“ソックス”で市場先読み【経済記者コラム】

25日の週の株式市場では、企業の決算発表が相次ぐ中で、“半導体不足”に再び注目が集まりました。いっときの危機的なひっ迫状況は少し落ち着いてきたのかと思いきや、またも不安材料が市場を駆け巡りました。市場関係者のあいだで半導体関連企業の動きをいち早く察知するのに参考にされているのが「SOX(ソックス)指数」。私も初めて知りました。(経済部記者 仲沢啓)

週明け25日(月)の東京株式市場。この日のマーケット担当だった私は前週末のニューヨーク市場のダウ平均株価が最高値を更新していたので日経平均株価も上がっていくだろうとある意味、油断していました。

しかし、取り引き開始直後から値を下げ、一時300円以上の下落。

市場関係者に話を聞くと、「『ソックス指数』が影響しているかも」とのことば。靴下のソックスかと一瞬頭をよぎりましたが、そうではなく「SOX指数」。

今はアメリカのナスダック傘下に入ったフィラデルフィア証券取引所が1993年から算出を始めた株価指数で、「フィラデルフィア半導体指数」とも呼ばれています。インテルやエヌビディア、台湾のTSMCなど、半導体の製造や流通、販売などを手がける、30の企業の銘柄で構成されています。

22日(金)、アメリカではSOX指数は下落していました。

要因の1つが、前日21日の引け後に発表された半導体大手インテルの決算でした。足元の売り上げや、年末にかけての売り上げの見通しが市場予想を下回りました。主力製品のCPUを納品しているパソコンメーカーが、ほかの半導体や部材が調達できず、完成品が組み立てられないことが原因だと説明しています。

22日、インテルの株価はおよそ12%下落、SOX指数も最大で1.7%余り下落。そして週明け25日の東京市場へと波及していったというのです。

多様な業種の企業の株価を集めた指数と異なり、半導体関連企業だけを集めている指数だけに、市場関係者は半導体をめぐる懸念やマイナス要素をいち早くつかむために注視していると教えてくれました。
25日の週、東京市場では半導体関連企業の決算発表が相次ぎましたが、SOX指数が示したとおりなのか、株価下落も目につきました。

26日のキヤノン。9月までの3か月の決算は増収増益でしたが、ことし12月までの1年間の営業利益を下方修正しました。半導体不足などによる調達コストの増加のためです。翌日の株価はおよそ6%下落しました。

27日には、産業用ロボット大手のファナックが1年間の業績見通しの下方修正に踏み切りました。半導体不足が今後も続き、ロボットなどの生産に影響が出るとしています。翌日、株価は8%余り下落。この日の日経平均株価下落の最も大きい要因でした。
新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの混乱や、経済活動再開に伴う需要の急拡大などが重なり、起きた半導体不足。

市場では「来年の上半期いっぱいは不足が続くのではないか」という悲観的な見方を示す関係者もいます。

半導体は家電やスマホ、パソコン、そして自動車から医療機器といった多くの製品に組み込まれた「産業の脳」ですから、目詰まりを起こさず、供給されていくことを望むばかりです。

当面、「SOX指数」から目が離せそうにありません。

注目予定

衆議院選挙の結果は海外投資家も含めて市場の注目を集めそうです。

また、FRBが今回のFOMCで、量的緩和の縮小を決定するかどうか、大きな焦点となります。パウエル議長の会見があるので、インフレ懸念などに対する発言もマーケットを動かす要因となりそうです。

さらに、OPECプラスの閣僚級会合。原油価格が上昇するなか、産油国が追加の増産に踏み切るのかどうか、こちらも焦点となります。