天皇杯サッカー準決勝 観客の上限設けず開催

サッカー日本一を決める天皇杯、全日本選手権の準決勝2試合が12日、埼玉県と神奈川県で行われ、Jリーグのチームどうしの試合としては新型コロナウイルスの感染拡大後初めて、観客数に上限を設けずに実施されました。

101回目を迎える天皇杯について、主催する日本サッカー協会は準決勝と決勝の3試合は観客数の上限を設けず、開催することを決めています。

12日は準決勝の2試合が行われ、
川崎市の等々力競技場で川崎フロンターレと大分トリニータが、
さいたま市の埼玉スタジアムでは浦和レッズとセレッソ大阪がそれぞれ対戦しました。

このうち収容人数6万3000人の埼玉スタジアムには、試合が始まる3時間前の開門から両チームのユニフォームを着たサポーターが訪れ、入場口で検温や、手と指の消毒をして、スタジアムに入っていました。

埼玉県の28歳の男性は「持病があるので自粛していたが、久しぶりにスタジアムに来た。感染者も減っているし、入場口で検温したり来ている人もみんなマスクをしたりしているので、今のところ大きな問題はないのかなと思う。ルールを守って最大限盛り上げたい」と話していました。

会場には3万933人が訪れたということで、声を出しての応援は認められていないため、手拍子などで選手を後押ししていました。

試合はレッズが2対0でセレッソに勝って決勝進出を果たしました。

サッカーではリーグ戦や天皇杯など、Jリーグのチームが対戦する試合は新型コロナウイルスの感染拡大のため、去年2月にリーグ戦が中断されて以降は観客数に上限を設けて開催されていて、この期間中、最多だった12月4日に横浜市の日産スタジアムで行われた今シーズンのJ1最終節、横浜F・マリノスと川崎フロンターレの試合の3万657人を上回りました。

また、もう一方の等々力競技場の試合は1万7595人が訪れました。

試合は延長戦に入りましたが1対1で勝負がつかず、トリニータがペナルティーキック戦の末、5対4でフロンターレを破って初めての決勝進出を果たしました。

12日の2試合では産業技術総合研究所の協力でマスクの着用率などの調査も行う予定で、日本サッカー協会は「安心、安全にスポーツを楽しんでいただく環境があることを証明するため協力していく。来年のJリーグやほかのイベントでも満員での開催につながるよう、対策を講じながら運営に努めていく」としています。
観客の上限を設けず行われ、多くの人が訪れたことについて、レッズのリカルド・ロドリゲス監督は「熱気があってサポーターが後押ししてくれた。力強く試合を進めることができた。すばらしい雰囲気で試合ができた」と話していました。

また、決勝ゴールを決めたレッズの宇賀神友弥選手は「やっといつもの光景が戻ってきたなと本当にうれしく思う。バックスタンドを見て、絶対この人たちと一緒に決勝に行ってタイトルを取るんだという強い気持ちがゴールにつながった」と話していました。

J1制覇のフロンターレ 降格のトリニータに敗れる

12日の天皇杯の準決勝では、今シーズンJ1を制した川崎フロンターレが、J2降格が決まったトリニータにペナルティーキック戦の末、敗れる波乱がありました。

フロンターレは、ふだんリーグ戦で本拠地としている川崎市の等々力競技場で、リーグ戦18位に終わりJ2への降格が決まっているトリニータと対戦しました。

フロンターレは、J1得点王で最優秀選手も獲得したレアンドロ・ダミアン選手を中心に相手ゴールに迫りましたが得点を奪うことができず、延長戦に入りました。

延長後半8分に途中出場した小林悠選手が先制ゴールを奪って均衡を破りましたが、終了間際にトリニータのエンリケ・トレヴィザン選手に同点ゴールを決められて、ペナルティーキック戦に入りました。

そして、フロンターレの7人目、山根視来選手のペナルティーキックがトリニータのゴールキーパー、高木駿選手に止められて5対4で敗れ、決勝進出はなりませんでした。

フロンターレは28本のシュートを打ちましたが決定力を欠き、2年連続のJ1と天皇杯の「2冠」はなりませんでした。

準決勝のもう1つのカードでは、浦和レッズが2対0でセレッソ大阪を破り、決勝に進みました。

決勝は今月19日に国立競技場で行われ、3シーズンぶりの優勝をねらうレッズと初優勝を目指すトリニータの顔合わせになりました。