駅に自由に演奏できるピアノ 音楽で街を元気に 埼玉 所沢

新型コロナウイルスの感染が広がるなか、音楽を通してひとときの安らぎを感じてもらおうと、埼玉県所沢市の駅の改札口の前に誰でも自由に演奏できるピアノが設置され、多くの人がピアノの音色を楽しんでいます。

この取り組みは音楽で街を元気にしようと「音楽のあるまちづくり」を進めている所沢市が企画し、ピアノは今月3日、西武鉄道の所沢駅の改札口の前に設置されました。

去年9月、所沢駅のリニューアルにより改札口の前に新しく開放的な多目的スペースが設けられたことをきっかけに、市はピアノの音色が聞こえる場所にしたいと検討を進めていました。

こうした中、市はピアノの寄贈の意向を示していた地元で不動産業を営む中川潤さんと調整し、今回の企画が実現しました。

ピアノが設置された初日、演奏会が開かれ、公募で選ばれた地元の小学5年生の男の子や所沢駅の女性係員などが集まった人たちを前にピアノを弾きました。

演奏を終えた小学生の男の子は「いい音が出るなと思って演奏しました。多くの人に聴いてもらえて、楽しかったし、いい経験になりました」と話していました。

ピアノは駅の利用客などが自由に演奏することができ、演奏会のあとも次々と人が訪れ、小さな子どもが鍵盤をたたいて音を楽しむ様子や赤ちゃんを抱えながら演奏する姿などが見られました。

聴いていた地元の30代の女性は「初めて聴きましたが、ピアノのやさしい音色で心が癒やされました」と話していました。

ピアノを寄贈した中川さんは「私自身、何度も音楽に救われてきた経験があり音楽には大きな力があると思っています。ピアノの音色が響くこの場所が多くの人たちにちょっとした元気や癒やしなどいろいろなものを与え、笑顔があふれる場所になればうれしいです」と話していました。

ピアノは今月29日まで設置される予定で、新型コロナの感染対策のため、演奏時間は5分までで、演奏前後には手指の消毒をすることなどが求められています。

また、29日以降も設置が延長される方向で検討が進められているということです。