第6波に備え 職員が「惨事ストレス」対処方法学ぶ 東京 墨田区

新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」の対応に追われる東京 墨田区は、第6波で患者が急増した場合に備え、対応にあたる職員が「惨事ストレス」と呼ばれる強いストレスで、心や体の調子を崩さないよう、対処方法を学ぶ講習会を開きました。

「惨事ストレス」は、大規模な災害や事故の凄惨(せいさん)な現場などで支援にあたることで受ける強いストレスで、東京 墨田区が開いた講習会には、新型コロナの対応にあたってきた保健師など、区の職員およそ30人が参加しました。

この中で講師を務めた精神科の医師は、新型コロナの感染拡大の状況でも災害時と同じようなストレスがもたらされていて、不眠や集中力の低下などといった症状が出やすいことを指摘しました。

そのうえで、休養や趣味などの時間を意識的に確保することや、感じているストレスについて職場で共有する時間を設けることなどが防止につながると呼びかけました。

墨田区保健所の西塚至所長は、区でもオミクロン株の濃厚接触者とされた人たちの健康観察に当たるなど対応に追われているとしたうえで「第6波に向けて入院病床を増やすなど体制を強化しているが、職員の心のケアも必要だ。次の波が来てもストレスをなるべく抱え込まないよう、講習をいかして対応していきたい」と話していました。

講習会参加の職員「自身の心のケアをしながら」

講習会に参加した墨田区保健計画課の谷口達也さんは、保健師としてふだんは区民の健康診断などの業務にあたっています。

新型コロナの感染拡大で、去年の12月以降、感染者に聞き取りを行う「積極的疫学調査」や健康観察にあたるようになり、感染者が急増した際には連日、帰宅が深夜になるなど長時間労働が続いたといいます。

さらに、医療がひっ迫した状況で自分が担当した患者がなかなか入院できないなど、患者の命に関わる業務を経験する中、先行きが見えない状況への不安を感じたといいます。

谷口さんは当時を振り返り「“命を守って当然”というところがあるので、できないなと感じる場面があったときには、なかなか心の整理がしにくかった。業務に奔走しているときは緊張状態で、自分の体や心を顧みることはなかったが、第5波が落ち着いたときに疲労感や集中力の低下などに気付いた」と話しました。

21日の講習会のあと谷口さんは「感染者が増えれば、また適切な対応をしていかないといけないとプレッシャーを感じ始めていたが、一つ一つの業務に丁寧に対応できるように、自分自身の心のケアをしながらやっていきたい」と話していました。