自民党総裁選 政策討論会始まる コロナ対策などで意見交わす

自民党総裁選挙は、後半戦に入り、23日から4日間、4人の候補者がオンラインで国民からの質問に答える政策討論会が開かれます。
初日の23日は、新型コロナ対策や経済・財政政策などをめぐって意見が交わされました。

今回の自民党総裁選挙では、感染対策のため、各地での街頭演説会が実施されず、その代わりとして、23日から4日間、4人の候補者がオンラインで国民からの質問に答える政策討論会が初めて開催されます。

初日の23日は、午後6時から始まり、抽せんで選ばれた100人が参加して、新型コロナ対策や経済・財政政策、社会保障などについて質問しました。

この中で4人の候補者は新型コロナウイルスの感染収束に向けた取り組みについて次のように意見を述べました。

河野規制改革担当大臣は「ワクチンで致死率がだいぶ低くなり、11月には希望する人は打てるようになる。治療薬の開発も進んでいるので重症化したり、亡くなったりという心配をだいぶ減らすことができる。異常が起きたら病院が対応してくれるような設備も開発が進んでいる。しっかり頑張っていきたい」と述べました。
岸田前政務調査会長は「ワクチン接種と治療薬開発の2つをしっかり進めないといけない。治療薬も年内を目指して開発が進められているので、社会経済活動を取り戻す道筋をつくりたい。少し時間がかかるので、それまで我慢して協力してもらえるような経済対策を用意したい」と述べました。
高市前総務大臣は「新しい変異株が出てくるなど、いろんなリスクがあるが、できるだけ多くの人が感染防止の対策をして、ワクチンや治療薬が普及していけば、必ず出口は見えてくる。それまでの間、会社がつぶれないよう、働いている人やフリーランスの人が困らないよう、対策を強化していきたい」と述べました。
野田幹事長代行は「まずは医療難民をつくらないことだ。ワクチン接種率を100%に近づけることで諸外国のように一定の転機を迎えるし、治療薬も飲み薬ができると、自宅にいても不安を感じなくなる。経済活動をそろそろと進め、精神的な負担を取り除いていきたい」と述べました。

コロナ支援と財政の課題

新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、政府は、深刻な影響を受けている企業や個人を対象にさまざまな支援を行っています。

営業時間の短縮の要請などに応じた飲食店に「協力金」を支給しているほか、飲食店の取引先や、外出自粛の影響を受けた事業者に対して、売り上げの減少を補う「月次支援金」を支給しています。また、子どもが通う学校が休校するなどして、保護者が有給休暇を取得した場合に、勤務先の企業に助成金を支払います。

個人に対しても、収入が減少した人が生活費として最大20万円を借りることができる「緊急小口資金」や、住民税が非課税の子育て世帯に子ども1人あたり5万円を支給する制度も行っています。

一方で、資金を必要とする企業や個人に、いかに迅速に支援を行き渡らせるかが課題となっています。

政府は昨年度、コロナ対策などで合わせて175兆円超える予算を編成しましたが、30兆円余りが使われず、今年度に繰り越されました。このうち3兆円余りは、営業時間の短縮要請に応じた飲食店への協力金の経費で、引き続き予算のすみやな執行が求められます。

さらに、新型コロナウイルスの影響を受けた企業などが従業員の雇用を維持したときに休業手当などを助成する国の雇用調整助成金は、去年2月からの支給額が4兆円を超えて財源不足に直面する事態も起きています。

経済や雇用の回復と財政状況を見極めながら、効果の高い支援に絞って行う必要性にも迫られています。

悪化する日本財政

日本の財政は、悪化の一途をたどっています。

昨年度=令和2年度、政府は、3度にわたって補正予算を編成し一般会計の総額は当初予算と合わせて175兆円を超えるという異例の規模にまで膨らみました。

このうちの60兆円余りは税収で賄いましたが、残りの財源は国債などで補ったため、1年間の新規の国債の発行額は初めて100兆円を突破しました。

この結果、今年度末には国と地方を合わせた債務の残高が1166兆円余りに達し、GDP=国内総生産の2倍を超える水準になる見通しです。

さらに今後、いわゆる団塊の世代が75歳以上になることで、医療や介護などの社会保障費が一段と増えることも見込まれ、国の財政は構造的に膨張しやすくなっています。

しかし、新型コロナウイルスの感染収束のメドが立たない中、打撃を受けている企業や個人に対する切れ目のない支援は欠かせません。

さらに、政府が国の成長戦略として掲げているデジタル化や脱炭素などをスピード感を持って進めるためにも一定程度の財政支援が必要です。

政府の経済財政運営は、新型コロナへの対応や経済の早期再生と同時に、財政再建も進めるという非常に難しいかじ取りを迫られています。

「基礎的財政収支」と財政健全化

政府が財政健全化の指標として使っているのが、「基礎的財政収支」=プライマリーバランスです。

基礎的財政収支は、社会保障費や防衛費など、政策にあてる経費を国債などに頼らず、税収や税外収入でどれだけ賄えるかを示します。
政府は、国と地方をあわせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化するという目標を掲げていますが、昨年度は、国が3度にわたる補正予算を組んだ結果、56兆4000億円の赤字となり新型コロナウイルスへの対応が続く中、目標の達成は簡単なことではありません。

内閣府の最新の試算では、今後、物価の変動を除いた実質で年間2%程度の高めの経済成長が続くという想定でも、黒字化の達成は政府の目標より2年遅れて、2027年度になるとしています。

このため、目標を達成するためには、新型コロナをいち早く収束させて高い経済成長を実現するとともに、歳出削減も進めていく必要があります。

ことしの「骨太の方針」は、現在の目標を堅持すると明記する一方、新型コロナの経済や財政への影響を検証し、今年度中に目標年度を再確認することも盛りこまれました。

ただ、財政健全化に向けた道筋が不透明になれば、財政に対する信認が失われかねないという指摘もあり、新型コロナへの対応を行いながら、財政健全化をどう図っていくのかも問われています。

日銀 大規模な金融緩和を継続

日銀は、2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで大規模な金融緩和を継続するとしています。

第2次安倍内閣の発足を受け2013年に就任した日銀の黒田総裁は、デフレからの脱却のため、2%の物価上昇率の目標を掲げて大規模な金融緩和に踏み切りました。

国債の買い入れを増やして市場に大量の資金を供給し、さらに複数の株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れなども進めた結果、金融市場では円安・株高が一気に進みました。

しかし、当初は2年程度で実現するとしていた2%の物価目標は達成できず、2016年1月、日銀は金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナス金利を適用する「マイナス金利政策」を導入し、いっそうの金融緩和に踏み切りました。

続いて、その8か月後には、短期金利はマイナスにしたうえで、長期金利をゼロ%程度に抑える金融政策に変更。さらに、去年3月に新型コロナウイルスの影響を受けた経済を支えるため、国債やETFなどの買い入れを一段と強化するなど、2%の物価目標を掲げた金融緩和が続いています。

この8年余りに及ぶ大規模な金融緩和で、さまざまな「副作用」も指摘されています。マイナス金利政策の影響で、企業などへの融資でのいわゆる「利ざや」が縮小し、金融機関の収益が圧迫されています。
また、日銀が保有する国債の残高はことし6月末時点で540兆円と全体の44%を占めるまでになっています。

日銀が大規模に国債を買い入れることで国の財政規律が失われるという批判も出ています。さらに、保有するETFの額はことし3月末時点で、51兆円余りと、東証1部に上場する株式の時価総額のおよそ7%に上り、市場の価格形成をゆがめているという指摘もあります。