秋の叙勲 4036人が受章 「旭日大綬章」は2人

ことしの「秋の叙勲」の受章者が発表され、各界で功労のあった合わせて4036人が受章することになりました。

ことしの「秋の叙勲」を受章するのは、「旭日大綬章」が2人、「瑞宝大綬章」が1人です。

また、「旭日重光章」と「瑞宝重光章」が合わせて41人、「旭日中綬章」と「瑞宝中綬章」が合わせて359人、「旭日小綬章」と「瑞宝小綬章」が合わせて838人など、全体で4036人となっています。

このうち、民間からの受章者は1948人と、全体の48.3%を占めたほか女性の受章者は401人で、全体の9.9%でした。

「旭日大綬章」は、当時の東京三菱銀行の頭取や三菱UFJフィナンシャル・グループの初代社長を務めた畔柳信雄さんと、元東北電力社長の高橋宏明さんが受章します。

「瑞宝大綬章」は、元京都大学学長の松本紘さんが受章します。

「旭日重光章」は、元千葉県知事の森田健作さんらが受章します。

「旭日小綬章」は、多くのテレビドラマを手がけ、NHKでは連続テレビ小説「ふたりっ子」や、大河ドラマ「功名が辻」などで人間の奥深さやたくましさを力強く描いてきた脚本家の大石静さんや、数多くの映画やドラマで主演から脇役まで幅広い役柄を演じ、NHKの連続テレビ小説「まんぷく」では、大阪経済界の重鎮役を務めた俳優の橋爪功さん、漆を素材とする漆芸の「蒟醤」と呼ばれる伝統技法で人間国宝に認定され緻密な色調が特徴の漆芸作家の山下義人さんらが受章します。

このほか、外国人叙勲では、アメリカのケネディ元駐日大使が「旭日大綬章」を受章するなど、合わせて53の国と地域から124人が受章することになりました。

叙勲の親授式や伝達式などは今月9日から行われます。

「旭日大綬章」畔柳信雄さん

「旭日大綬章」を受章する畔柳信雄さんは、東京都出身の79歳。

昭和40年に当時の三菱銀行に入行し、銀行のシステム部門やアメリカ担当の役員などを経て、平成16年に東京三菱銀行の頭取に就任。

バブル後の不良債権の処理や公的資金の返済を主導しました。

また、平成17年にUFJとの経営統合で発足した「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の初代社長を務め、世界でも有数の金融グループの礎を築きました。

また、全国銀行協会の会長を務めたほか、経団連の副会長として地方分権に向けた政策の提言などにも尽力しました。

受章について畔柳さんは「わが国の経済や金融界が激動する時代に、金融業務やサービスのIT化を推し進め、個人や法人のお客様のニーズに向き合い続けてこられたことはグループ全従業員のたゆまぬ努力のたまものと認識しております」としたうえで、「金融界にとどまらず、国家課題に対する提言の策定や産業界の発展に微力ながら参画できたことも望外の喜びです。今後も一層精進し、社会のさらなる発展のために力を尽くして参る所存です」とコメントしています。

「旭日大綬章」高橋宏明さん

「旭日大綬章」を受章する東北電力元社長の高橋宏明さんは、宮城県出身の80歳です。

東北電力の社長や会長を歴任したほか電気事業連合会の副会長などを務め、電気事業と産業経済の発展に長年、貢献してきたと評価されました。

東北電力によりますと、高橋さんが社長を務めていた今から13年前、平成20年6月に最大震度6強の「岩手・宮城内陸地震」が発生し宮城県栗原市で停電が起きた際、大規模な土砂崩れ現場の復旧作業の陣頭指揮をとり、通常なら3か月かかるとみられていた電線の設置を3週間で行い、いち早い復旧を実現させたということです。

また、東日本大震災が発生した直後は東北経済連合会の会長として、地域経済の復興を目指し政府にさまざまな要望活動を行ってきました。

高橋さんは「受章は大変ありがたく、光栄に感じています。生まれ育った東北をなんとか活性化させたいという気持ちを常に持って、震災からの復興などにも尽力してきました。今後は脱炭素社会の実現に向けて原子力発電の理解促進などに力を尽くしていきたい」と話しています。

