アメリカ ワクチン接種外国人の入国措置開始 事実上の大幅緩和

アメリカで8日、新型コロナワクチンの接種を終えていることを条件に、外国人の入国を認める新たな措置が始まりました。これまで多くの国からの入国が原則として禁止されていたことから、事実上の大幅な制限緩和となります。

アメリカはこれまで新型コロナの感染拡大防止策として、ヨーロッパなどの多くの国からの入国を原則として禁止してきましたが、8日から、ワクチンの接種を終えていることを条件に、外国人の入国を認める措置が始まりました。

対象となるのは18歳以上で、WHO=世界保健機関か、アメリカFDA=食品医薬品局が認めている、ワクチンを接種していなければいけません。

空路で入国する場合、ワクチンの接種から2週間以上がたったことを証明する、公的機関が発行した書類を航空機の搭乗前に提示するとともに、出発前3日以内に受けた検査の陰性証明が必要となります。

日本からアメリカに渡航する場合、これまでは検査で陰性が証明されれば入国できましたが、新たな措置ではワクチンの接種完了が義務づけられるため、入国の条件が厳しくなります。

一方で、ヨーロッパの多くの国や中国、インドなどを過去14日以内に訪れた外国人は、これまでアメリカへの入国が原則として禁止されていたことから、今回の措置は事実上の大幅な制限緩和となり、冬の観光シーズンを前に航空や観光業界から歓迎の声が上がっています。

アメリカの空港 久しぶりの再会を喜ぶ人たち

アメリカで入国の制限が事実上緩和されたことを受け、東部ニュージャージー州のニューアーク空港では国際便が次々と到着し、久しぶりの再会を喜ぶ人たちの姿が見られました。

インドから到着したガールフレンドと9か月ぶりに再会したという男性は「インドからの便はすべて制限され、ずっと会うことができませんでしたが、ようやく彼女が来られたので、楽しい時間を過ごしたいです」と笑顔で話していました。

また、イギリスからニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に到着した男性は「すばらしい気分です。とても長い時間待ち続けました。2年近くもかかりましたが、やっと来ることができました」と話していました。

カナダやメキシコとの間 陸路や海路の往来も再開

アメリカは新型コロナウイルスの感染が拡大した去年3月から、隣国カナダとメキシコとの間でも陸路や海路の往来を原則として認めていませんでした。

しかし、この規制も8日から緩和し、ワクチンの接種を終えていることを条件に、およそ1年8か月ぶりに往来が認められるようになりました。

カナダとの国境に面したニューヨーク州ナイアガラでは、8日の午前0時になると、カナダ側から車が次々と入って来ていました。

アメリカに住む息子に会いに来たという51歳の男性は「数か月間会えなかった息子と再会できるので、とてもうれしいです」と話していました。

地元の観光業界も、往来の再開を歓迎しています。

両国にまたがるナイアガラの滝は世界3大ばくふの1つで、新型コロナの感染拡大前は毎年、世界中から1500万人以上の観光客が訪れていました。

滝を見ながら国境を歩いて渡れるのも魅力のひとつでしたが、往来が制限されてからは観光客が激減し、多くの飲食店や宿泊施設が苦境に立たされていました。

宿泊施設を営む女性は「国境が開き、すべてのビジネスが元どおりになることを楽しみにしています」と話していました。

ヨーロッパの空港 アメリカ行き運航が本格再開

ヨーロッパ各地の空港では、8日、アメリカ行きの旅客便の運航が本格的に再開され、利用者からは歓迎の声が聞かれました。

ドイツのフランクフルト空港では、ニューヨーク行きの便に多くの人たちが搭乗しました。

アメリカに住む娘や孫に会いに行くという男性は「長い間待っていたので、とてもうれしい。空港は混んでいて新型コロナの感染が少し心配ですが、ワクチンの接種を済ませているので大丈夫だと思う」と話していました。

また、イギリス ロンドンのヒースロー空港では、空港の職員がアメリカの国旗や自由の女神などをモチーフにした衣装を着てパフォーマンスをするなど、運航再開を祝福しました。

ビジネスでラスベガスに向かうという男性は「運航再開がいつになるか、首を長くして待っていた。初めてアメリカを訪れるので、わくわくしている」と話していました。