ファイザーのワクチン “5~11歳の子ども 接種を推奨” 米CDC

アメリカCDC=疾病対策センターは2日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて5歳から11歳の子どもについても接種を推奨すると発表しました。これを受けて、一部の地域では、早速、子どもへの接種が始まっています。

CDCの専門家の委員会は2日、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳への接種について議論し、ワクチン接種による利益は副反応などのリスクを上回るとして、全会一致で推奨する意見をまとめました。

これを受けてCDCのワレンスキー所長は、5歳から11歳に対しての接種を正式に推奨すると発表しました。

ワレンスキー所長は「新型コロナウイルスとの闘いにおける重要な一歩だ。今回の決定によっておよそ2800万人の子どもが接種を受けることができるようになる。ワクチンについて質問のある親は、小児科医や学校の看護師などに相談し子どもにとってのワクチンの重要性について知ってほしい」として、接種を検討するよう呼びかけました。

アメリカ政府はワクチンの接種が速やかに始められるよう各地の医療機関や薬局などに出荷を始めていて、一部の医療機関では早速、接種が始まっています。

アメリカ政府は、全米に供給が行き渡り5歳から11歳への接種が本格化するのは今月8日以降という見通しを示しています。

専門家「選択肢できるのは喜ばしい 全員接種するかは検討必要」

5歳から11歳の子どもに対する新型コロナウイルスのワクチン接種について、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「これまでマスクを着用することや3密を避けるしか対策がなかったが、選択肢ができるので、それ自体は喜ばしいことだと思う」と話しています。

中山特任教授は子どもが接種するメリットとして▽自分自身を守ること、▽周囲の友達などに感染を広げないこと、そして▽一緒に住む祖父母など、高齢者を守ることなどが挙げられるとしています。

そのうえで「今後増えていくのは学校や習い事での子どもたちどうしの感染だと考えられる。教員など、大人がワクチンを接種する必要があるのはもちろんのこと、子どもたち自身も接種が必要になってくる。今の日本は感染状況が落ち着いているが、感染の第6波に備えた準備が必要だ」と指摘しました。

一方で、子どもへの接種の進め方については「基礎疾患があって感染した場合に重症化しやすい子どもたちには接種を推奨すべきだと思うが、全員に接種すべきかについては検討が必要だ。感染を抑えるといったメリットと同時に、接種による副反応も避けることはできないので、メリットとデメリットをよく考えて、接種を進めていくべきだと思う」と述べました。

また中山特任教授は、ファイザーやモデルナのワクチンを接種したあと特に若い男性でごくまれに報告されている心筋炎について「ものすごく重篤な疾患だと思う人もいるかもしれないが、実際に報告されている心筋炎は一過性のもので、入院した場合でも特に治療することなく1日か2日で治っているということなので、症状としてはそれほど重いものではないと理解してよいだろう」と話しています。