“3回目接種” 12月から順次開始へ 気になる副反応は

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省の専門家の分科会は、2回目の接種を終えた人全員を対象とする方針で一致しました。これを受け厚生労働省は、ことし12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針です。

一方で国内で3回目の接種での使用が認められたワクチンはなく、厚生労働省は、承認の申請が出ているファイザーのワクチンについて、来月10日に承認の可否を判断する方向で調整しています。

次の感染拡大、いわゆる「第6波」に備えるための3回目の接種。気になる発熱やけん怠感などの副反応はどうなるのか。そして接種に向けた準備は。

副反応 分析結果は

副反応について国の研究班は「全体的な副反応の頻度は、2回目の接種後と同じ程度か、下回る可能性が高い」としています。

厚生労働省の研究班は、ワクチンを3回接種したあとに現れる副反応を調べるため、新型コロナウイルスに感染した人を1回接種を受けた状態と仮定し、感染後にモデルナのワクチンを2回接種した自衛隊員44人の接種後の症状を分析しました。

その結果、
「37度5分以上の熱が出た人」の割合は73%(32人)
「けん怠感」は75%(33人)
「頭痛」は41%(18人)でした。

感染せずに2回接種をした自衛隊員およそ1万人と比べると、
「発熱」があった人の割合は4ポイント(77%)
「けん怠感」は5ポイント(80%)
「頭痛」は23ポイント(64%)それぞれ下回ったということです。

研究班の代表で、順天堂大学医学部の伊藤澄信客員教授は、3回目の接種後の副反応について「症状全体を見れば、2回目の接種後と同程度か下回る可能性が高い。タイプが同じファイザーのワクチンでも同じ傾向になると考えられる」としています。

「3回目」SNS上ではさまざまな声

SNS上では「ワクチンいったい何回打てばいいの」「またあの高熱と吐き気と闘うのは勘弁してほしい」「副反応つらいから打ちたくない 早く飲み薬が出てほしい」などと副反応を心配する声がある一方で、「基礎疾患があるから3回目早く打ちたい」とか「3回目の接種が済んだら県をまたいで旅行に行きたい」と期待する声もありました。
また医療従事者とみられる人からは「ようやくワクチン業務が落ち着いてきたと思ったら、全員接種ですか。インフルエンザワクチンもあるし、時期的に発熱の対応も増えるし、また休めない日々が始まる」と日々の仕事への影響について心配する投稿もありました。

各地で進む「3回目」への動き

3回目のワクチン接種の開始に向けた動きは各地で進んでいます。

岡山県倉敷市は29日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、国の方針に基づいてまず12月に医療従事者を対象とした3回目の接種を始める方針を決めました。

来月下旬には対象者に接種券が届けられる予定で、その後、来年2月をめどに65歳以上の高齢者への3回目の接種も始めるということです。

倉敷市の伊東香織市長は「市内では新規の感染が5日連続で確認されないなど状況は落ち着いているが、“第6波”に向けてワクチン接種を進める。引き続き感染対策は徹底してほしい」と話していました。
接種を進めるには、予算の確保も必要です。
大分県宇佐市は、3回目の接種に伴う費用のうち今年度中に必要な分として、1億870万円の補正予算を議会の議決を経ない専決処分としたことを明らかにしました。

宇佐市の是永市長は会見で「ほかの自治体も事情は同じだと思うが、12月に接種を始めるには、来月から準備を進める必要があるため、専決処分で予算を措置した」と説明しました。

専門家「最悪の状況に備えた対策 今からしっかりと」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「日本では7月に接種した人たちは年が明けた1月2月以降、抗体価が下がってくるようなことが考えられる。その時期に大きなリバウンドを起こさないように、注意して見ていかなければいけない」としています。

そのうえで3回目の接種について「ワクチンによって重症化や死亡は抑える効果が見られるともされているが、高齢者や免疫不全の人がブレイクスルー感染をすると一定の割合で死亡例が出てきてしまうため、まずは高齢者や免疫不全がある人たちを優先して3回目の接種を進めていくことが大事だ。そのあとに順次、それ以外の希望者への接種を進めていくというような戦略を考えていく必要がある」と話しています。

また接種の時期については「第6波の兆候がいつ見えるのかに注意しつつ、次の第6波を起こさないようなタイミングというのが3回目の接種を考えるうえで重要になるのではないか。今後の感染状況や治療薬の開発などを見ながら考えていくことになる。第6波をどういう形で迎えるのか予想できない状況だが、3回目の接種も含めて最悪の状況に備えた対策を今からしっかりと準備していく必要がある」と話しています。