自民党総裁選 農業政策や防災・減災などで討論

自民党総裁選挙は、4人の候補者がオンラインで国民からの質問に答える政策討論会が25日も行われ、農業政策や防災・減災などをめぐって意見が交わされました。

今回の自民党総裁選挙では、感染対策のため各地での街頭演説会を実施せず、その代わりとして23日から4日間の日程で、4人の候補者がオンラインで国民からの質問に答える政策討論会が行われていて、25日は農業政策や防災・減災や観光振興などのテーマで意見が交わされました。

このうち、日本の食料自給率について、河野規制改革担当大臣は「国内で100%自給するのは難しいのが現実だ。大事なのは、何か起きたときに買い負けない経済力をつくり、食料の生産基盤を維持していくことだ。農家の高齢化が進む中、若い人に入ってもらい、稼げる農業をいかにつくるかが求められる」と述べました。

岸田前政務調査会長は「自給率を上げることは大変重要だが、日本は平地が少ないなどのハンディーがある。価値が高く、もうかる農業をつくっていかなければならない。若い人たちに魅力のある農業にしないと維持・発展することはできず、最新の技術を使い担い手も育成したい」と述べました。

高市前総務大臣は「食料自給率は、有事や大規模災害などに備えて100%になることが望ましいが、もうからない農業を重労働で続ける人が増え、高齢化も進んでいる。もうかる農業にして、世界に日本のおいしいものを輸出をしていくことに力を入れるべきだ」と述べました。

野田幹事長代行は「海外からの輸入が止まると、いかに足りていないかに気付くが、すぐ忘れてしまうので、教育をしっかりやらないといけない。高齢化によって休耕田や放棄地も増えている。利活用できるよう、高校や大学での教育を充実し、人材を作っていくことが大事だ」と述べました。

政策討論会は最終日の26日は、憲法改正や少子化、人口減少対策などで議論が行われる予定です。

河野氏 山形県のコメ農家らと意見交換

自民党の河野規制改革担当大臣は、山形県のコメ農家らとオンラインで会合を開き、農業政策などをめぐって意見を交わしました。

この中で、出席者が、新型コロナウイルスの影響が長引き、飲食店での需要が減る中、コメの価格が下落しているとして、農家に向けた給付金の創設などを要望しました。

これに対し河野氏は「コメの価格は農業の根本だ。さまざまな方法で米価を下支えするため、農家の皆さんの声を聞きながらしっかり考えていきたい」と応じました。

また、河野氏は「日本の農産品は非常に品質がよく、付加価値が高いものは海外からもかなり目をかけてもらっている。コメの価格を下支えしながら、輸出に向けた外交努力や支援をしていく必要があり、稼げる農業をしっかり後押ししたい」と述べました。

岸田氏 子どもたちの学習支援の現場を視察

自民党の岸田前政務調査会長は25日午後、東京・葛飾区の公民館を訪れ、ボランティアの大学生が子どもたちに学習支援を行っている現場を視察しました。

大学生は、経済的な理由で学習塾に行けなかったり、家族の介護にあたったりするなど、家庭の事情を抱えている子どもたちに勉強を教えていて、岸田氏は活動の状況について説明を受けました。

このあと岸田氏は記者団に対し「子どもたちが生き生きと学ぶ姿を見て、取り組みの重さを感じた。所得を幅広く引き上げて格差を埋め、一体感を取り戻す社会をつくりたい。老朽化している公民館の増改築の時に子どもの居場所を作ることが大事だ」と述べ、子どもたちの学習などの拠点を全国に整備したいという考えを示しました。

これに先立って、岸田氏は、中国の新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり、日本で暮らすウイグル族の人などでつくる団体の幹部と面会し、人権問題担当の総理大臣補佐官を新設することなど人権問題に対するみずからの考えを説明しました。

高市氏 経済政策や外交政策などで意見交換

自民党の高市前総務大臣は、25日に国会内で、推薦人代表を務める西村経済再生担当大臣や兵庫県議会議員とオンラインで会合を開き、経済政策や外交政策などをめぐって意見を交わしました。

この中で高市氏は、地方経済について「兵庫や地元の奈良も観光地で、経済が痛んでいる。旅行や買い物など、いま我慢している需要が急増する時期が必ず来るので、事業者が業務転換などで生き残っていくための支援をしっかりやっていく」と述べました。

また、北朝鮮による拉致問題について「難しく厳しい問題だが、トップ会談がいちばん重要だ。総理大臣になったら、あらゆるルートを使ってトップ会談を行い、ほかの国とも連携しながら、国際社会への発信にも取り組んでいきたい」と述べました。

このほか、高市氏は、島根県の竹島について「これ以上、絶対に構造物はつくらせないという強い意思を持って取り組んでいく」と述べました。

野田氏 知的障害者の支援団体と意見交換

自民党の野田幹事長代行は25日午後、知的障害者の支援団体の代表らとオンラインで意見を交わしました。

この中で団体側は、新型コロナウイルス対策について「障害者施設の利用者のワクチン接種が、自治体によっては非常に遅れている。マスクを着用できない利用者もいるので、一気に感染が広がる」と切実な現状を訴えました。

これに対し、野田氏は「いま取り組むべきことは、早期発見・早期治療だ。自宅で抗体カクテルの点滴ができるのであれば、当然、施設内でもできる」と述べ、軽症患者などに使用できる「抗体カクテル療法」の投与を障害者施設でも進めていく考えを示しました。

そのうえで野田氏は「社会的弱者は自民党のセンターの政策にならない。女性や子ども、障害者の政策は日常的な政策課題と見なされていない。そういう国を変えたい」と強調しました。

農業政策と課題は

コメ政策について政府は生産調整、いわゆる「減反政策」を昭和46年(1971年)から本格的に始め、40年以上にわたって続けてきました。

しかし、国が生産量を決めることで、生産者が市況にあわせて自らの責任と判断で生産性の高い農業を営む意欲をそいでいたとの指摘もあり、政府として2013年に減反政策の廃止方針を決定し、2018年から国による生産調整は行っていません。

ただ、コメの消費は減少傾向にあり生産が需要を上回っていて、コメ余りの状態となっています。

さらに新型コロナウイルスの影響による外食需要の減少もあり、ことしは6月末時点の民間在庫は219万トンと、去年より19万トン増えています。

農林水産省は、コメ余りによるコメの価格の急激な下落を抑えるため生産者が従来よりも販売時期を後ろにずらした場合、在庫の保管にかかる費用を補助金で支援しています。

一方、農業を巡っては担い手不足が大きな課題です。

全国で農業に従事している人の数は去年2月時点の調査で152万人と、5年前の2015年と比べて45万人余り減っています。

農林水産省は来年度から新たに農業に従事する人への支援制度を新たに設けるなど、若い世代を中心に農業をはじめる人を増やし定着させるための対策を進めることにしています。