高値が続く燃料価格 暮らしや産業へのさらなる影響に懸念

レギュラーガソリンの小売価格は168.7円で先週より0.2円の値下がり。灯油は先週と変わらず。原油高を背景に、依然として燃料価格の高値水準が続いています。
これから暖房需要が高まる冬を迎える中、暮らしや産業への更なる影響が懸念されます。

灯油配達の業者 29日から値上げへ

福井県内で灯油の配達をしている「県民せいきょう」は、今シーズンの灯油の配達を先月(10月)25日から始めています。
当初は1回の配達が50リットルまでの場合、価格を1リットルあたり115円で販売する予定でしたが、昨シーズンに比べると35円も高く、家計への負担が大きいとして1か月限定で110円に据え置いてきました。

しかし、これ以上の価格の据え置きは厳しいとして、今月29日からは購入量が多い場合を除いて当初想定していた115円で配達することになりました。
この「県民せいきょう」では、組合員にチラシを配って、値上げについて、理解を求めることにしています。

値上げ前に灯油の配達を受けた女性は「値上げは困りますが、しかたありません。我慢するしかないです」などと話していました。

北海道 根室市 最大で1万円分の灯油代助成へ

これから厳しい寒さとなる北海道根室市は高齢者やひとり親の世帯を支援しようと、最大で1万円分の灯油の引換券を配布することになりました。

対象となるのは根室市のおよそ2400世帯で、75歳以上の高齢者がいる世帯や障害者がいる世帯、それにひとり親の世帯にはそれぞれ1万円分、生活保護を受給している世帯には5000円分の灯油の引換券が配布されます。

来月1日以降、根室市役所の窓口や郵送で申請の手続きを行うと引換券が配布され、市内の給油所などで使うことができます。

財源としてふるさと納税の寄付金を活用することにしていて、およそ2300万円の費用を盛り込んだ補正予算が25日の市議会で可決されました。

根室市が灯油代の助成を行うのは7年ぶりで、担当者は「家計に占める灯油代の負担が増えているので、市民が安心して温かい年越しを迎えるための一助となれば」と話しています。

バス会社 コロナと原油価格高騰 “ダブルパンチ”

愛知県豊橋市のバス会社では新型コロナウイルスの影響による利用者減少に燃料費のコストアップが重なり、厳しい経営状況に陥っています。

「豊鉄バス」はおよそ120台のバスを保有し、東三河地方を中心に路線バスや高速バスなどを運行しています。
会社ではこれらのバスの燃料として、1日あたり4000リットル以上の軽油を使用しています。
軽油の価格も上昇していて、今年度に入って先月までの燃料費は昨年度の同じ時期に比べ4割近く、金額にしておよそ3000万円増加しました。

会社によりますと、感染防止対策としてバスの一部の窓を開けて換気していることでエアコンの効きが悪いことも燃料費がかさむ要因になっているということです。
このバス会社では、新型コロナウイルスの影響で今年度の先月までの利用者は感染拡大前のおととしの同じ時期より2割程度減っているということです。

「豊鉄バス」の白井良充取締役運輸部長は「新型コロナの影響と燃料費の上昇のダブルパンチで厳しい状況になっている。サービス水準を下げることはできないためこのままでは経営が立ちゆかなくなってしまう。公的な支援もお願いしたい」と話していました。

イチゴ農家「この状況続けば生産量を減らさないと…」

原油価格の高騰に伴う農業用資材の価格上昇でイチゴの生産が盛んな高知県佐川町の農家にも影響が出ています。

佐川町は21軒の農家がイチゴの生産を行っていて、高知県内屈指の生産地です。このうち植田正和さんは4棟の農業用ハウスで年間およそ10トンのイチゴを生産しています。
植田さんによりますと原油価格の高騰の影響で農業用ハウスに使う鉄骨やシート、それに肥料などの農業用資材の価格が5%から20%ほど上昇しているということです。
これにより、例年よりも生産コストが10%ほど増える見込みで、生産量を増やせば増やすほどコストがかかってしまう状況だということです。

植田さんは「この状況が続けば生産量を減らさないといけないかもしれない」と話していました。
また、国が備蓄している石油を放出することを決めたことについて「その効果が自分のところに来るまでどれくらいの時間がかかるのかわからない。事態の根本的な解決につながらないのではないかという不安がある」と話していました。

クリスマスに人気の花にも影響

クリスマスに人気の花、ポインセチアを栽培する北海道恵庭市の園芸会社でも影響が出ています。

園芸会社「サンガーデン」は、赤や緑のポインセチアを栽培していて、ことしも今月から16品種、およそ2000鉢を商業施設やホームセンターに出荷しています。

ポインセチアの栽培には農業用ハウスの中の温度を16度以上に保つ必要があるということで、このほかの品種も含め、冬の間は多いときで25棟のハウスを暖房で温度管理をしています。

暖房には灯油が使われていて、原油価格の高騰の影響で、この冬の燃料費は去年のシーズンより500万円から600万円多くかかると試算しているということです。

このためまきを使ったボイラーを併用するなど灯油を使う量を少しでも抑える工夫をしています。
ポインセチアは、すでに先月までに予約を受け付けているため、ことしは値上げができないということですが、このまま燃料費の高騰が続けば値上げを検討せざるをえないとしています。

サンガーデンの山口展正専務取締役は「ことしは夏の暑さが大変でしたが、例年通りきれいに色をつけてくれました。本当は植物の価格に転嫁したいですが、お客さんが買ってくれるかはわからないので、値上げをするとしても予告をしたうえで次のシーズンからしかできません」と話していました。

石油連盟の会長「補助金はすべて卸売り価格に転嫁する」

政府はレギュラーガソリンの小売価格の全国平均が1リットルあたり170円を超えた場合、石油元売り会社に最大5円分の補助金を出し卸売り価格を引き下げてもらうことで小売価格の上昇を抑える緊急対策に乗り出します。

この対策について石油元売り会社でつくる石油連盟の杉森会長は「いただいた補助金はすべて卸売り価格に転嫁する」としたうえで「消費者や小売業者の間でさまざまな誤解が生じる場合がある。政府は制度の趣旨や中身について徹底した説明をしてほしい」と述べました。

一方、アメリカや日本などが協調して石油の国家備蓄の一部を放出する方針を決めたことについて「各国が同時に備蓄を放出することになるので、急激にあがる原油価格の抑制策につながってほしいという期待はある」と述べました。