大阪 ビル火災 現場の状況は? 見取り図は?

17日午前、大阪 北区の繁華街のビルで起きた火災。
これまでにわかっている現場の状況と目撃者の証言です。

17日午前10時すぎ、火事があったビルの道路を挟んで向かい側のビルから撮影された映像です。

消防が放水している様子やビルから白い煙が上がっている様子が確認できます。

映像を撮影した女性
「消防のサイレンが聞こえて、職場の窓から見てみたら向かいのビルの4階から炎が上がっているのが見え、ビルの6階から顔を出して救助を待っている方が1人見えた。消防隊がすで活動していたので、逃げ遅れはいないと思っていたが、ニュースで多数のけが人が出たと聞いてショックだった」

現場のビルとは 4階にはクリニック

火災のあったビルはJR北新地駅の南側にあり、交通量の多い道路に面しています。

鉄筋コンクリート造り、地上8階建ての雑居ビルで、昭和45年に建てられました。

管理する会社によりますとテナントが入っているのは6階までで、現在は5つのテナントが入居しているということです。

火が出た4階には心療内科のクリニックが入っていて、1階には衣料品店が入っているほか、英会話スクールやエステサロンなどが入居しています。

火災が起きたビルのテナントを管理する会社の50代の男性は「ビルの前を通りかかったら火が出ていて、連絡先を知っているテナントと家主に連絡をとった。家主は4階のクリニックの院長と連絡がつかないと言っていた」と話していました。

4階には「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」が入っています。

クリニックのホームページによりますと、専門は心療内科と精神科などで、平成27年の10月に開院したとしています。

フロアの見取り図は

登記簿の記載によりますと、火災が起きた大阪市北区にある繁華街のビルは、51年前の昭和45年に建てられた8階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造りです。

火災のあったビルの見取り図によりますと、フロアあたりの広さはおよそ93平方メートルで、1フロアにテナントが1つ入居しています。

フロアは東西にのびる長方形で、出入口となっている西側にエレベーターが1基設置されています。

また、エレベーターホールの北側の扉を出ると奥行きが2メートルほどの階段があります。

患者「とても狭い場所だと感じた」

患者のひとりは「初めてクリニックを訪れた際はとても狭い場所だと感じた。多くの人で混雑していた場合、多数の逃げ遅れた方がいるという状況も想像できる」と話しています。

患者 「リワークプログラムの日は多くの人」

クリニックの患者の男性によりますとエレベーターを4階で降りると受け付けがあり、その先にはいすが並べられていて患者の待合室として使われていたということです。

受け付けの奥には検査を行う部屋があり、さらにその奥に「リワークプログラム」と呼ばれる職場に復帰するためのリハビリを行う部屋があったということです。

そして、一番奥には医師が診察を行う部屋があったということです。

男性によりますと「リワークプログラム」が行われる日は多くの人が訪れるということです。

クリニックのホームページによりますと17日、金曜日の午前中には「リワークプログラム」が予定されていました。

また、男性は、クリニックには通常、医師と看護師、受け付けに2人、検査を担当する人など2人の合わせて6人ほどのスタッフがいたと話しています。

男性は「17日は用事があったので行かなかった。自分が17日に訪れていたかもしれず、自分が火災に遭遇していたかと思うと怖いです」と話していました。

患者「常に多くの人 待合室では立って待つ人も」

2年前からクリニックに通い、17日も午前に行く予定だったという40代の患者の男性はまず「ニュースを聞いて驚いた。顔見知りの人もいたし、先生にも親身に対応してもらっていたので心配です」と話していました。

男性は午前10時から「リワークプログラム」という職場復帰を目指している人たちのプログラムに参加する予定でした。

体調がよくなかったため17日朝、クリニックに行かないことを決めたということで「複雑な気持ちだ」と述べました。

参加する予定だったリワークプログラムは、多いときで15人ほどが参加していたということで、金曜日はほかの曜日に比べて人が多い傾向にあったということです。

男性は「診察やカウンセリングを受ける人でクリニックの中は常に多くの人がいて、待合室では立って待つ人もいるほどだった。出入り口とエレベーターは同じ方向にしかなく、中で火があがったとすれば、逃げるのがかなり難しいことは容易に想像できる」と話していました。

そのうえで「先生やスタッフの方の安否が心配だ。また、こうした取り組みをしているクリニックは少ないので今後、自分がどこで支援を受けられるかが不安だ」と話していました。

