時期に、滑らせていただいて本当に生きる活力と滑る活力をいただいた」という、ピアニストの清塚信也さんのピアノにのせて演じました。

シーズンが始まる前に「見てくださっている方に何かを感じ取ってもらえるような演技がしたい」と意気込みを話した羽生選手。実戦から離れていた時間を感じさせない努力と経験に裏打ちされた圧倒的なスケートでその実力を示しました。

男子シングル ショートプログラムの得点詳細

【1位 羽生結弦 得点:111.31】

▽技術点 得点:62.28(※GOE=出来栄え点)
 4回転サルコー:14.27(GOE4.57)
 4回転トーループ+3回転トーループ:16.28(GOE2.58)
 フライングキャメルスピン(レベル4):4.39(GOE1.19)
 トリプルアクセル:12.00(GOE3.20)
 足換えシットスピン(レベル4):4.24(GOE1.24)
 ステップシークエンス(レベル4):5.85(GOE1.95)
 足換えコンビネーションスピン(レベル4):5.25(GOE1.75)
▽演技構成点 得点:49.03
 スケートの技術:9.68
 演技のつなぎ:9.57
 演技表現:9.96
 振り付け:9.82
 音楽の解釈:10.00

【2位 宇野昌磨 得点:101.88】

▽技術点 得点55.48(※GOE=出来栄え点)
 4回転フリップ:13.99(GOE2.99)
 4回転トーループ+2回転トーループ:12.70(GOE1.90)
 フライングキャメルスピン(レベル4):4.16(GOE0.96)
 トリプルアクセル:11.31(GOE2.51)
 足換えシットスピン(レベル4):3.56(GOE0.56)
 ステップシークエンス(レベル4):5.46(GOE1.56)
 足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.30 (GOE0.80)
▽演技構成点 得点:46.40
 スケートの技術:9.29
 演技のつなぎ:9.00
 演技表現:9.46
 振り付け:9.29
 音楽の解釈:9.36

【3位 鍵山優真 得点:95.15】

▽技術点 得点51.15(※GOE=出来栄え点)
 4回転サルコー+3回転トーループ:17.50
 4回転トーループ:4.75
 足換えキャメルスピン(レベル4):4.39
 トリプルアクセル:10.63
 フライングシットスピン(レベル4):3.73
 ステップシークエンス(レベル4):5.40
 足換えコンビネーションスピン(レベル4):4.75 
▽演技構成点 得点:45.00
 スケートの技術:9.11
 演技のつなぎ:8.86
 演技表現:8.96
 振り付け:9.07
 音楽の解釈:9.00