アフガニスタン タリバン統治を懸念 音楽活動など控える動き

アフガニスタンでは、再び権力を掌握したイスラム主義勢力タリバンの、今後の統治を懸念し、市民が、旧タリバン政権で禁じられた音楽活動や娯楽などを控える動きが広がり、文化面で大きな変化が生じ始めています。

タリバンの暫定政権は、女性の教育や就労などをイスラムの教えの範囲内で保障する考えを示す一方、旧タリバン政権時代に市民の行動を厳しく監視した勧善懲悪省を復活させるなどしていて、市民の間で今後の統治への懸念が広がっています。

こうした中、かつて禁じられた音楽活動を控える動きが相次ぎ、結婚式などで伝統音楽を演奏するバンドの多くも活動を停止しました。

首都カブールに住む歌手のアニール・アンガーさんは今月はじめ、タリバンの戦闘員に「イスラムの教えでは音楽の演奏は許されていない」ととがめられ、楽器を没収されたということです。

アニールさんは「歌がなくては生きていけない。歌手の仕事しかやったことがないので、これからどう生計を立てればいいのか分からない」と不安を訴えていました。

また、流行の音楽が楽しめるカブールのカフェは、10年以上、大勢の客でにぎわっていましたが、先月、タリバンが復権したあとは市民が取締りを警戒し、客足が遠のきました。

カフェの店長は「売り上げが7割も減った。政治的な変化が起きたせいで客が来なくなった」と嘆いていました。

さらに、若者に人気の水たばこを提供していたカフェは、経営者が、タリバンにとがめられるのをおそれて国外に脱出したため、閉店となりました。

店長を任されていた男性は「若者にとって娯楽の場所だったが、状況が一変した。35人の従業員は、全員、失業した」と話していました。

タリバンの暫定政権は、音楽活動や映画などの娯楽の規制について、これまでのところ公式の見解を示していませんが、市民の不安や警戒心は根強く、文化面で、市民生活に大きな変化が生じ始めています。

音楽関係者の多く 国外に脱出

タリバンは、1996年から5年間続いた旧政権時代、イスラムの教えを極端に解釈した統治によって、音楽活動を禁じました。

20年前、旧タリバン政権が崩壊すると音楽活動は再開され、結婚式などでは伝統音楽を演奏するバンドが呼ばれ、歌や踊りを楽しむ習慣が戻りました。

しかし、タリバンが再び権力を掌握した先月以降、こうしたバンドに仕事の依頼は来なくなり、多くの音楽事務所が閉鎖されました。

音楽関係者の多くは、すでに国外に脱出し、首都カブールにある、複数の音楽事務所が入る建物では、看板が壊されたり塗りつぶされたりしていました。

カブールで活動する歌手のアニール・アンガーさん(28)は祖父の代から音楽で生計を立ててきましたが、今月はじめ、タリバンの戦闘員に路上で呼び止められ「イスラムの教えでは音楽の演奏は許されていない」として楽器を没収されたということです。

アニールさんは「タリバンに『音楽がだめなら仕事をくれ』と言い返した。歌がなくては生きていけない。歌手の仕事しかやったことがないので、これからどう生計を立てればいいのか分からない」と話していました。

アニールさんはその後、タリバンにとがめられるのをおそれ、自宅にあった楽器をすべて壊して捨てたということで、今後のタリバンの統治に強い不安を抱いています。

タリバン イスラムの教えの範囲内であれば娯楽認める考え

タリバンはイスラムの教えの範囲内であれば娯楽を認める考えを示し、首都カブールにある遊園地や動物園では、家族連れが訪れるなどにぎわいが戻り始めています。

このうち、遊園地では銃を持ったタリバンの戦闘員たちが園内を見て回り、車の遊具に乗り込む姿や、おもちゃの銃で射的を楽しむ姿が見られました。

また、動物園では、タリバンの戦闘員たちが、ライオンやラクダなどを眺めながら、園内を回る様子も見られました。

動物園を訪れたタリバンの戦闘員のリーダーは「動物を見て楽しむのはイスラムの教えの範囲内なので、楽しんでほしい」と話し、寛容な姿勢をアピールしていました。