「旭日重光章」森田健作さん

「旭日重光章」を受章することになった元千葉県知事の森田健作さんは、都内で取材に応じました。

森田さんは受章について「本当に光栄なことで、大変うれしいです。振り返ると、芸能界デビューしたあとに、国会議員や千葉県知事を務めましたが、なんといってもその間、応援して下さった支援者の皆さんのおかげだと思います」と述べました。

森田さんは、印象に残っている仕事として千葉県知事時代に、地元経済の活性化のため、東京湾アクアラインの通行料金の値下げを実現したことなどをあげたうえで「県庁の皆さんが『チーム森田』として一丸となって頑張ってくれたおかげだった。これからも“青春の勲章はくじけない心だと”をモットーに、がむしゃらにいつまでも青臭い男でいたい」と、自身のヒット曲の一節を交えながら振り返っていました。

「旭日小綬章」大石静さん

旭日小綬章を受章する脚本家の大石静さんは東京出身の70歳。

大学を卒業後、俳優を志して劇団に入り、その後みずから設立した劇団で脚本を手がけるようになり、1986年にテレビドラマで脚本家として本格的にデビューしました。

1996年から翌年にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」で脚本を担当し、すぐれたテレビドラマの脚本家に贈られる向田邦子賞と橋田賞を受賞しました。

その後も恋愛ドラマの名手として、ラブストーリーを中心に脚本を手がけた作品が次々とヒットし、NHKでは大河ドラマ「功名が辻」や、ドラマ10「セカンドバージン」など、多くの作品の脚本を担当しています。

今回の受章について大石さんは「ありがたく、はれがましく思っております。生涯脚本家として、作品を世に送り出し続けられるよう、これからも精進いたします」とコメントしています。

「旭日小綬章」橋爪功さん

旭日小綬章を受章する俳優の橋爪功さんは大阪府出身の80歳。

東京の高校を卒業したあと、劇団「文学座」の研究所に入り、1975年に「演劇集団円」の設立に携わりました。

デビュー当時は舞台での活動が中心でしたが、その後、テレビドラマや映画でも数多くの作品に出演し、独特の存在感がある個性的な演技で、幅広い役柄を巧みに演じ分ける俳優として高く評価されています。

1999年のNHKの連続テレビ小説「すずらん」では、駅の待合室に置き去りにされていた赤ん坊の主人公を育てる父親役を演じ、2003年の大河ドラマ「武蔵MUSASHI」では語りを務めました。

演劇界での長年の功績から、2017年に文化庁の「芸術選奨文部科学大臣賞」に選ばれるなど数々の賞を受賞しています。

今回の受章について橋爪さんは「いやはや、なんともはや、恐縮の極みです。妙にお恥ずかしい限りです。私を変わらず支えて下さった方、全てに御礼を申し上げます」とコメントしています。

「旭日小綬章」山下義人さん

「旭日小綬章」を受章する漆芸作家の山下義人さんは、70歳。

高校から香川漆芸の伝統技法の研究を始め、漆を塗った表面を彫刻刀で彫って窪みに色のついた漆を埋めて文様を描く、「蒟醤」と呼ばれる技法を磨いてきました。

グラデーションのある緻密な色彩を用いた独特の作風を確立させたほか、「蒟醤」と「蒔絵」を組み合わせた新たな表現方法も編みだし、高い評価を受けています。

2013年には重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定され、香川県高松市にある香川県漆芸研究所などで40年近くにわたり後進の指導や育成にも励んでいます。

山下さんは「大変名誉な章をいただき、とてもうれしいです。昭和からこの仕事を始め、今の令和にふさわしい作品を作ることが自分の使命だと思っています。時代に合わせた新しいものを作っていきたい」と話していました。

外国人叙勲「旭日大綬章」キャロライン・ケネディ氏

「旭日大綬章」を受章するアメリカのキャロライン・ケネディ氏は、ケネディ元大統領の長女で、2013年11月から3年余りにわたって駐日大使を務め、2016年には当時のオバマ大統領の広島訪問や安倍総理大臣の真珠湾訪問の実現に尽力するなど日米関係の強化に取り組みました。

受章についてケネディ氏はコメントを発表し「非常に光栄です」としたうえで、「駐日大使として緊密な同盟関係を強化する機会に恵まれたことを永遠に感謝し続けるでしょう」としています。

そして、日本の人たちから受けた温かい歓迎や、日本の文化や伝統を教えてくれた友情を常に大切にしていると強調し、「それらを両国の次の世代へ引き継ぎ、世界で最も強固な同盟関係が維持されることを願っています」としています。