大阪 ビル放火事件 液体にライターで火をつけるような様子写る

17日、大阪 北区のビルに入るクリニックが放火され、24人が死亡した事件で、61歳の容疑者がみずから持ち込んだ可燃性の液体にライターで火をつけるような様子が防犯カメラに写っていたことが、捜査関係者への取材でわかりました。警察は当時の詳しい状況を捜査しています。

17日、大阪 北区曽根崎新地のビルの4階にある心療内科のクリニックが放火され、24人が死亡した事件で、警察は殺人と放火の疑いで捜査している男について、住所・職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)だと公表しました。

警察によりますと、谷本容疑者は搬送された病院で重篤な状態になっているということです。

捜査関係者によりますと、現場では容疑者がクリニックに紙袋を持ち込み、床に置いて蹴り倒したあと、袋から漏れ出した可燃性の液体が燃え上がる様子が目撃されていましたが、防犯カメラにはその際にライターで火をつけるような様子が写っていたということです。

火が出た直後には、容疑者が出入り口の前で両手を広げて立ちはだかるような様子も防犯カメラに写っていたことがわかっています。

現場の出入り口付近からは燃え残ったごくわずかな量の油が検出されていて、警察は殺人と放火の疑いで当時の詳しい状況を捜査しています。

ビルの前には乗ってきたとみられる自転車

火災現場のビルの前には、谷本容疑者が乗ってきたとみられる自転車が止まっていました。

捜査関係者によりますと、谷本容疑者は関係先の住宅からこの自転車で現場を訪れ、火をつけたとみられています。

警察はこの自転車を押収し、容疑者の足取りについて調べています。

亡くなった人の友人「あまりに突然のことで…」

事件で亡くなった人の友人だという40代の男性は、19日現場を訪れて花を手向けたあと、静かに手を合わせていました。

男性によりますと、亡くなった友人はよく冗談を言い、場を明るくする性格で、友人の間で慕われていたということです。

今も交友があり、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたことから、数年ぶりに忘年会を行う予定だったということです。

男性は「あまりに突然のことで、全く実感がなく、親しい友人だったのに、まだ悲しみもわいてきません。彼が大きな事件に巻き込まれてしまったのは事実ですが、私たちにとっては、ただ大切な友達が亡くなったということでしかありません」と話していました。

そのうえで「彼が生きているうちにもっと仲よくしておけばよかった、もっと優しく接しておけばよかったという気持ちだけが募ります」とことば少なに話していました。

警察 クリニックの院長含む8人の身元を公表

24人が死亡した火災で、警察は18日、このうち6人の氏名を明らかにしましたが、19日夜、新たに大阪府や兵庫県、奈良県に住む、28歳から59歳の男女8人の氏名を明らかにしました。

このうち1人は、現場のクリニックの院長で、大阪 松原市に住む医師の西澤弘太郎さん(49)だということです。

クリニックの院長を務めていた西澤弘太郎さん

死亡が確認された医師の西澤弘太郎さん(49)は、火災が起きた「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」の院長を務めていました。

ホームページによりますと、クリニックは心療内科と精神科などが専門で、西澤さんは6年前の平成27年10月に開業し、仕事帰りの人などが夜間でも受診できるよう、週に4日は午後10時まで診療を受け付けていました。

また「リワークプログラム」と呼ばれる職場に復帰するためのリハビリを週に4回実施して、心の病で休職した人たちを支援していました。

クリニックに通院していた人は、西澤さんについて「患者に寄り添って診療してくれる優しい先生だと感じた」とか「院長の診察のおかげで元気になれた」などと話していました。

西澤さんと面識があり、発達障害のある人たちへの福祉的な支援などを行う会社の鈴木慶太代表は「先生は実直な方で、偉ぶらず、本当に腰の低い方です。なぜ先生のクリニックなのかと思ってしまいます」と話していました。