COP26 「メタン」の排出削減へ 国際的な枠組みが発足

イギリスで開催されている気候変動対策の会議「COP26」で二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるとされる「メタン」の排出削減に向けて、国際的な枠組みが発足しました。2030年までに少なくとも30%削減する目標を掲げることで一致しました。

国連の会議「COP26」のなかでメタン削減の国際的な枠組みがアメリカとEU=ヨーロッパ連合の呼びかけで2日、発足しました。

日本を含む97の国と地域が参加しました。

一方、排出量が多い中国やロシア、インドなどは入っていません。

この枠組みでは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるとされるメタンを2030年までに2020年と比べて少なくとも30%削減する目標を掲げることで一致しました。

米バイデン大統領「より多くの国に参加を」

アメリカのバイデン大統領は、各国に取り組みへの参加を呼びかけたことについて「当初、参加を表明したのは9か国だったが、いまは80か国以上だ」と述べ、各国からの支持が集まっていると強調しました。

そのうえで、アメリカとしてメタンの削減に向けた次の措置として、石油や天然ガスのパイプラインから漏れ出すメタンガスの監視を強化するほか、メタンの排出削減に取り組んだ農業者に対し助成金を出すことなどを盛り込んだ具体的な行動計画を示しました。

バイデン大統領は「すべての国にとって雇用を作り出し、気候変動対策の目標を達成するチャンスだ。より多くの国に参加してもらいたい」と述べ、メタンの削減に向け行動を起こすよう呼びかけました。

メタンの排出量 世界の状況

メタンは発電設備やごみの埋め立て、それに牛や豚といった家畜のげっぷなどから排出されます。

オランダ政府の環境評価庁の調査によりますと、世界全体の温室効果ガスのうちおよそ18%を占め、二酸化炭素のおよそ72%に次いで2番目に多いとされています。
また、2019年の世界全体のメタンの排出量は、二酸化炭素に換算しておよそ98億3000万トン、地域別では、アメリカが6億8000万トン(6.9%)、EU=ヨーロッパ連合が6億1000万トン(6.2%)となっています。

日本の排出量は5000万トンで、世界全体の0.5%の水準です。

一方、世界で最もメタンの排出量が多い中国は16億2000万トンで、世界全体の16%を占めています。

2番目に多いインドが8億7000万トン(8.8%)、さらにロシアは4億8000万トン(4.8%)となっています。

これら3か国でおよそ3割を占めますが、今回の国際的な枠組みには加わっていません。

枠組みでは今後、排出削減の具体的な対策を検討することにしています。

メタンの削減 日本の技術は

メタンの世界の排出量のうち9%は水田から出ているとされ、いかに削減するか、重要な課題です。

水田の土壌にはメタンを生成する微生物がいて、大気中にメタンが放出されています。
この微生物は、酸素があると活動が鈍ります。

「中干し」と呼ばれる田んぼの水を抜く方法によって酸素を増やして活動を抑え、メタンの発生が抑制されます。
日本はこれを応用して、水を張ったり抜いたりを繰り返す技術を東南アジアの国々に普及させることで世界的なメタンの排出量の削減に貢献していく方針です。

国の研究機関などがベトナムで行った実験では、水を張り続ける場合と比べて収量を増やしながら35%のメタンを削減できたということです。

農業分野では、牛のゲップからもメタンが放出されています。

カシューナッツの殻の液を牛の餌に混ぜることでゲップの中のメタンを減らす技術が開発され、国の研究機関がベトナムで実験を行っています。

専門家 “多くの国が参加しやすいシステム整備を”

気候変動問題に詳しい国立環境研究所の伊藤昭彦さんは、メタンの削減に向けて新たな枠組みができた背景について「メタン対策は温暖化対策として2番目に重要だと科学的に分かっていたが、これまでは二酸化炭素に比べてマイナーな扱いになっていた。ただ、ここにきてメタンを削減しないと2050年までの脱炭素化という高い目標が達成できないことが科学的に分かってきて、それが先進国を動かした」と話しています。

そのうえで、「今回の枠組みには、ロシア、インド、中国というメタンの排出量が大きい国が今のところ参加を表明していない」と指摘し、より多くの国が参加しやすいシステムを整備することも重要だとしています。

また、「メタンを減らすのは技術的なハードルが高く、新たな技術を開発できても途上国などに普及するには資金が必要になる」として、技術開発と資金支援の両面からの対策が必要になると指摘しています。