基礎から知りたい!地球温暖化

基礎から知りたい!地球温暖化
世界が直面する「地球温暖化」。どんな仕組みで起きているか、説明できますか。いまさら聞けない基本的なことから改めて学んでいきます。

問題に挑戦!

問題
地球温暖化に対する国際的な取り組みは、1992年にブラジルで気候変動枠組条約が結ばれて始まりました。1995年からはその条約の参加国が毎年一度集まって、気候変動枠組条約締約国会議が開かれ、第1回はドイツのベルリンで行われました。
(気候変動枠組条約締約国会議に下線)
下線部の略語はアルファベット3文字に何回目の会議であるかの数字がつけられます。2018年の12月に開催された会議は、何とよばれていましたか。
ア.COP18 イ.COP24 ウ.TPP18 エ.TPP24
(恵泉女学園中学校 2019年 改題)
COPは1995年から毎年開かれ、問題は2018年の会議なのでCOP24が正解です。

ただ2020年に開かれる予定だったCOP26は、新型コロナウイルスの影響で延期され、2021年にイギリスで開催されました。

そのCOP26で採択されたのが「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求する」という内容。
この「上昇を1.5度に抑える」ということばが、どれほどの意味を持つのでしょうか。

地球温暖化のメカニズム

国立環境研究所の江守正多さんに聞きました。
地球温暖化がどういうものなのか、改めてわかりやすく説明していただくと、どうなりますか。
江守さん
「人間活動が主な原因で地球の温度が長期的に上がっているということですね」
人間の活動の主に何が原因なんでしょうか。
江守さん
「主にエネルギーです。石炭・石油・天然ガスを燃やしているので二酸化炭素が出ている。これがいちばん大きいです」
地球温暖化のメカニズムを見ていきましょう。
地球は太陽のエネルギーで暖められています。
暖められた地表からは熱が放出され、その一部は宇宙空間に放出されています。
しかし、大気中に二酸化炭素など温室効果ガスが増えると、これまで以上に熱を吸収。この結果、大気が徐々に暖まります。
これを「地球温暖化」と呼ぶのです。
江守さん
「1万年ぐらい、大体14度から15度ぐらいの温度に保たれているけれども、その間は大体太陽からもらうエネルギーと、地球から宇宙に放出するエネルギー(熱)が釣り合っていたと考えられます」
それが今、バランスがおかしくなっているということでしょうか。
江守さん
「今もほとんど釣り合っているけれども、微妙に出る量が少なくなっている。それによって地球にだんだん熱がたまっていっているということです」

温暖化は人間のせい!?

画像は、およそ2000年前からの地球の平均気温を表すグラフです。
上下しながらも、長い間、横ばいだった気温は、1850年を境に急上昇。今もその傾向が続いています。
1850年以降、急激に上がっていますが…
江守さん
「いわゆる産業革命です。人間が石炭を掘り出して燃やして、それでエネルギーを作って、社会を発展させるということを始めたわけです。それ以降、石油を使うようになり、天然ガスを使うようになり、車が増えて、発電所が増えて、工場が増えて、もっともっとエネルギーを使って、もっともっと二酸化炭素を出すようになっていったということです」
大昔、地上に生えていた植物などが変化してできた石炭や石油などの化石燃料。その中に数千万年から数億年もの間、閉じ込められてきた炭素は、エネルギーを得るために燃焼させると、二酸化炭素となって大量に大気中に放出されてしまうのです。

平均気温1度上昇の影響

こうした温暖化の基礎を踏まえたうえで、COP26で採択された「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求する」という内容。
どれほどの意味があるのでしょうか。
江守さん
「そんな1度とか2度で変わるんですかと思うかもしれない。しかし、気温が大体1度上がると7%ぐらい大気中の水蒸気が増え、水蒸気が多い分、割り増しで雨が降りますので、雨も今までになかった記録的なものが増える。そんなふうにして、今まで起きなかったようなより記録的な大雨や暑さが来るようになります。気候の条件が変わってしまうということは、人間にとっては非常に問題になるわけです」

地球温暖化の行く末は

目標は達成されるのか、そして、今後の地球温暖化の行く末は…

温暖化問題というのは、将来的に解決できる問題だというふうに考えていますか。
江守さん
「もちろんできます。できるかできないかで言ったらできますけれども保証はないです。絶対できるから安心していていいよという話ではないと思っています。まず関心を持っていただきたいと思います。例えば、気候変動対策は選挙の争点になったり、企業を評価するうえで重要な指標になったり、今は世界的にそうなっているので、社会の常識が変わっていって、産業が変わって、政策が変わって、それで初めて実現できるようなこと。自分はどこにどういう意見を言いにいったらいいのだろうかと、そういうことを考えていただく必要があると思います」
温暖化を抑制する1つの手段として、北海道苫小牧市では、二酸化炭素を回収して地下に封じ込める技術の実証実験が行われています。
ですが、江守さんによりますと、技術だけでは、温暖化を抑制するのは難しいということで、やはり石炭など化石燃料の使用を減らすほかないということでした。
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