横浜 中華街の小さな水族館 23日で閉館へ コロナで客が激減

ユニークな展示方法で人気があった横浜・中華街の小さな水族館が、新型コロナウイルスの影響で、23日で閉館することになりました。最終日前日の22日も多くの人が訪れ、別れを惜しんでいました。

「ヨコハマおもしろ水族館」 ユニークな展示で人気

23日で閉館することになったのは、横浜・中華街のビルの中にある「ヨコハマおもしろ水族館」です。

17年前の平成16年にオープンしたこの水族館。

ビルの3階部分、800平方メートル余りの小さな面積で、300種類、1200匹の海や川の生き物が飼育されていす。
特徴はユニークな展示方法です。

例えば、小さなタコの水槽の底には、たこ焼きのオブジェが並んでいます。

そのうちのいくつかは透明な入れ物になっていて、狭い場所が好きなタコが中に入るとちょっと変わったたこ焼きのように見えます。

この水族館、横浜を訪れる観光客に人気がありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で利用客が激減。

ことし4月から7月まで休館したほか、8月と9月の利用客もコロナ以前の半分以下に落ち込み、続けることが難しくなりました。

人気の水族館が閉館するとあって連日、大勢の人が訪れ、別れを惜しんでいます。

22日も受け付け開始の前に長い行列ができていました。

17年前のオープン時に訪れたことがあるという女性は「閉館すると聞いて来ました。楽しい展示は昔と変わっていないし、閉館するのはさみしい」と話していました。

また、東京都から訪れた50代の女性は「100回くらい来ています。この水族館は心のオアシスでもあり学びの場でもあったので、閉館すると聞いたときはびっくりしました」と話していました。

水族館は、23日も10時に開館し、午後5時で17年の歴史に幕を閉じるということです。

水族館で飼われていた生き物は、飼育業者に引き継がれるということです。
水族館の名誉館長の長谷川久志さんは「スタッフも一生懸命頑張ってやってきましたが、お客さんが来なければどうすることもできないので、本当に大変な時代を2年間やってきました。まだまだ、新しい魚なども持ってくるつもりでしたが、できなくなってしまって本当に残念です」と話していました。

展示方法や企画の考案者は

この水族館で、展示方法や企画を考案していた宇野喬さんも、閉館には悔しい思いをしています。

もともとこの水族館が好きで、就職したという宇野さんは「大きなテーマパークとか遊園地で遊ぶのも楽しいんですけど、もっとアットホームで、価格は安くても楽しみ方を工夫すれば価格以上の楽しみを提供できるような場所だと思って、この施設に飛び込みました」と話しています。

宇野さんは、最後まで利用客に楽しんでもらいたいと展示に工夫を凝らしています。

子どもたちにクリスマスの雰囲気を楽しんでもらおうというこの展示。

クリスマスらしい色や形の魚たちを集めました。

たくさんの生き物を同じ水槽に入れても争いにならないよう、種類やバランスに気を使ったということです。
さらに、ハゼとエビが共生する水槽も宇野さんたちのこだわりの展示です。

巣をつくるエビの周りで敵が来ないか、ハゼが見守っているというこの展示。

この水族館の展示の特徴をよくあらわしていると言います。
宇野さんは「全く違う生き物でも、協力しながら生きていることをここで展示しています。違う種類の生き物が一緒に協力しながら暮らしているというのは、大人のほうがぐっとくるものがあると思います。楽しみだけではなくて、その先に学びにつながるよう工夫して、展示を考えてきました」と話していました。

宇野さんは「まだまだやりたいこともたくさんありますし、従業員一同、早くたくさんのお客さんに来てほしいという思いでやっていたので、閉館が決まったときは非常に悔しく、悲しかったです。最終日がいちばんすてきな展示だったと胸を張れるようにお迎えする気持ちを持って、ご来館をお待ちしております」と話していました。