鹿児島県 十島村で震度5強 津波の心配なし

9日午前11時すぎ、鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震があり十島村の悪石島で震度5強の強い揺れを観測しました。
気象庁は地震のマグニチュードを6.1に震源の深さを14キロにそれぞれ更新し「明らかな津波は観測されなかった」と発表しました。

気象庁によりますと、9日午前11時5分ごろ、トカラ列島近海を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました。

この地震で
▽鹿児島県十島村の悪石島で震度5強の強い揺れを観測したほか
▽震度4を十島村の小宝島で
▽震度3を十島村の諏訪之瀬島と奄美市で観測しました。

このほか
▽震度2や1の揺れを鹿児島県の奄美地方や種子島・屋久島地方の各地で観測しました。

気象庁の観測によりますと、震源地はトカラ列島近海、震源の深さは14キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6.1と推定されています。

また気象庁は地震からおよそ4時間後に「明らかな津波は観測されなかった」と発表しました。

今月4日からこの付近を震源とする地震が相次ぎ、震度1以上の揺れを観測した地震は9日午後8時までに合わせて252回に達しています。

気象庁は当面は震度5強程度の強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

揺れの強かった地域では落石や崖崩れなどの危険性が高まっているため、今後の地震活動に十分注意してください。

震度5強 悪石島に住む すべての島民の無事確認

十島村によりますと、震度5強を観測した悪石島に住むすべての島民の無事が確認できたということです。

発電所の職員と消防団員以外の73人は悪石島小中学校のグラウンドに避難しているということです。

震度5強 悪石島「ものにつかまらないといけない状況だった」

震度5強の揺れを観測した鹿児島県十島村の悪石島簡易郵便局の津波古香織局長は「地震が起きたとき郵便局内で事務作業をしていた。最初に横揺れがあり続いて縦揺れがあった。ぐわんぐわん揺れるような状態になってものにつかまらないといけない状況だった。消毒液が3本棚から落ちたが、ほかのものが落ちることはなかった。これまで経験した中でいちばん大きな地震だった」と話していました。

肥後村長「希望する悪石島の島民の島外避難進める」

十島村の肥後正司村長はヘリコプターで悪石島を訪れ、現地の状況を確認しました。十島村役場がある鹿児島市のヘリポートに戻った肥後村長は「崖崩れのようなものが確認できましたが、道路の通行に影響が出るような状況ではありませんでした」と説明しました。

また悪石島の島民について「地震が続きそうだということで不安な様子でした。島外避難をしたいという住民もいましたので、自治会と協議したうえで検討していきたい」と話しました。

そのうえで「今回のような地震が続くようであれば村としてできることは限られる。国や県に相談しながら住民のライフラインを確保していくことになると思う」と話しました。

このあと肥後村長は、十島村役場で今後の対応について協議し、午後5時半からの会見で「希望する悪石島の島民の島外避難を進める」と述べました。

悪石島小中学校教頭 「今までにない揺れ」

悪石島小中学校の芝原寛教頭がNHKの電話インタビューに応じ「最初に突き上げるような縦揺れがあったあと、長い時間大きな横揺れが続きました。今までにない大きな揺れでした」と振り返りました。

島の人たちは小中学校に避難したあと、今後の避難のしかたや食料の確保などについて確認しながら過ごしていたということです。

芝原教頭は「日曜日に震度4の揺れがあってから回数が少なくなり収束に向かっていたと思っていたところでしたが、今後もまた大きな揺れが来ないかとても心配です。島の人はすでに皆さん自宅に帰りましたが、今後も大きな揺れがあった場合は、学校に集まることになっているので油断のないよう備えたいです」と話していました。

悪石島の民宿経営者「大きな被害なし」

震度5強の揺れを観測した鹿児島県十島村の悪石島で民宿を経営する松下賢次さんは「窓に飛散防止のフィルムを張っていたのでガラスが割れることはなく、特に大きな被害はありませんでした」と話していました。

悪石島発電所「断水や停電は起きていない」

震度5強を観測した十島村の悪石島にある悪石島発電所の有川睦男さんは「20秒から30秒ほどの横揺れが続き、棚から箱が落ちてきました。断水や停電は起きておらず、消防が島内を回って被害を確認しています」と話しています。

