クリスマスまで1か月余 値上げや品不足 クリスマス商戦に異変

クリスマスまで1か月余り。コロナ禍でのクリスマス商戦の行方に注目が集まっていますが、ことしは、さまざまな要因が重なって、値上げや品不足が相次ぐなど異変が生じています。

ケーキは値上げ

その1つがケーキです。東京 恵比寿と中野に店を構える洋菓子店では、今月からクリスマスケーキの販売を始めました。

しかし、ケーキを作るのに必要な小麦粉や砂糖、チョコレート、それにイチゴなどの仕入れ価格が上がり続けているといいます。海外の産地の天候不順に加え、原油高の影響などで物流費が高騰しているためです。
店では、品質を維持しつつも仕入れ先を価格が安いほかの産地に切り替えるなどの工夫を重ねていますが、増えたコストの吸収は難しく、ことしは、やむをえずクリスマスケーキの価格を値上げしました。

1つ当たり3000円から6000円の価格帯のホールケーキで、去年に比べて100円から200円程度の値上げです。
この店では、新型コロナウイルスの感染拡大で1割ほど減った売り上げが最近、徐々に回復してきているということで、クリスマスシーズンの売れ行きが気がかりだといいます。

洋菓子店「パティスリーレザネフォール」のオーナーシェフ菊地賢一さんは「本当はもう少し値上げが必要だが、クリスマスには皆さんに笑顔になってもらいたいので、できるところで努力をして値上げ幅を抑えている。早く原材料の高騰が収まってほしいです」と話していました。

輸入コスト上昇 影響は雑貨店にも

ヨーロッパなどで作られたクリスマスの雑貨を取り扱う店には、輸入コストの上昇などの影響が出ています。

東京 銀座の雑貨店では、毎年、この時期にクリスマス雑貨の特設コーナーを設けています。

ことしは、コロナ禍で海外の生産体制が十分整っていなかったことや、原油高などによる輸送コストの上昇などで、3000円から4000円程度の海外製のクリスマスリースや木製の人形などを、200円から400円ほど高い価格で販売せざるを得ないということです。

さらに、コロナ禍からの経済の回復に伴い船のコンテナが不足していることや需要の旺盛なアメリカに商品が集中していることで、到着の遅れや欠品が相次ぐなど仕入れが不安定な状況が続いていて、ことし仕入れた商品の数は例年の半分程度にとどまっています。

追加で商品を輸入できる見通しも立たずこれまでのところ客足は順調だということですが、今後、本格化するクリスマス商戦を前に十分な量の商品を確保できるのか懸念されるといいます。

訪れていた人たちからは「特別な時期なので価格は気にせず気に入った物を買いたいです」といった声の一方、「クリスマス商品まで値上がりしているとは思いませんでした」という声も聞かれました。

雑貨店「エインカレム」の小松譲治店長は、「時間的にもコスト的にもクリスマスに向けて海外から新たに商品を輸入することは難しい状況です。皆さんの要望に応えるためにも今後、国内から商品を調達することも検討しています」と話していました。

バルーンに使うヘリウムガスも入手困難に

クリスマスの装飾品のバルーンに使われるヘリウムガスの入手が難しくなっていて、専門店では、予約の受け付けが難しくなる事態も起きかねないと懸念しています。

東京 港区のバルーン専門店は、インターネットでの販売のほかイベント会場などでの飾り付けを手がけていて、クリスマスはハロウィーンと並んで注文が集中する時期です。

バルーンはヘリウムガスを使うことで浮き上がりますが、最近、ヘリウムガスの入手が難しくなっているということです。

この店や輸入販売業者などによりますと、産地のアメリカからの供給が不安定になっていることや世界的な物流の混乱、コンテナ不足などが影響しているということです。
店が仕入れているヘリウムガスの価格は以前の3倍と急激に上昇しているということで店では、今月中旬からヘリウムガスを使うバルーンを10%値上げしました。

また、今のところ来月中旬までの予約分までの量しか確保できておらず、その後、入手できる見通しは立っていないということです。

新規の予約は、残りの量を計算しながら受け付けていますが、クリスマスに向けて商品の問い合わせも増えていて、今後は、受け付けを断らざるをえない事態も懸念され、ヘリウムガスではなく空気を入れた「浮かないバルーン」で代替することも検討しているということです。

バルーン専門店を運営する「ORYZAE」の中島裕社長は、「コロナも少し落ち着いて久しぶりにみんなで集まろうかという時期にちょうど重なってしまい、本当にどうしたものかという状況です。浮かないバルーンを使ってオブジェを作るとか、会場をにぎやかにできるような対応を考えています」と話していました。