“接種証明” ないと旅行に行けないかも? 紛失相次ぐ 現場は

旅行などに必要なこともあるワクチン接種証明の書面。
紛失などが相次ぎ、東京23区では少なくとも1万6000件分を再発行していたことがわかりました。

旅行の必需品!?“接種証明”

添乗員付きのバスツアーなどを企画する都内の旅行会社では、利用者からの要望を受けワクチン接種を2回終えた人を対象としたツアーを10月から実施しています。
ツアーの集合場所では、出発を前にバスの添乗員が参加者ひとりひとりに、接種を終えたことを証明する書面を撮影した画像を提示してもらい、免許証などで本人確認をしていました。

旅行会社の広報担当者は「不安を抱えている方もいるのでその不安を少しでも取り除くために企画しました。ワクチンの接種証明やPCR検査を活用したツアーを今後も展開していきたい」と話していました。

「接種済証」「接種記録書」東京23区で1万6000件分再発行

接種したことを示す書面は
▽自治体で受けた場合に発行される「接種済証」と
▽接種券を持たずに職域接種などを受けた場合に渡される「接種記録書」の2種類があります。

こうした書面について、自治体の窓口には「紛失してしまった」とか「記録書だけでなく接種済証もほしい」といった問い合わせが相次いでいます。
NHKが東京23区に取材したところ、集計していない4つの区を除いた19の区の合計で、今月下旬までに少なくともおよそ1万6000件分を再発行していたことがわかりました。

多いところでは
▽ことし5月から対応していた文京区がおよそ5000件
▽足立区で1500件余り
▽江戸川区でおよそ1500件
▽大田区でおよそ1400件
▽渋谷区で1300件余りなどとなっています。

品川区は独自の証明書で対応

東京 品川区では、高齢者の接種が始まった ことし5月ごろから「接種済証を紛失してしまった」という問い合わせが寄せられ始め、区独自の証明書を発行する形で対応してきました。
これまでに528件分を発行していて、特に緊急事態宣言が解除されたあとは問い合わせや申請が増えていて、10月以降、300件以上が寄せられているということです。
発行は紛失した人だけを対象にしていて、担当の職員が国の記録システムをもとにしたデータベースにアクセスし、申請者の名前や住所、生年月日などからワクチンの接種記録を探します。

記録が確認されると、接種した日付などを入力した区独自の証明書を、郵送や窓口で渡しているということです。

3回目接種 控えるなかで…

品川区保健所の新型コロナウイルス予防接種担当課の豊嶋俊介課長は「1件の発行にもいつ、どこで接種したのか正確に確認する作業が必要になるので、それなりの労力や時間がかかります。さらにいま、3回目接種の準備も同時に進めているので、今後さらに再発行の問い合わせが多くなっていくと、ワクチン接種の業務全体に影響が出かねません」と話していました。

内閣官房の担当者 「手元で大切に保管して」

政府は、再び緊急事態宣言が出された地域でも、ワクチン接種の証明か検査による陰性の証明の いずれかを確認することで行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」制度を打ち出していて、接種証明の活用への関心が高まっています。

内閣官房の担当者は「ワクチンを接種した時に受け取った書面は必ず手元に残し大切に保管してほしい」と呼びかけています。