10万円全額現金給付できる具体的ケース “予算成立後に示す”

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、木原官房副長官は、自治体が全額現金で給付できる具体的なケースについて、今年度の補正予算案の成立後速やかに示したいという考えを示しました。

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、岸田総理大臣は8日、全額現金での給付も可能としたうえで、自治体の意見を聞ながら具体的な運用方法を検討する考えを示しました。

木原官房副長官は、9日の記者会見で「どのような場合に現金給付にすることができるか地方自治体の意見をうかがって具体的な運用方法を検討している。事業を実施しやすいよう自治体をサポートしたい」と述べました。

そのうえで、全額現金で給付できる具体的なケースを今年度の補正予算案の成立後速やかに示したいという考えを示しました。

静岡 浜松市 全額を現金で給付する方針

18歳以下への10万円相当の給付について、静岡県浜松市はクーポンを選択すると経費や時間がかかるとして全額を現金で給付する方針を決めました。

新たな経済対策に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付について、政府は所得制限を設けたうえで年内に5万円の現金給付を始め、残りの5万円は子育て関連の商品やサービスに使いみちを限定したクーポンを基本に給付する方針です。

政府としては一部の自治体から全額を現金で給付したいという意見が出ていることも踏まえ、自治体が全額現金での給付も選択できるよう調整することにしています。

こうした方針を受けて浜松市は、クーポンを選択すると給付にかかる経費が全額現金の場合より多くなるうえ、準備に時間がかかるとして残りの5万円の給付も現金で支払う方針を決めました。

浜松市の子育て支援課は「クーポンでの給付は入学や新学期に向けた支援とされているが印刷などに時間がかかり3月中には間に合わなくなってしまう。迅速な給付のため、罰則などがないかぎりは現金で行いたい」と話しています。

浜松 子育て世代からは全額現金給付望む声多く

18歳以下への10万円相当の給付について、浜松市内の子育て世代からは全額現金での給付を望む声が多く聞かれました。

2歳の娘がいる30代の女性は「クーポンがどこで使えるか分からないので現金のほうが使いやすいと思います。使う用途が縛られるよりもいろんな形で子どものために使えたらなと思います」と話していました。

また、3歳と2か月の子どもがいる20代の女性は「現金給付はうれしいです。現金だといろいろな使いみちがあるので現金の方がありがたいです」と話していました。

1歳の娘がいる20代の女性は「クーポンは使いみちが限られていたりするので今回も現金がいいです」と話していました。

3歳の娘がいる袋井市の50代の男性は「全額現金での給付がいいです。クーポンで喜ばれる方もいるかもしれないけど、どちらかに統一してもらったほうがみんな助かると思うので、できればすべての自治体で統一してほしいです」と話していました。

大阪 松井市長 今月中の中学生以下全額給付を断念

18歳以下への10万円相当の給付について、今月中に中学生以下に10万円を現金で一括して給付する方針を示していた大阪市の松井市長は政府が方針を示すスケジュールが間に合わないとして今月中に全額を給付することを断念すると明らかにしました。

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付について、大阪市の松井市長は7日、中学生以下の子どもには今月中に全額現金で給付したいという考えを示していましたが、木原官房副長官は9日全額現金で給付できる具体的なケースを今年度の補正予算成立後に示したいという考えを明らかにしました。

これを受けて、松井市長は9日の記者会見で「残念で仕方がない。予算が成立するのを待っていては間に合わない」と述べ、今月中に10万円を一括で現金給付するのを断念すると明らかにしました。

そのうえで「予算成立後に基準を示すと言っているが、現金であればもう5万円分を来月にも支給ができる。細かい制約をかけずに自治体の判断にしていただきたい」と述べました。

群馬 太田市 年内一括給付意向も2回に分け支払いで準備へ

18歳以下への10万円相当の給付を全額現金で支払う方向で調整する方針を明らかにしている群馬県太田市は、可能であれば年内に一括して10万円を支払いたいとしています。

理由としては、振り込みの手数料が一回で済むことや、3月は転出転入が多く、新型コロナの3回目のワクチン接種なども想定されるため、コストや職員の負担が多くなることなどをあげています。

一方で、国からの財源の配分が明確になっていないため現状では一括で払うことは難しいとして、年内と来年春の2回に分けて支払う方向で準備を進めることにしています。

埼玉 蕨市 ひとり親家庭に子ども1人当たり2万円追加給付

18歳以下を対象にした10万円相当の給付について、埼玉県蕨市は、児童扶養手当を受給するひとり親家庭について、子ども1人当たり追加で2万円を現金で給付することを決めました。

市によりますとおよそ300世帯の400人余りが対象となる見込みだということです。

この追加の給付に充てる1000万円を盛り込んだ補正予算案はすでに可決され、蕨市は追加の2万円については今月17日に支給する方針です。

蕨市は「コロナ禍によって経済的に困窮している家庭に対して、追加の給付でさらに支援したい」とコメントしています。

埼玉 吉見町 支給対象外世帯の子どもに1人当たり現金5万円給付

18歳以下を対象にした10万円相当の給付について、埼玉県吉見町は、すべての子育て世帯を支援しようと所得制限で支給の対象外となる世帯の子どもに対し、独自に1人当たり現金5万円を給付することを決めました。

政府は、新型コロナウイルスの経済対策として、18歳以下を対象に、1人当たり10万円相当を給付することにしていますが、給付に当たって所得制限が設けられ、夫婦のうち、どちらかの年収が960万円以上の世帯は、一定の条件のもとで対象から除くとしています。

これについて、吉見町では、子育てを行うすべての世帯を支援しようと、所得制限で対象外とされる世帯の子どもにも、独自に1人当たり現金5万円を給付することを決めました。

対象となるのはおよそ100人で、必要となるおよそ500万円を盛り込んだ補正予算案はすでに町議会で可決されています。

町は来月、対象となる世帯からの給付の申請を受け付けることにしています。

吉見町の宮崎善雄町長は「吉見町も子どもたちの数が少なくなってきており、町が独自に子どもたちを支援していくことは必要なことだと考えた」と話していました。