「オミクロン株」感染拡大 “水際対策の強化を検討” 岸田首相

南アフリカで確認された新型コロナの新たな変異ウイルスの感染が広がりを見せていることから岸田総理大臣は、記者団に対し、水際対策の一層の強化を検討していることを明らかにしました。

南アフリカで確認された新たな変異ウイルス「オミクロン株」をめぐって、政府は、先に南アフリカなど9か国への水際対策を強化しましたが、イギリスやドイツなどヨーロッパに加え、オーストラリアでも感染が確認されるなど、感染が広がりを見せています。

これについて、岸田総理大臣は29日朝、総理大臣官邸で記者団に対し「オミクロン株については強い危機感を持って臨んでいる。世界的な拡大の動きもあるので、さらなる水際対策の強化については、引き続き、検討を行っており、しかるべきタイミングで発表したい」と述べました。

また、記者団が「オミクロン株へのワクチンの効果が分かっていない中で、予定どおり3回目の接種を行うのか」と質問したのに対し「ワクチンや治療薬は専門家の間で検証が進められており、それをしっかり確認したい。現状においては、ワクチンは予定どおり接種を開始することを考えている」と述べました。

松野官房長官「状況悪化の場合は機動的に対処」

松野官房長官は29日午前の記者会見で「オミクロン株について、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだなく、疫学的な評価を行うには十分な情報はまだ得られていないものの、強い危機感を持って対応している」と述べました。

そのうえで、水際対策について「きのう午前0時から、南アフリカなど9か国を対象に外国人の新規入国を停止した。この措置により、先般再開された受け入れ責任者の管理のもとでの限定的な形での新規入国も、これら9か国については認めないこととなった。また、これら9か国からの日本人の帰国や再入国許可を有する外国人の入国は、検疫所の確保する宿泊施設での10日間待機対象の指定国・地域に指定したところだ」と説明しました。

そして「危機管理の要諦は最悪の事態を想定することであり、水際対策について、新たな変異株の感染が拡大するなど、状況が悪化する場合には、機動的に対処していくこととしている。国民の不安を予防的に取り除くとの観点も踏まえ、迅速かつ適切に対応していく考えだ」と述べました。

また、G7=主要7か国の緊急の保健相会合について「政府としてG7も含めて、各国が連携して対応することが重要だと認識しており、この会合を重視している。諸外国やWHO=世界保健機関の動向などの情報収集に努めていきたい」と述べました。

自民 茂木幹事長「どういう対策が有効か検証したい」

自民党の茂木幹事長は記者会見で「感染力が強いと言われており、ワクチンの抗体をすりぬける危険性があるという指摘もある。ただ、実態が完全にわかっているわけではなく、まずはオミクロン株がどういうもので、どういう対策が有効なのか、しっかりと検証していきたい」と述べました。

公明 山口代表「いましっかり対応取ることが重要」

公明党の山口代表は、政府与党連絡会議のあと、記者団に対し「デルタ株は、注目された時には国内に既に入り込み、やや後手に回ったが、それを繰り返してはならない。オミクロン株は、まだ国内では確認されていないので、いましっかり対応を取ることが重要だ。入国者の停留措置を徹底して行うことや、ワクチンの効果など、専門的な英知を結集して早急に検討を煮詰めるべきだ」と述べました。