ノーベル医学・生理学賞に米研究者2人 熱など感じる仕組み研究

ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に、私たちが熱などを感じる仕組みの研究で大きな貢献をした、アメリカの研究者2人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後6時半すぎ記者会見し、ことしの医学・生理学賞の受賞者に、いずれもアメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校のデビッド・ジュリアス氏と、スクリップス研究所のアーデム・パタプティアン氏の2人を選んだと発表しました。

ジュリアス氏は、細胞の表面には「辛さ」を感じさせるカプサイシンという成分に反応する「カプサイシン受容体」があり、この受容体は「辛い」という感覚を検出するだけでなく、熱にも反応するほか、辛さと熱を同じ「痛み」という感覚として検出していることを明らかにしました。

またパタプティアン氏は、皮膚や内臓に力学的な刺激を感じるセンサーがあることを明らかにしました。

ノーベル賞の選考委員会は、2人の研究によって、私たちがどのように熱さや冷たさなどを神経の信号にかえ、周囲の世界を認識し適応しているのか理解することが可能になったほか、慢性的な痛みに対する治療法の開発などに貢献していると評価しています。

「感覚をつかさどる重要な分子発見が評価」

ことしのノーベル医学・生理学賞を受賞することになった研究について、生理学研究所の細胞生理研究部門の曽我部隆彰准教授は「とうがらしを食べて人は辛いと感じるが、どの受容体が、とうがらしの辛み成分のカプサイシンを感じているのかは、誰にもわかっていなかった。デビッド・ジュリアス氏は、この辛み成分を感じ取るセンサーを世界で初めて見つけた。また、このセンサーは、とても熱い温度を感じるセンサーでもあることを同時に突き止めた。ひとつのセンサーが全く違う感覚のセンサーとして同時に機能していることも世界で初めて見つけた」とジュリアス氏の功績について話しました。

また、アーデム・パタプティアン氏については「触った感覚、触覚を感じ取るセンサーや、涼しいと感じるセンサー、わさびなどを食べたときに舌で感じるような痛みのセンサーも見つけた」と話しています。

そのうえで、受賞の意義について「感覚は、生命がいちばん最初に受け取る環境の情報で、外の世界がどうであるかを知るうえで必須の機能だ。感覚機能がないと、生き物は究極的に生きていけない。体にとって心地よい環境なのか、不快なのかを知るために重要な機能で、今回は、その感覚をつかさどる非常に重要な分子を発見したことが評価された。中でも痛いと感じる感覚は、医療的にも非常に重要で、世界中で基礎研究が進んでいる段階だが、感覚センサーのメカニズムがわかることで、慢性痛などを治療していく、緩和していく新薬が開発され、役立つ可能性がある」と話しました。

ジュリアス氏のもとで研究の研究者「毎年受賞待っていた」

ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデビッド・ジュリアス氏のもとで研究をしていた、生理学研究所の富永真琴教授は「痛みは人間の生体防御の最も基本的な感覚なので、痛みを感じる『カプサイシン受容体』の遺伝子を明らかにした意義はとても大きい。この受容体は痛みに関わるさまざまな病気との関連が指摘されているので、今後、病気の研究や新たな鎮痛薬の開発などにつながると期待される。私はジュリアス氏のもとで今回の受賞理由となった『カプサイシン受容体』の研究を行っていたが、彼は、医師ではないものの医学の知識が豊富で、とてもアイデアマンだ。もう10年以上前からノーベル賞では名前があがっていて、私も毎年、受賞を待っていたので、やっとこの日が来てとてもうれしい」と話していました。