プロ野球 セ・リーグ ヤクルト 2年連続最下位から6年ぶり優勝

プロ野球、セ・リーグで優勝へのマジックナンバーを「2」としていたヤクルトは今夜のDeNA戦に5対1で勝ち、2位の阪神が敗れたため、ヤクルトの6年ぶり8回目の優勝が決まりました。ヤクルトは連敗を「3」で止めてマジックナンバーを「2」とし今夜は横浜スタジアムで最下位のDeNAと対戦しました。

ヤクルトは1対1の3回、5番・サンタナ選手と6番・中村悠平選手の連続タイムリーツーベースで4点を勝ち越しました。

先発の高梨裕稔投手は再三得点圏にランナーを背負いましたが、4回1失点にまとめ、5回から継投に入りました。

6回からはふだんは先発の高橋奎二投手が4人目で登板して2イニングを無失点でつなぎ、8回は清水昇投手、9回はマクガフ投手が抑えてヤクルトが5対1で勝ちました。

そして2位の阪神が中日に0対4で敗れたため、ヤクルトの6年ぶり8回目の優勝が決まりました。

ヤクルトは昨シーズンまで2年連続で最下位でしたが、就任2年目の高津臣吾監督が課題の投手陣を整備し、東京オリンピック中断後の後半戦は投打のかみ合った試合を続けました。

前の年に最下位だったチームの優勝はプロ野球が2リーグ制になって以降、両リーグ通じて6回目で、ヤクルトは前回優勝した平成27年も2年連続最下位から優勝を果たしています。

高津監督「2年連続最下位の悔しさ胸に戦ってくれた」

就任2年目でチームを立て直した高津臣吾監督は選手たちに「本当におめでとう」と言葉をかけたあと胴上げされ、5回、宙を舞いました。

高津監督はグラウンド上でのインタビューで「開幕してからここまでいろんなことがあったので、ほっとした。本当に選手が一生懸命頑張ってくれた成果だ。気持ちよく胴上げしてもらった」と喜びを語りました。

ことし1年の戦いを振り返り「先発ピッチャーをはじめ投手力がアップしたのが勝てた要因だと思う。チーム一丸となって打線も投手もつなぐ野球がしっかりできた。2年連続最下位の悔しさをずっと胸に持って戦ってくれた」と選手たちをたたえました。

ファンに向けて「絶対大丈夫です。われわれはどんなことがあっても絶対崩れません」と先月、ミーティングで選手たちに語りかけた言葉を披露して笑顔を見せていました。

そして最後に日本一に向けて「今は優勝したばかりでその先まで考えられないが、このチャンスは絶対に逃すものではないし、われわれの野球をスワローズの野球を引き続きやっていきたい」と意気込んでいました。

また、試合後の会見では「厳しいシーズンだったが選手の頑張りでチャンピオンになれた。選手のみんなに感謝したい。1点に集中して、1点をとるため、1点を防ぐため、よくみんなでつないで頑張ってくれた。厳しい試合でもロースコアでものにしたり1点差を逃げきれたりできた。選手たちはよく我慢して、よく耐えた。本当に強くなったと思う」と成長した選手たちをたたえていました。

選手 喜びの声 日本一へ意気込み

ヤクルトの野手最年長、青木宣親選手は「めちゃくちゃうれしい。とにかく目の前の試合に集中したことで優勝という結果となりうれしい。本当にそれだけだと思ってヤクルトに復帰したので、本当に格別だ」と笑顔で話していました。

キャプテン、山田哲人選手は「ほっとしている。6年前の優勝の時は自分のことで精いっぱいだったが、ことしはキャプテンとして周りを見て視野を広くプレーできた。自分にプレッシャーをかけながら勝利に貢献できるプレーはたくさんできたかなと思う。ここまできたら日本一になりたい」と話していました。

4番、村上宗隆選手は「このチームで優勝したいという思いがあったのでうれしい。まわりに頼りになる先輩がいるので、4番を打つことに多少のプレッシャーを感じていたが、自分なりに考えていい結果が出るように頑張った。キャプテンをチーム全員で支え、チーム全員が副キャプテンの気持ちでやっていこうとみんなで話し合い、必死に声を出してやってきた」と今シーズンを振り返りました。そのうえで「クライマックスシリーズもしっかり勝ち抜いて日本一になれるよう頑張る」と意気込んでいました。

ヤクルトの投手陣を好リードで引っ張ったキャッチャーの中村悠平選手は、自身2回目の優勝について「すごくホッとしている。ことしの優勝は、春のキャンプで古田さんからもらった『お前がその気になれ』ということばをずっと胸にやってきたので、優勝できて本当にうれしい」と喜びをかみしめていました。

投手陣の整備 チーム防御率が大きく改善

ことしのヤクルトは高津臣吾監督が2月に行われた春のキャンプで選手たちの意識を改革することから始まりました。

高津監督は選手全員がチーム内で競争すること、攻守で1点にこだわり、1点で競り勝つ野球をすることを繰り返し選手に伝えました。

最大の課題は投手陣の整備。

去年のチーム防御率は4.61と2年連続で12球団ワースト。

先発が序盤に失点し主導権を渡してしまう展開が目立ちました。

ことしも規定投球回に達したピッチャーは1人もおらず、エースは不在。

そこで高津監督はローテーションを固定することなく、ピッチャーの調子を見極めながら柔軟に起用しました。

小川泰弘投手や石川雅規投手といった実績のあるピッチャーもときには登録を抹消して調整のための期間を空け、その間には若手にチャンスを与えることで競争と自覚を促して能力を引き出すことで選手層の厚みが増しました。

