キム・ジョンイル総書記死去10年 厳しい経済情勢 統制を強化か

北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)総書記が死去してから17日で10年となります。後継者のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は核・ミサイル開発を推し進める一方、厳しい経済状況を背景に内部の統制を一層強化していくものとみられます。

北朝鮮では、キム・ジョンイル総書記が死去してから17日で10年となります。

17日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は1面でキム・ジョンイル総書記の写真を大きく掲載し、永遠の首領だとして、功績をたたえています。

後継者のキム・ジョンウン総書記は、アメリカとの非核化交渉がこう着状態となる中、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を鮮明にしていて、ことし9月から10月にかけて新たに開発した極超音速ミサイル「火星8型」やSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルなどの発射実験を行っています。

その一方で北朝鮮は長引く経済制裁に加えて、新型コロナウイルスへの感染対策として国境を封鎖し貿易を制限していることから、経済が打撃を受けています。

こうした中、キム・ジョンウン総書記は朝鮮労働党や軍の幹部らが出席する会議を相次いで開催し、今月下旬には党の重要政策を決定する中央委員会総会を開催することを発表しています。

また、今月30日にはキム・ジョンウン総書記が軍の最高司令官に就任してから10年となり、北朝鮮指導部としてはこうした節目を通じて内部の統制を一層強化していくものとみられます。

「世襲当初から核開発進める姿勢固めていた」

キム・ジョンウン総書記が父親から権力を世襲して10年となるのを前に、韓国外務省で去年12月まで北朝鮮の核問題を担当したイ・ドフン(李度勲)前朝鮮半島平和交渉本部長が、ソウルで外国メディアとの懇談会に出席しました。

イ氏は、キム・ジョンウン政権が2012年4月に事実上の長距離弾道ミサイルを発射したあと、核実験やウラン濃縮の一時凍結などを盛り込んだアメリカとの合意の破棄を表明したことに触れて、「権力を世襲した当初から核開発を推し進める姿勢を固めていた」という見方を示しました。
また、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」を初めて発射し、「国家核武力の完成」を主張した2017年までが、核・ミサイル開発に特に力を入れた時期だったと振り返りました。

そして「キム・ジョンウン総書記が2018年の新年の演説で言及した核弾頭と弾道ミサイルの量産の指示は一度も撤回されていない」と述べて、核・ミサイル開発は今なお継続していると指摘しました。

そのうえで「核保有が自分たちの安全保障や経済にかえって悪い影響を及ぼすと、北朝鮮が感じるようにしなければならない」と述べて、国際社会が一致して北朝鮮に非核化を要求し続けることが重要だと強調しました。

新型コロナに神経とがらせる様子

北朝鮮と国境を接する中国東北部の丹東では16日、対岸の北朝鮮側で防護服姿の人や鉄条網を整備している兵士の姿が確認でき、新型コロナウイルスの流入に神経をとがらせている様子がうかがえました。

北朝鮮では去年の1月末から続く国境の封鎖措置や経済制裁によって物資が不足しているとされ、韓国の情報機関は、中国とを結ぶ貨物列車の運行が先月から再開される可能性があるという見方を示していましたが、今も運行は再開していません。

北朝鮮の国営メディアは、世界各地の新型コロナの感染状況を詳しく伝えながら国民に警戒を呼びかけていて、国境での対策も強化しているものとみられます。