JR各社に全国5000か所の橋 定期検査待たず緊急調査指示 国交省

豪雨による川の増水で、鉄道の橋が流されるなどの被害が相次いでいることを受け、国とJR各社による対策検討会が開かれ、国は全国の橋りょうについて、定期検査を待たずに緊急調査を行うなど早期に対策を進めるよう指示しました。

豪雨による鉄道の橋の被害は、8月に長野県でJR飯田線などの3つの橋が傾いたほか、去年7月には熊本県のJR肥薩線などで4つの橋が流されるなど、全国で被害が相次いでいます。

飯田線と肥薩線は、今も復旧のめどがたっていません。

一度被害を受けると、復旧まで1年以上かかることもあり、地域の通勤・通学や観光などに大きな影響が出ることから、28日、国土交通省とJR各社が対策の検討会を開きました。

検討会では、被害が出た橋のほとんどが、建設から70年以上たった戦前に作られているほか、川の濁流や増水により橋脚の土台周りの川の底が削れたことが多くの被害の原因と考えられることなどが報告されました。

そのうえで、国土交通省はJR各社に対し、全国5000か所余りある橋を対象に2年に1度義務づけられている定期検査を待たず、緊急調査を行うよう指示しました。

調査では、具体的な調査方法を定めた新しいマニュアルを使用し、来年の出水期までに対策を進めるよう求めています。

検討会で、赤羽国土交通大臣は「防災・減災の観点で、最優先課題に位置づけ、スピード感をもって取り組んでいただきたい」と話していました。

全国 6路線に不通区間

国土交通省によりますと、河川にかかる鉄道の橋が流されることで、現在一部で不通となっているのは、全国で6つの路線に上っています。

福島県と新潟県を結ぶJR只見線は、平成23年の豪雨で、福島県内の3つの橋が流され、10年にわたって不通の区間が出ています。

一度は、被災した区間の廃線も検討されましたが、JR東日本と地元の自治体が復旧の在り方などを話し合い、福島県や市町村も費用を負担し、およそ90億円をかけて来年に全線での復旧を目指しています。

また、熊本県を走るくま川鉄道は、去年7月の豪雨で長さ300メートル余りの橋が流されて一部で不通となっていて、全線での復旧時期は決まっていません。

ことしに入ってからも、8月に長野県内でJR飯田線とアルピコ交通上高地線の橋が傾き、今のところ復旧のめどはたっていません。

橋脚1つ数千万円 費用や限られる工期も課題

鉄道の橋は1つの橋脚の修繕にも数千万円がかかり、費用が課題になっています。

JR東日本、東海、西日本以外の鉄道事業者は、修繕のための費用の3分の1の補助を国から受けることができますが、経営規模の小さい鉄道事業者にとっては重い負担となります。

また、鉄道各社によりますと、河川にかかる橋は、川の水量が少ない渇水期でないと検査や修繕の工事が難しく、工期が限られていることも対策を進めるうえでの課題となっているということです。