9月は先発ピッチャーに9人を起用。

36イニング連続無失点をマークするなど投手陣の踏ん張りで10年ぶりの9連勝をマークし一気に首位へ浮上しました。

勝ちパターンのリリーフは7回が今野龍太投手、8回が清水昇投手、9回がマクガフ投手が主に担いましたが、登板数や球数をきっちり管理し10月に入るまで3日続けての登板はさせませんでした。

そして終盤には先発だった田口麗斗投手やスアレス投手などをリリーフにまわしました。

チームのホールド数は12球団ダントツのトップで早めの投手リレーで勝ち星を積み上げました。

チーム防御率も去年から1点以上改善し、中日、阪神に次ぐリーグ3位につけています。

コンディションに配慮した選手起用は野手でも見られ、山田哲人選手や中村悠平選手といったチームに欠かせない中心選手をときには先発から外して休ませました。

その結果、昨シーズンはけがで離脱したり調子を落としたりする選手が相次いだのに対し、今シーズンは最後まで戦力ダウンなく終盤の連勝、そして逆転優勝へとつなげました。

そしてヤクルトの強さは投打におけるフォアボールの数にも表れていました。

ヤクルトの投手陣が与えたフォアボールの合計は12球団で最少。

本拠地の狭い神宮球場でホームランを避けるためピッチャーは慎重になりがちですが、攻めの姿勢を貫き無駄な失点を防ぐことにつながりました。

伊藤智仁投手コーチが「失敗を恐れずチャレンジしていこう」とピッチャーを送り出し、春のキャンプで臨時コーチを務めた古田敦也さんから指導を受けたキャッチャーの中村悠平選手は「先入観や固定観念を持たずにいろんなことをやってみよう」と、ときに身ぶり手ぶりを交えながら果敢なリードで引っ張り、ピッチャーたちに自信を植え付けました。

一方、打線はチーム打率がリーグ3位ながら選んだフォアボールはリーグでダントツのトップ。

村上選手がリーグトップの105個、山田選手も76個と中軸であっても塁に出て後ろのバッターにつなぎ、全員で1点を取りに行く意識がリーグトップのチーム得点へとつながりました。

春のキャンプで高津監督が掲げたチーム内の競争と1点にこだわる野球がシーズンを通して徐々に浸透し、2年連続最下位からの優勝という最高の形で実を結びました。

2年連続最下位からのチームの再建

ことしのヤクルトは就任2年目の高津臣吾監督のもと、2年連続最下位からのチームの再建を目指しました。

阪神との開幕カードに3連敗する最悪のスタートに加え、3月末には、新型コロナウイルスの感染者が出ました。

この結果、チームの支柱だった青木宣親選手など主力のベテラン3人が濃厚接触者となって2週間の離脱。

この緊急事態が若手選手の奮起を促し、戦力がダウンした13試合を7勝3敗3引き分けと勝ち越し順位を5位から3位に上げました。

4月下旬には新外国人のオスナ選手、サンタナ選手が合流。

6月には打順が1番・塩見、2番・青木、3番・山田、4番・村上、5番・オスナ、6番・中村、7番・サンタナとほぼ固定され、打線につながりが出ました。

前半戦は首位・阪神と2.5ゲーム差の3位で折り返します。
ペナントレース中断期間に開催された東京オリンピックでは山田哲人選手と村上宗隆選手がそろって活躍し、日本悲願の金メダル獲得に貢献。

2人はシーズンを通して打線の軸となり、山田選手はリーグ4位のホームラン34本、リーグ3位の101打点。

村上選手はリーグトップのホームラン39本、リーグ2位の112打点をマークしました。

さらに、6年前の首位打者で腰のけがから復活を果たしたベテランの川端慎吾選手が代打の切り札として打率3割7分台をマーク。

勝負強いバッティングで接戦を制し、3位以上をキープし続けました。

そして2年連続で12球団ワーストだったチーム防御率もリーグ3位まで改善されました。

抑えはシーズン序盤に失点が相次いだ石山泰稚投手に代えて5月下旬からはマクガフ投手を据えました。

8回はプロ野球新記録となる50ホールドをマークした3年目の清水昇投手、7回は去年、楽天から移籍してきた今野龍太投手などが担い、終盤のリリーフ陣が安定しました。

先発では去年は2軍で育成期間を過ごした2年目の奥川恭伸投手が中10日を空けながらの登板でチームトップに並ぶ9勝をあげました。

奥川投手は53イニング連続でフォアボールなしと、ストライク先行の強気のピッチングが光り、エースへの階段を順調に上りました。

シーズン終盤、3位のまま2カード連続負け越して迎えた9月7日。

高津監督は首位の阪神との試合前に全選手に向かって「周りのチームメートを信じ、チームスワローズが一枚岩でいったら絶対崩れることはない。絶対大丈夫」と力強く語りました。

ここから今シーズン初めて阪神との3連戦を勝ち越して勢いに乗り、9月18日にはことし飛躍を遂げた塩見泰隆選手がサイクルヒットを達成。

翌19日には村上選手が史上最年少で通算100号ホームランを打ち、22日には今シーズン113試合目で初めて首位に立ちました。

28日には青木選手が球団史上最年長で満塁ホームランを打って10年ぶりの9連勝。

13試合負けなしは球団新記録でした。

10月8日の阪神戦では奥川投手が7回途中1失点と好投し、チームは7連勝でマジックナンバー「11」が初点灯。

シーズン終盤に勢いを加速させて優勝を争っていた阪神、巨人を振り切り6年ぶりの優勝へ突き進みました。