悪石島 遊歩道が崩れているという情報

十島村によりますと、震度5強の揺れを観測した悪石島の湯泊温泉の近くで遊歩道が崩れているという情報があり、村が詳しい状況を確認しているということです。

悪石島とは

悪石島は鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に位置するトカラ列島の一つで、7つの有人島のうち北から5番目に位置しています。

島は断崖絶壁に囲まれ周囲は12キロ余り。主な産業は漁業と畜産業で、島には民宿のほか小中学校があり、9日時点の人口は75人です。

島に空港はなく、週に2便の村営フェリーが唯一の定期航路で鹿児島市から10時間かかります。

また悪石島に伝わる仮面神「ボゼ」は3年前にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

震度4 小宝島出張所の職員「大きな横揺れが15秒ほど続く」

震度4を観測した鹿児島県十島村の小宝島出張所の男性職員は「大きな横揺れが15秒ほど続きました。周りでものが落ちることなどはありませんでした。今のところ住民からの被害の報告はありません」と話していました。

トカラ列島近海で地震相次ぐ

福岡管区気象台によりますと、鹿児島県のトカラ列島近海では今月4日から地震が相次いでいて、震度1以上の揺れを伴う地震が9日の午前11時までに226回観測されていました。

日付別では、4日が59回、5日が87回、6日が45回、7日が27回、8日が5回で、9日は震度5強の地震を観測する以前の午前11時までに3回観測されていました。

専門家「地盤が緩み崖崩れに注意」

今回の地震について地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古村孝志教授は「トカラ列島付近ではこのところ地震活動が活発になっていた。これまでも数年から数十年に一度、地震活動が高まる特徴がある地域で、2000年にもマグニチュード5.9の地震が起きている」と指摘しました。

そのうえで「地震が頻繁に起きているため、地盤が緩んで崖崩れのおそれが考えられるので注意してほしい。また、マグニチュード6程度では津波の心配はないがマグニチュード7クラスになると津波のおそれも出てくる。今後1~2週間程度は地震活動に注意してほしい」と話していました。

専門家「すでに落石の可能性も」

土砂災害に詳しい鹿児島大学の地頭薗隆教授は、悪石島について「火山の噴出物や溶岩が冷えかたまってできた島で、溶岩は冷えるときに亀裂が入る特徴があるため、地盤が緩い場所がある」と話しています。

そのうえで、「地震による土砂崩れは、震度5弱から発生する可能性が高まる。今回は有感地震が200回以上起きていることから、亀裂のある箇所がもろくなっていたり、すでに落石が起きていたりする可能性も考えられる」と指摘し、急な斜面に絶対に近づかないよう呼びかけています。

専門家「これまでと同様の傾向」

南西諸島北部の地震活動に詳しい鹿児島大学南西島弧地震火山観測所の仲谷幸浩特任助教は、「今月4日から続く一連の群発地震の一環と考えているが、その中でも最大の規模だ。北西から南東方向に引っ張る力に起因した地震で、今月4日からの活動やことしの4月の群発地震と同様の傾向がみられる」と指摘しています。

今回の震度5強の地震をはじめ、一連の地震が起きている悪石島と小宝島の間の海底には、「トカラギャップ」と呼ばれる東西に延びるくぼ地があると考えられていて、地下にも断層がある可能性が指摘されています。

仲谷特任助教は、「この地域では、2000年10月にもマグニチュード5.9の地震が発生して、悪石島で最大震度5強を記録している。強い揺れを感じたら、直ちに身を守る行動を取っていただきたい」としています。

磯崎官房副長官「今後も注意を」

磯崎官房副長官は記者会見で「悪石島の住民全員の無事を確認したほか建物や原子力施設についても現時点で被害の報告は受けていない」と述べ、引き続き、対応に万全を期す考えを示しました。

そのうえで「この地域では過去にも地震活動が継続する例があったため当面同じ程度の地震に注意していただきたい。また揺れが大きかった地域では落石や崖崩れなどの危険性が高まっており、自治体などの避難情報のほか、テレビ・ラジオなどの情報にも注意するようお願いしたい」と呼びかけました。