【詳しく】地球温暖化を食い止められるか COP26の注目点は?

地球温暖化の影響が深刻化していると感じることはないでしょうか?

イギリスで、温暖化を食い止めるための重要な国連の会議・COP26が始まります。
温暖化はどこまで進んでいるのか。
そして、会議の注目点は何なのか?

過去のCOPも取材した国際部の田村銀河記者がわかりやすく解説します。

地球温暖化対策でCOP26は何を目指すの?

世界各国から首脳などが集まり、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの削減目標のさらなる引き上げを目指します。

世界で異常気象が相次ぎ、現状の取り組みでは海面の上昇といった、温暖化の深刻な影響を抑えきれないと警鐘を鳴らす報告書も公表され、対策を進めなければ取り返しがつかない事態になるとの認識が広がっています。

欧米メディアのなかには、温暖化の進行を目標以内に食い止める“ラストチャンス”と伝えるところもあるほどです。

COPとは?

国連の「気候変動枠組条約」に参加する国や地域の会議のことで、英語では「Conference of the Parties」。頭文字をとって「COP(こっぷ)」と呼ばれています。

1回目が開かれたのは1995年。

当時は、人間の活動によって地球温暖化が引き起こされているのではないかと科学的に指摘されるようになり、1988年には世界各国の科学者でつくる国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」が設立され、温暖化への対策が課題として認識され始めていました。

COPは1995年から毎年開かれ、今回が26回目です。

もともとは去年開かれる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延期されました。

COPはどこで開かれる?日程は?

会場はイギリス北部のグラスゴーです。

10月31日から11月12日までのおよそ2週間の予定で、11月1日から2日にかけては首脳が参加する「ワールドリーダーズサミット」が予定されているほか、さまざまな分野の交渉が行われます。

毎年各国の交渉団やNGO、世界中のメディアなどおよそ2万人が集まり、今回のCOP26ではおよそ130の国や地域の首脳が参加する見通しです。

コロナ禍でも対面で開催する理由は

これまで2度、COPを取材したことがありますが、合意をまとめるため、文書に残す一つ一つの文言をめぐって交渉が深夜まで続くこともめずらしくはありません。

ひざ詰めの交渉をオンラインで行うのは難しいとみられます。

会期中の毎日、すべての参加者のウイルス検査を行うなどの対策を取りながら開催される予定です。

今までCOPで何を決めてきた?

COPが大きく注目されることになったのが、1997年に京都で開かれたCOP3です。

先進国に温室効果ガスの削減を義務づける「京都議定書」を採択しました。

さらに2015年にはフランスで開かれたCOP21で、現在の世界の温暖化対策の枠組みである「パリ協定」を採択しました。

パリ協定とは何?

「パリ協定」は、「京都議定書」では削減を課していなかった中国などの新興国を含む、すべての国に温室効果ガスの削減を義務づけました。

新興国は、著しい経済成長に伴って温室効果ガスの排出量が増加し、世界の排出量の多くを占めるようになっていたからです。

国連のデータ(2019年時点)では、排出量は中国が1位、インドが4位です。2位のアメリカや6位の日本が横ばいなのに対して、中国やインドは上昇傾向が続いています。
「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇を、温暖化が起きる産業革命前と比べ2度未満に保つとともに、1.5度に抑える努力をすることを決めました。

また、各国は5年ごとに削減目標を国連に提出し、取り組みの状況を報告することが義務づけられています。

1.5度や2度以内に抑えることがそんなに重要なの?

わずかな上昇と思うかもしれませんが、重要な目安となっています。

世界各国の科学者でつくる国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」は、ことし8月、地球温暖化に関する報告書を8年ぶりに公表し、温暖化が進むほど熱波や豪雨といった極端な現象が起こる頻度が増したり、激しさが増すと指摘しました。
それによれば、50年に1度の高い気温が観測される頻度は、産業革命前の19世紀後半と比べると、平均気温が1.5度上昇した場合は8.6倍に、2度上昇した場合は13.9倍になると試算しています。

また、10年に1度の大雨の頻度は、1.5度上昇した場合は1.5倍に、2度上昇した場合は1.7倍になると予測しています。

こうした科学からの指摘も背景に、世界が目指すべき目標は2度ではなく、「努力目標」ともされた1.5度にすべきだという声が温暖化対策に熱心な先進国だけでなく、被害によりぜい弱な途上国の間でも広がっています。

気温の上昇はどこまで進んでいる?

