岸田首相 “新型コロナ対策の全体像 来月早期に取りまとめ”

新型コロナウイルス対策をめぐり、岸田総理大臣は次の感染拡大に備えた対策の全体像を来月の早いうちに取りまとめるとして、感染力がことし夏の2倍程度となった場合にも対応できるよう病床の確保計画などの具体化を関係閣僚に指示しました。

15日、総理大臣官邸で開かれた政府の対策本部では新型コロナウイルス対策の全体像の骨格が示されました。

この中で岸田総理大臣は「基本的な考え方はワクチン、検査、治療薬などの普及による予防と発見から早期治療までの流れをさらに強化し、最悪の事態を想定して次の感染拡大に備えることだ」と述べました。

そのうえで、感染力がことし夏の2倍程度となった場合にも対応できるよう、都道府県と連携して病床の確保計画の策定を進めるほか、それ以上の感染拡大が生じた際は強い行動制限を機動的に国民に求めるとともに、国の責任で一般医療を制限し緊急的な病床を確保する具体的な措置を講じる考えを示しました。

また、自宅などでの療養者への対応を強化し、治験が行われている軽症者向けの飲み薬の年内の実用化を目指すほか「ワクチン・検査パッケージ」を活用した行動制限の緩和の内容や、電子的なワクチン接種証明の活用方法などを具体化すると説明しました。

そして岸田総理大臣は「10月中に都道府県との調整を行ったうえで11月の早期に対策の全体像を取りまとめる」と述べ、対応策を具体化するよう関係閣僚に指示しました。

骨格となる取り組み提示

対策本部では骨格となる取り組みが示されました。
この中では、病床確保をめぐってワクチン接種による効果なども踏まえ、ことし夏の感染拡大時と比べて感染力が2倍となった場合にも対応できるよう入院患者の受け入れを2割増強する体制を整備する方針です。
具体的には
▽都道府県ごとに必要な病床確保を含めた「保健・医療提供体制確保計画」の策定を要請するとしているほか
▽即応病床と申告されながらも使用されなかった、いわゆる「幽霊病床」の実態を把握し、感染拡大時のコロナ病床の使用率について少なくとも8割を確保する具体的な方策を全体像で明らかにするとしています。

また
▽東京や大阪を中心とする都市部では国立病院機構などの公立公的病院を専用病床にすることや、医療人材の派遣により臨時の医療施設を設置するなどとしています。

そして
▽現行法の下での国や都道府県知事に与えられた権限を最大限活用するとして、国立病院機構法などに基づく要求をはじめ大学病院などへの要請を含め、国の権限を発動し公的病院の専用病床をさらに確保するとしています。
▽自宅や宿泊施設で療養する人への対応について、すべての陽性者に対し陽性が判明した当日か翌日に連絡を取り、健康観察や診療を実施できる体制を確保しオンライン診療や往診を最大限活用するとしています。

さらに
▽医療機関別のコロナ病床の確保率や使用率に加え、地域ごとのオンライン診療や往診など自宅療養者に対する診療実績をITを活用して可視化するとしています。
▽ワクチン接種では年内の3回目の追加接種の開始を想定し体制や具体的なスケジュールを明らかにするとしているほか、経口薬について年内の実用化を目指し、国産の開発を支援し必要量を確保するとしています。

▽日常生活の回復に向けては、行動制限緩和の具体的内容のほか、電子的なワクチン接種証明のスケジュールや活用方法、予約不要の無料検査の拡大など、検査の環境整備の具体的な方策についても全体像で明らかにするとしています。

後藤厚労相「危機意識は自治体や医療関係者が共通に持っている」

後藤厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「第5波の感染拡大では病床確保が追いつかない中、重症化や在宅で亡くなる事例が生じた。こうした反省を踏まえ『次の感染拡大の備えに万全を期さなければならない』という危機意識は、自治体や医療関係者が共通に持っていると思う」と述べました。

また、後藤大臣は「夜の滞留人口が増えている地域があり十分に警戒しないといけない。基本的な感染防止対策をしっかり取りながら、今の状態をできるかぎり長く維持していく必要がある」と述べました。

山際新型コロナ対策相「冬の感染拡大に備え対策に万全を期す」

山際新型コロナ対策担当大臣は閣議のあとの記者会見で「岸田総理大臣の指示を踏まえ、医療提供体制の強化や治療薬の実用化と確保、それに『ワクチン・検査パッケージ』の活用による行動制限の緩和の具体的な内容などについて早急に検討し、11月の早期に全体像を取りまとめてお示しする」と述べました。

そのうえで「国民に納得感のある説明を行うとともに、冬の感染拡大に備えて最悪の事態を想定した危機管理を行い、対策に万全を期すよう全力で取り組みたい」と述べました。

堀内ワクチン相“3回目接種へ体制など11月早期に取りまとめる”

堀内ワクチン接種担当大臣は閣議のあとの記者会見で、ワクチンの3回目の接種について「早ければ12月の開始を想定し、自治体や医療関係者と連携しながら、ワクチンの確保状況や具体的な接種体制などを11月の早期に取りまとめるよう取り組んでいきたい」と述べました。