【全文】皇后さまが誕生日にあたって寄せた文書

皇后さまが誕生日にあたって寄せた文書の全文です。

今年も誕生日を無事に迎えることができましたことを有り難く思います。

また、今月初めには娘の愛子が成年を迎え、多くの方々から温かい祝福を頂きましたことに心から御礼を申し上げます。

5日に行われた成年の行事もおかげさまで無事に終えることができ、安堵いたしました。

愛子が生まれてからの20年間は長かったようにも、あっという間だったようにも感じられますが、様々な思い出が思い起こされて感慨深く思います。

同時に、あの幼かった愛子がもう成年かと思いますと、信じられないような気持ちもいたします。

皆様には、これまで愛子の成長を温かく見守っていただき、心から感謝しております。

愛子には、これからも様々な経験を積み重ねながら一歩一歩成長し、成年皇族としての務めを無事に果たすことができますよう願っております。

愛子を引き続き温かく見守っていただけましたら有り難く存じます。
今年も昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の災厄に見舞われた年になりました。

国内はもとより、世界中で多くの方が亡くなる大変心の痛む年でした。

新型コロナウイルス感染症により、大切な方を突然亡くされた方々のお悲しみもいかばかりかと深く思いを寄せております。

また、今も闘病中の方や後遺症に苦しまれている方々にはお辛いこととお察しし、心からお見舞いを申し上げます。

同時に、昨年来、新型コロナウイルス感染症の治療などに携わってこられた医療従事者の皆様の長きにわたる御苦労や、心身のお疲れもどれほど募られていることかと案じております。

これまで、多くの国民の皆様が力を合わせ、日々努力を重ねられてきた結果、幸いにして、現在は我が国での感染者や重症者の数が落ち着いてきています。

他方で、海外で感染者が増加しているほか、懸念すべき新たな変異株の出現など、まだまだ予断を許さない状況が続いており、今後とも、皆が心を合わせて、できるだけの対策や努力を続けていく必要を感じます。

今後、国の内外でワクチンや治療法の研究・開発など新型コロナウイルス感染症の克服に向けた取組が更に進められ、一歩ずつではあっても、我が国、そして世界の人々が着実にこの試練を乗り越えていくことができるよう願っています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。

多くの方にとって、今年も御苦労の多い年だったのではないかと思います。

特に、経済的社会的に苦境に直面している方が多くおられることに心が痛みます。

働く女性の自殺が約3割増加し、小中高生の自殺も過去最多となり、昨年の自殺者数は11年ぶりに増加に転じたとも報じられています。

人と人とが触れ合うことが難しく、孤独を感じやすい今だからこその問題であるようにも感じています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が社会経済活動に大きな影響を及ぼしている結果、収入の減少や進学の断念など、様々な苦境に立たされている方が大勢おられるとの報道にも胸が痛みます。

人が自らの命を絶つといった悲しく痛ましい出来事ができる限り起こらないよう、周りの人に相談したり、身近な支援窓口に足を運ぶことが容易にできるよう、これまで以上に皆でお互いを気遣い、支え合っていける社会となっていくことを願っています。
東日本大震災の発生から今年で10年になりました。

この10年を振り返り、深い悲しみを新たにされた方も多くおられたのではないかと思います。

私自身も地震発生当時の大変な状況を思い起こす機会が多くありました。

また、震災後10年に当たり、岩手県、宮城県、福島県の復興状況をオンラインで見せていただき、被災された方々とお話しする機会を得ましたが、各地で復興が進み、生活の基盤が整いつつある中にあって、今もなお生活を再建できずにいる方や、癒えることのない心の傷を抱えた方々もおられることに心が痛みます。