IPCCの報告書では、去年までの10年間の世界の平均気温はすでに1.09度上昇したとしています。

ことしも北米や地中海沿岸などでは大規模な山火事が起き、ドイツやベルギーでは豪雨で洪水が起き200人以上が死亡しました。
欧米では、特に若者の間で地球温暖化は命や将来に関わる大きな問題だという強い危機感が広がっています。

また、温暖化対策が重視されるにつれ、ヨーロッパやアメリカでは、ガソリン車の販売を将来的に規制する動きも出ていて、欧米の自動車メーカーは相次いでEV=電気自動車への転換を発表し、世界の自動車産業は100年に1度と言われる大転換の時を迎えています。

自動車産業が主要産業である日本に大きく関わる変化が起きています。

COP26の焦点は?

焦点は、各国が削減目標を引き上げることで一致できるかです。

気温の上昇を1.5度に抑えるには、2050年ごろまでに世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしなくてはいけないとされています。

この「2050年までに実質ゼロ」の目標は、日本をはじめ、COP26の議長国・イギリスをはじめヨーロッパの国やアメリカなど多くが掲げています。

課題となっているのは、2050年に至る前の取り組みをどう進めるかです。

2050年に至る前に、2030年までに世界の排出量を45%程度削減することも必要だとされています。

しかし、国連の発表では「パリ協定」に従って各国がこれまでに国連に提出している目標を分析したところ、今の削減のペースでは、2030年には排出量は半減するどころか、2010年に比べ16%の増加が見込まれていることがわかりました。
このため、議長国イギリスやアメリカなど先進国は、COP26で1.5度を世界の共通目標とし、各国に2030年までの削減目標の引き上げを求め、対策のギアを一段上げたい考えです。

イギリスは、ヨーロッパを中心に石炭から再生可能エネルギーへの転換が進んでいることを背景に、新興国などとの間で意見が分かれる石炭火力発電の段階的な廃止の要求にも踏み込む考えです。

COP26で地球温暖化対策のギアは上げられる?

気候変動交渉に詳しい、東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授は「簡単な交渉ではない」と話しています。

高村教授によれば、温室効果ガスの削減目標の引き上げには、先進国が、排出量が増えている新興国や途上国の取り組みの加速を支援する資金を積み増すことが必要です。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景気が後退し、多くの国の財政状況は悪化しています。

また、COP26には、最大の排出国・中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン大統領は対面で出席しない見通しです。

議長国イギリスやトランプ前政権が離脱した「パリ協定」に復帰したアメリカのバイデン大統領が、歴史的な合意にこぎ着けられるかどうか、手腕が問われることになります。

COP26の結果は私たちにどう関係するの?

高村教授に聞きました。
東京大学未来ビジョン研究センター 高村ゆかり教授
「残念ながら気候変動が寄与している気象災害や気候の変化は生まれてきており、気候変動の影響はどうやら早く、非常に近未来にででくるかもしれないとふだんの暮らしのなかでも感じるようになってきました。私たちの命と暮らしを守るという観点から、COP26でしっかりとした目標や制度が合意されるかどうか、ぜひ注目してほしい」

また、高村教授は、ビジネスの行方も大きく左右する可能性があると指摘しています。

「現在、世界の気候変動対策をけん引しているCOP26議長国のイギリスや、アメリカは、脱炭素社会に向けて大きく転換していくことによって、新型コロナからの経済の復興と持続可能な社会の一歩を作っていこうと、COP26を重視している。会場での交渉の行方とともに、金融や投資家の動きも各国の政策に影響与え、ひいては企業の活動や経営にも影響を及ぼす可能性がある。このあたりも注目してほしい」