都議会の政務活動費「広報・広聴活動費」が最多 3年連続で増加

東京都議会の各会派に交付された昨年度・2020年度の政務活動費は、議会活動の報告などに充てる「広報・広聴活動費」が最も多くなり、3年連続で増加しました。

東京都議会の政務活動費は、議員1人当たり月額50万円が各会派に交付されていて、昨年度・2020年度の総額7億5300万円の使いみちなどについてまとめた報告書が12日、公開されました。

それによりますと実際に使われたのは、96%に当たる7億2278万円でした。

このうち最も多かったのは、会派や議員の活動報告などに充てる「広報・広聴活動費」で、支出全体の49.5%に当たる3億5746万円でした。

「広報・広聴活動費」は3年連続で増加し、この間、およそ2割増えていて、各会派とも活動内容の発信や広報に力を入れる傾向が強まっています。
支出に占める「広報・広聴活動費」の割合を会派別にみると、
▽都民ファーストの会が62.0%と最も高く、次いで、
▽公明党が55.9%
▽立憲民主党が48.7%
▽共産党が43.8%
▽東京みらいが35.4%
▽自民党が26.9%などとなっています。

一方、調査や研究、視察などを行う「調査・政策立案費」は1776万円で、全体の2.5%でした。

「調査・政策立案費」は2年連続で減少し、特にこのうち「視察・研修費」は前の年度の5分の1以下の74万円でした。

議長が支出が適正か調べるため設置した有識者による協議会は「新型コロナウイルスの影響で、対面を避けながら考えを表明する取り組みとして広報紙発行費が増えた一方、遠方への視察や密を控えるため視察・研修費などは減少した」と説明しています。

専門家「趣旨から少し外れつつある」

地方政治に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は「調査・政策立案費」が2年連続で減少していることについて「議員の政策立案能力を向上させるということが政務活動費の本来の趣旨で、調査・政策立案費が減る傾向にあるということは、趣旨から少し外れつつある」と指摘しています。

そのうえで「たとえば、全体の2割以上は必ず政策立案費に使うなどのルールを定めていくことも必要ではないか」と話していました。

また、「デジタル技術の活用によってさまざまな費用を圧縮できる可能性があり、少ない投資で広報の目標を達成し、遠くの有権者と政策の議論をすることも可能になる。『リモートデモクラシー』とも言えると思うが、これまでとは違う新しい政策立案の方向性を有権者に示してほしい」と話していました。