首相 オミクロン株 “まだ危機のさなか 気引き締め対応を”

新型コロナの新たな変異ウイルスが各国に広がっているのを受けて、政府が30日から、外国人の新規入国を原則停止したことについて、岸田総理大臣は、念のための臨時の措置だとして国民に丁寧に説明するとともに緊張感を持って対応にあたる考えを強調しました。

南アフリカで確認された新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が各国に広がっているのを受けて、政府は、世界のすべての国や地域を対象に30日午前0時から外国人の新規入国を原則停止しました。

これについて岸田総理大臣は、30日朝に開かれた自民党の役員会で「オミクロン株についての情報が、ある程度明らかになるまでの念のための臨時の措置だ。国民の皆さんに、ご理解いただけるよう丁寧に説明していきたい」と述べました。

そのうえで「医療提供体制の強化や、3回目のワクチン接種など、最悪を想定した準備を着々と進めていく。われわれはまだ危機のさなかにあり、気を引き締めて対策にあたりたい」と強調しました。
また茂木幹事長は「オミクロン株の国内流入や感染拡大を未然に防ぐため、速やかに厳格かつ時限的な措置をとったことは極めて適切だ」と述べ、政府の対応を評価しました。

松野官房長官「変異株PCR検査など国内体制強化」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で、南アフリカで確認された新たな変異ウイルス「オミクロン株」への感染が各国で拡大している状況を踏まえ、より早期に変異株を検出できるPCR検査の準備を進めるなど国内体制の一層の強化を図る考えを示しました。

松野官房長官は、記者会見で「現時点で空港検疫を含め、日本国内では確認されていないが、国内での感染・発生に備え、現在、実施中のゲノム解析に加え、より早期に変異株を検出できる、変異株PCR検査の準備を進めており、これらにより発生動向を監視し、早期の感染拡大防止策を講じることとしている」と述べました。

そして「医療提供体制についても感染力が2倍となった場合にも対応できるよう、この夏と比べて約3割増のおよそ3万7000人が入院できる体制の構築を進めている。引き続き、自治体等と連携しながら必要な対策に取り組んでいく」と述べました。

また日本時間の29日夜開かれたG7=主要7か国の緊急の保健相会合について「G7各国が協力した対応を表明したことは意義がある。引き続き、水際対策の強化とゲノム解析の実施強化によるモニタリングを進めるとともに、G7やWHO=世界保健機関と連携を強化していく」と述べました。

このほか、松野官房長官は、現時点で政府が把握しているオミクロン株の感染が確認されたか、感染の疑いがある国や地域の数が23あることを明らかにしました。

山際経済再生相「危機感を持って対応したい」

南アフリカで確認された新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が各国に広がっていることについて、山際経済再生担当大臣は30日の閣議のあとの会見で「オミクロン株は国内では確認されていない。水際でストップできれば、状況は落ち着いているので、国内の経済活動を何か制限する必要はない」という認識を改めて示しました。

一方で「オミクロン株はどのようなものか分からず、最大限の注意を払っていく必要がある。新たな局面が出てくれば政府として柔軟に対応するのは当然のことで、危機感を持って対応したい」と述べ、国内の経済活動への影響も含め、状況を注視していく考えを示しました。

公明 山口代表「政府の措置は妥当」

公明党の山口代表は、記者会見で「政府のとった措置は妥当だと評価したい。オミクロン株については、専門家の研究や知見を重ねないといけないが、時間がかかる部分もあるので、分かってから対応をとるのでは遅い。並行して科学的な検証を行うとともに、緊急の対策を素早く実施する必要がある」と述べました。