専門家「逃げ場が失われ大きな被害に」

火災のメカニズムに詳しい東京理科大学の関澤愛教授は「火は通報から30分程度でほぼ消し止められているため、消火活動はわりとスムーズに行われたのだろうが、映像や証言などからは出口付近で火が急激に燃え広がったものと考えられる。中にいた人たちの逃げ場が失われたことが、大きな被害につながった一番の要因だ」と指摘しました。

そのうえで火災のあったビルでは階段が1つしかなく、原則として2つ以上設置することが求められる建築基準法の基準に該当しないことに触れ「避難階段が1つしかない雑居ビルは全国にあり、出口付近で火が出れば同じような被害がどこで起きてもおかしくない。法律で求められていなくても、多くの人が利用する建物では複数の階段を設けておくと安全度が高まる。また、こうした建物を利用する際には階段など避難経路を確認するようにしてほしい」と話していました。

専門家 「煙が一気に広がりやすいことが原因か」

建物の火災に詳しい、神戸大学都市安全研究センターの北後明彦教授は今回の火災で多くの人が亡くなったことについて「建物が小さく避難経路が1つの階段しかないことや、1つのフロアが大きな1部屋になっているので煙が一気に広がりやすいことが原因と考えられる」としたうえで2つの方向に避難路がなかったことが大きく影響したのではないかとと指摘しています。

その上で、「建築基準法では建物の小ささや用途で規制が緩和されていて、今回火災があったビルでは、階段が1つでも、法律上は問題がないと思われる。しかし、その逃げ道から火が来た場合、どうしようもなくなる。これまでいろいろな建物火災を分析してきたが、この緩和について大きな課題があり、見直しが必要だと考えている。管理会社や使用者なども建築基準法を守れば必ずしも安全というわけではなく、2つの方向に避難ができるよう考える必要がある」と話していました。

専門家 「急速に煙広がり避難が難しかった可能性」

今回の火災について、防火対策に詳しい東京理科大学の菅原進一名誉教授は「報道されている映像などを見ると、出火した4階の窓の損傷が少なく、爆発的に火が広がったり長時間続いたりするような火事ではなかったと感じる」としています。

また、「ビルの床面積が小さく煙が充満しやすかったことに加え、フロアがL字型の形状だったことから、部屋の奥にいた人は出入り口が遠く避難が難しかったと考えられる」と指摘しました。

さらに、火災が起きたビルが細長く、上に伸びるような形をしていることに注目し「いわゆる“ペンシルビル”と呼ばれる建物では、煙などが階段を通って上の階に移動する『煙突効果』が起きやすい。火が出た4階だけでなく上の階にも急速に煙が広がって避難が難しかった可能性がある」と指摘しています。

大阪市消防局 「消防法上の不備なし」

大阪市消防局によりますと、火事のあったビルについておととしの3月19日に4年に1度の定期的な立ち入り検査を実施しましたが、ビルの設備に消防法上の不備はなかったということです。

その後、去年の9月25日にも消防が委託した消防振興協会が立ち入り検査を実施しましたが、ここでも不備はなかったということです。

出火当時の状況は

隣のビルにある不動産会社で働く男性
「1階の会社にいたら火事だという大きな声が聞こえ外に出ると隣のビルから火が上がっていました。燃えているときに『ドン』という爆発音のような大きな音が数回聞こえ、消防の人から現場近くから離れるように指示されました」
当時ビルの近くにいて火災を目撃した女性
「すごい煙のあとビルの4階で『助けて』という女性の声が聞こえた。においがすごかった」
道路を挟んで向かいにある建物にいた女性
「火災が起きた階には窓が4つありますが、北側にある窓から真っ赤な火があがり、すぐに黒い煙が出て建物の中が見えなくなりました。駆けつけた消防が1つ上の階から救助活動をしていました。とても怖かったです」

救助を目撃した人

大阪・北区の繁華街のビルの火事で、酒店を経営している40代の男性は、酒の配達で午前11時10分ごろ付近を通りかかりました。

火はおさまっていたということですが、ビルの外には腕や足に水ぶくれができ、ぐったりした様子で横たわっている人が複数いたということです。

男性
「現場周辺には消防車が数十台くらい、救急車も10台以上止まっていた。ブルーシートに覆われた状態で人が何人も運ばれていて、いままで経験したことがないような状況だった。現場周辺はサラリーマンなど人通りが多いところで、大きな火事が起きたことに驚いている」

近くで働いている20代の女性
「火が勢いよく上がっていて地面にガラスが散らばっていた。火が出ている階からは女性が身を乗り出して助けを求め、消防に救助されていた」