中国の経済活動 ことし1月には回復か 大気中のCO2観測で分析

中国から風で運ばれてくる大気中の二酸化炭素を沖縄県の島で分析したところ、中国での経済活動が新型コロナの影響前の水準に、ことし1月には戻っていたとみられると国立環境研究所などが公表しました。

国立環境研究所と海洋研究開発機構は、沖縄県の島で大気の成分の解析を行っていて、冬場は西寄りの風で中国から大気が運ばれてくるため、二酸化炭素の比率などから中国の経済活動を推定できるとしています。

解析の結果、新型コロナの対策として中国の広い範囲で人の移動などが制限された去年2月と3月に二酸化炭素の比率が、前の年の同じ月よりも20%から30%減少していて、中国の経済活動が停滞したことによるものとみられていました。

ところが、およそ1年後のことし1月から3月までの大気を解析したところ、過去の観測の平均値と比べて新型コロナの影響がでる前の水準にまで戻っていることが分かったということです。

この傾向は、石油の消費量などの統計の調査からも指摘されていて、今回のデータはこうしたことを補強するデータだとしています。

国立環境研究所の遠嶋康徳室長は「わずか1年で元の水準に戻っているのが裏付けられた。二酸化炭素の量は地球温暖化の議論でも重要なデータなので、調査を継続していきたい」と話しています。