今後とも、陛下と御一緒に被災地の方々に心を寄せていきたいと思っております。

そして今年も残念ながら、豪雨災害などの自然災害が様々な所で発生しました。

7月8月の豪雨では、各地で観測史上1位の降雨量を記録し、静岡県熱海市を中心に多くの方が亡くなられたり、行方不明になられたことは痛ましいことでした。

亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

世界に目を向けても、気候変動の影響によるものと思われる災害が増加しており、今後の対策がますます重要になってくるものと思われます。

このような中で、温暖化予測にも用いられた気候モデルを開発された眞鍋淑郎さんが今年のノーベル物理学賞を受賞されたことはとても意義のあることと思います。

地球環境問題は、将来世代の存続に関わる問題であり、今を生きる私たち一人一人の意識や行動が、これからの地球環境に大きな影響を及ぼすものであるとの認識を広めるきっかけとなった眞鍋氏の研究が、高く評価されたことを喜ばしく思います。

私自身、大学時代にエネルギー経済学を少し学び、また、結婚前に仕事をしていた頃に気候変動問題を含む環境問題に携わっていたことがあり、気候変動や地球環境の問題の大切さに日々思いを深くしております。

この夏、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が日本で開催されました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大という困難な課題を抱えながらの開催となり、参加選手や関係者の皆さんの御苦労も大きかったと思いますが、無事に終了し、安堵いたしました。

オリンピック・パラリンピックともに、競技をテレビで観戦しましたが、コロナ禍での様々な制約を受けながらも、それぞれに力を尽くして競技に臨む選手の姿や、国を越えてお互いの健闘を讃え合う選手の姿が印象的でした。

また、日本の選手の皆さんの活躍にも素晴らしいものがあり、多くの人々が感動を分かち合ったものと思います。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大という困難な状況の中で、努力を続けられた選手や、選手を支えられた指導者やスタッフの皆さん、そして大会の実施を支えられた運営スタッフ、ボランティア、医療従事者、警備担当者など多くの関係者の皆さんの尽力に敬意を表したいと思います。

スポーツの分野においては、投打の「二刀流」で、この秋日本人として2人目の大リーグMVPに満票で選ばれた大谷翔平選手の活躍も、多くの人々に勇気と希望を与えたものと思います。
私自身につきましては、今年2度目となった養蚕も、初めて、給桑、上蔟、繭掻き、繭切り、採種などの全ての作業に5月から6月にかけて携わることができ、御養蚕所の主任や周囲の助けを得ながら、今年も無事に終えることができましたことを嬉しく、また有り難く思いました。

来年も蚕を育み、養蚕の作業を行うことを楽しみにしております。

9月には、上皇上皇后両陛下の長く住まわれた皇居吹上の地に移り住むこととなりました。

長年住み慣れた赤坂の地を離れることには寂しさを感じましたが、自然豊かな吹上の地での新たな生活をつつがなく始めることができましたことを有り難く思っております。

上皇上皇后両陛下には、吹上の御所の改修の間、そして私たちの移居までの間、温かくお見守り下さいましたことに感謝申し上げております。

また、赤坂でお世話になった多くの方々や皇居への移居に際して尽力していただいた全ての方に感謝いたします。

上皇上皇后両陛下には、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き外へのお出ましが難しい日が続かれていることと存じますが、くれぐれもお体を大切になさり、お健やかにお過ごしになりますよう心よりお祈り申し上げます。

そして、赤坂での仙洞御所の改修工事が順調に進み、御無理のない時期に御移居が叶うことをお祈りしております。

日頃より、私たちや愛子を温かくお見守りいただいておりますことに重ねて御礼を申し上げます。

天皇陛下には、コロナ禍の中でも引き続きお忙しい日々をお過ごしですが、変わらずお元気でいらっしゃることを何よりありがたく存じます。

また、常に私の体調にお気遣いいただき、深く感謝申し上げます。

これからも陛下をお傍でお支えできますように、また、私自身の務めを果たしていくことができますように、体調の快復に向けて努力を続けていきたいと思います。

今年もこの機会に、国民の皆様から日頃より寄せていただいている温かいお気持ちに対し、厚く御礼を申し上げます。

そして、改めて新型コロナウイルス感染症の収束を心から願うとともに、国民の皆様が心を寄せ合ってこの困難な状況を乗り越え、全ての人が安心して暮らせる日が一日も早く訪れることを心から願っております。