新型コロナ専門家会合「もう一段感染減少を」対策徹底呼びかけ

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ新規感染者数は減少が続き、重症者数もことし春の感染拡大前の水準を下回ったとしました。

その一方、今後の感染再拡大を見据えて、もう一段感染者数を減らすことが重要で、今後の気温の低下で屋内での活動が増えることに注意するとともに、引き続き、マスクの着用や換気など基本的な対策を徹底するよう呼びかけました。

新規感染者数前週比 多くの地域で減少続く

20日行われた厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は19日までの1週間では前の週と比べて、全国では0.65倍と多くの地域で減少が続いています。

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.52倍、▽千葉県で0.47倍、▽神奈川県で0.50倍、▽埼玉県で0.66倍、

関西の2府1県では
▽大阪府で0.61倍、▽京都府で0.46倍、▽兵庫県で0.51倍、

中京圏では
▽愛知県で0.63倍、▽岐阜県で0.50倍▽三重県は0.47倍と減少しています。

北海道・沖縄など12の道県は増加

一方で、
▽北海道では1.44倍、
▽滋賀県では1.12倍、
▽広島県で1.48倍、
▽沖縄県で1.24倍などと、感染者数は少ないものの、12の道と県で増加しています。
現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の感染者数でみると、先週に引き続き「ステージ3」の目安の15人を超えている都道府県はなく、▽沖縄県が11.91人、▽大阪府が6.39人、▽青森県が5.70人、▽東京都は2.60人などとなっていて、▽全国では2.67人でした。

もう一段感染者数を減らすことが重要

専門家会合は、全国の感染状況について新規感染者数の減少が続いていて重症者数もこの夏とことし春の感染拡大前の水準以下になったとしています。

一方で、緊急事態宣言などの解除後、多くの地域で夜間の人出の増加が続いていて、感染者数が下げ止まることが懸念されるとしたうえで、今後の感染再拡大を見据えて、もう一段、感染者数を減らすことが重要だとしました。

さらに、年末に向けて忘年会など、社会経済活動の活発化が予想されることや、気温が低下して屋内での活動が増えることに注意が必要だとしています。

一部の地域では感染下げ止まりの傾向も

また、専門家会合は、一部の地域では感染の下げ止まりの傾向が見られ、飲食店や高齢者施設などでクラスターが発生しているとしていて、改めて保健所が濃厚接触者や感染経路を調べる積極的疫学調査を徹底することで感染拡大の芽を可能なかぎり摘み、潜在的な感染源を特定することが重要だとしています。

さらに、飲食店の営業時間短縮などの対策を緩和する地域がある中、リスクの高い状況が重なると集団感染につながるおそれがあるとしていて、飲食の際には感染対策の認証を受けている店を選び、食べたり飲んだりするとき以外はマスクを着用することが求められるとしています。

そのうえで、引き続き、▼不織布マスクを着用することや▼消毒、▼1つの密でも避けること、それに▼換気の徹底といった基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。

脇田座長「減少局面続くもクラスター対策が重要」

厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字座長は、「今は感染の減少局面でこの後、いつ再び増加するのかを予測するのは難しいが、ここしばらくは減少局面が続くと予測されている。ただ、地域によってはクラスターが起きるなどして一時的に増加するところも出てきているので、今後の推移を注意深く見ていく必要がある。新型コロナウイルスは呼吸器感染症なので季節性があると考えられ、社会活動が活発になれば感染者が増えてくるとみられる。首都圏などでもクラスターが発生することもあるのでクラスターが発生してもそれを囲い込み、次の感染拡大につなげないためクラスター対策が非常に重要だ」と話していました。

そのうえで、「イギリスやイスラエルではワクチン接種が進んでいったん感染状況が好転したがその後、12歳未満の子どもなどワクチンの未接種者や接種から時間がたって効果が少し下がった人などを中心に感染が広がった。日本もワクチン接種が一気に進んで状況が良くなっていると考えられるが、今後、再拡大することも十分に考えられる。ワクチンだけでなく基本的な対策の徹底が重要だ。もし感染者が拡大し、医療が厳しい状況になれば再び強い対策が必要な局面もありえる」と話しました。