大阪 クリニック放火事件1週間 容疑者とのトラブル確認されず

大阪 北区のビルに入るクリニックが放火され、25人が死亡した事件は24日で発生から1週間となります。警察のこれまでの捜査で容疑者とクリニックの間には事件につながるようなトラブルは確認されていません。警察は事件前の行動などの捜査を行って動機の解明を進める方針です。

今月17日、大阪 北区曽根崎新地のビルの4階にある心療内科のクリニックが放火された事件では、院長やスタッフ、通院していた人など25人が亡くなり、1人が重体になっています。

警察は、巻き込まれた26人とは別に重篤な状態になっている谷本盛雄容疑者(61)を殺人と放火の疑いで捜査しています。

警察は、これまでクリニックの関係者から話を聞いたり、容疑者の関係先の住宅を捜索したりして捜査を進めていますが、捜査関係者によりますと谷本容疑者とクリニックの間には事件につながるようなトラブルは確認されていないということです。

クリニックに設置されていた防犯カメラの映像には、容疑者が、ガソリンをまいて火をつけたあとみずからも炎が上がる方向に向かっていたことが分かっています。

警察は、谷本容疑者が多くの人を巻き添えにしてみずからも死のうとした可能性もあるとみて事件前の行動などの捜査を行って動機の解明を進める方針です。

現場には多くの花

現場のクリニックが入る大阪 北区のビルの前には連日、多くの花が供えられていて、事件から1週間となる24日も、訪れた人が花を手向け、祈りをささげていました。

このうち3年ほど前からクリニックに通院しているという大阪・茨木市に住む28歳の会社員の女性は現場で花を手向けたあと、ビルに向かって一礼していました。

事件のあと、現場を訪れるのは24日が初めてだということで「この1週間は職場でも泣き続ける毎日でしたが、前に進もうと思って足を運びました。先生のおかげで今の自分があります。本当にお世話になりました。安らかに眠ってくださいとお伝えしました」と話していました。

また、4歳の娘と訪れた大阪・豊中市に住む42歳の会社員の女性は、クリスマスを前に現場にクッキーを供えて手を合わせていました。

女性は「会社が近くよく通る場所なので、気になって訪れました。職場への復帰を目指し、クリニックに集まって頑張っていた人たちがなぜ、亡くならなければならないのか、あまりに理不尽な事件だと感じます。少しでも心安らかに休んでくださいという思いで手を合わせました」と話していました。

谷本容疑者は意識戻らず

警察によりますと、谷本容疑者は重度の一酸化炭素中毒で意識が戻っていないということです。

顔のほか、手や足の甲にやけどをしているほか、気道には重度のやけどをしているということです。

捜査関係者は、かなり厳しい状態が続いていると話しています。

容疑者は、消防に救助された人たちの中でクリニックの出入り口から最も近い場所で倒れていたため、いちばん最初に助け出されたとみられるということです。

防犯カメラに谷本容疑者とみられる人物

事件当日、現場から2キロほど離れた場所に設置された防犯カメラに谷本盛雄容疑者(61)とみられる人物が写っていました。

クリニックが放火される30分ほど前の午前9時45分ごろ、黒っぽいジャケットと帽子姿で、リュックサックを背負った谷本容疑者とみられる人物が自転車で現場の方向に向かっています。

自転車の後ろの荷台には白っぽい荷物が載せられ、ひものようなもので固定されているのが分かります。

この4分ほど後には、現場に向かって800メートル余り離れた場所の防犯カメラにも谷本容疑者とみられる人物が写っていました。

谷本容疑者と更生保護施設で一緒だった男性は

谷本容疑者は10年前の平成23年、大阪市内の離婚した元妻の自宅で、家族を道連れに自殺を図ろうと考え、長男の頭や肩を包丁で刺して殺害しようとしたとして逮捕・起訴され、懲役4年の実刑判決を受けました。

服役後の平成27年、大阪府内の更生保護施設で一緒だったという男性が、取材に応じました。

男性は谷本容疑者について「すごくおとなしい人で人とつきあうのが苦手なタイプだった。本当は仕事を探しに行かないといけないのに、弁当を作って図書館に行くなど、変わった人だった」と振り返りました。

そして「離婚した奥さんがいたようで、気にかけていたと思う」と話しました。

施設を出たあと「行くところがない」と言う谷本容疑者に対して、男性はアパートを紹介し、保証人になったということですが、入居からしばらくして、何も告げることなくいなくなったということです。

「今回のような大きな事件を起こす人には見えず本当にびっくりした」と話していました。

谷本容疑者に酒の宅配を行っていた酒店は

近所の人などによりますと、谷本容疑者は30年ほど前から10年以上にわたり、大阪 西淀川区の住宅で家族で暮らしていたということです。

このころ、注文を受けて酒の宅配を行っていたという酒店の男性によりますと、当時は妻と息子2人の4人暮らしで、20本入りの瓶ビールのケースを毎月数回、配達していたということです。

谷本容疑者について「道で会ってあいさつするぐらいでしたが、すごくおだやかでおとなしそうな印象でした。もう20年以上話をしていないのでその間に何があったのかはわかりませんが、こんな恐ろしい事件を起こしたことを聞き、驚いています」と話していました。

谷本容疑者の中学時代の同級生は

谷本容疑者の中学時代の同級生がNHKの取材に応じ、「おとなしい印象だった」と振り返りました。

大阪・此花区の中学校で同級生だった60代の男性は、当時の印象について「目立たなくておとなしい印象で将棋好きだと聞いていた」と話しました。

谷本容疑者は実家の板金工場を手伝っていたということで「自分の父親が板金工場に仕事を頼んだ際に一緒に来ていて『同級生やんな』と確認すると、会釈をしてニコッと笑っていた」と振り返りました。

男性は今回の事件について「彼が同窓会に顔でも出して声をかけたりしていれば、少しでも変わっていたかもしれない」と残念そうに話していました。