「オミクロン株か1日以内に判別」都が独自の検査手法を確立

東京都が独自に確立した新型コロナの新たな変異ウイルス、オミクロン株の検査は、1日以内に判別することができます。

この検査を確立した都の研究機関の所長がNHKのインタビューに応じ「新しい株が日本で広がる前に、早めに手を打つことができるのがいちばん大きい利点だ」と述べ、検査の意義を語りました。

都の研究機関「東京都健康安全研究センター」は、新たな変異ウイルスオミクロン株を判別できる独自の検査手法を確立し、先週から実際に持ち込まれた検体でこの検査を始めています。

検査では、まず、現在、国内の新型コロナウイルスのほとんどを占めているデルタ株が持つ「L452R」の変異があるかどうかを調べます。

「L452R」の変異が見つからなければ、つまり、デルタ株でなければ、こんどは「E484A」の変異などオミクロン株の特有の変異があるかどうかを調べます。

今回、この「E484A」の変異の有無を調べる試薬を新たに開発できたことで、独自のPCR検査が可能になりました。

このPCR検査だと、結果は1日以内で判明するということで、ウイルスの遺伝子の情報をすべて調べて、オミクロン株かどうかを確定させる遺伝子解析よりも、大幅に時間を短縮することができます。

「東京都健康安全研究センター」の吉村和久所長は7日、NHKのインタビューに応じ、今回、独自に確立したPCR検査の意義を語りました。

吉村所長は「今、日本では感染者がかなり減っている。新しい株が日本に広がる前に、早めに手を打つことができるのがいちばん大きい利点だ。広がったあとに手を打つと、人的にも資源的にもロスが大きいが、疑いがある患者や濃厚接触者を早期に囲い込むことができれば、保健所の担当者などの負担がかなり軽減できる。それがいちばん期待できるのではないか」と述べました。

また「今、何が起こってるかを正確に知ることが、このような状況ではいちばん重要だ。どういう株がはやっていて、その株がどういう特徴を持っているか、現時点で分かっていることを把握することが、安心感につながるのではないか」と述べました。

そのうえで、オミクロン株について「ワクチン接種で重症化をたぶん防げるだろうと考えている。ただ、感染者が増えると重症者が増えるので、感染の広がりを防ぐことがいちばん重要だ。そのためにワクチン接種やマスクの着用、手洗いを続けることはこれまでの株と変わらない。感染を防ぐためにいちばん有効で、こうした対策を続けていくことが重要だ」と指摘していました。