江戸時代のローマ教皇への書簡 高度な技術で有力者の署名

江戸時代、幕府によって信仰が禁じられる中、キリスト教の信徒が、ひそかにローマ教皇に送った書簡を、日本の研究チームが初めて現地で調べた結果、一部の書簡では最高級の和紙に高度な技術で文字がしたためられていることや、武士や商人など京都を中心とした地域の有力者と見られる署名が記されていたことが確認されました。専門家は、幕府の厳しい弾圧の中でも信徒たちが信仰を続けていたことを示す貴重な資料だとしています。

調査は、ローマ教皇庁があるバチカンに保存されている日本に関する資料を調べようと、日本のキリスト教史の研究者などでつくるチームが、去年1月に許可を得て初めて現地で行ったものです。

この中で、江戸幕府によってキリスト教が禁じられる中、日本各地で隠れて信仰を続けていた信徒たちが1620年代に当時のローマ教皇からのメッセージのお礼として、感謝の言葉をしたためて送った「奉答書」と呼ばれる5通の書簡を、顕微鏡などを使って調べました。

その結果、このうちの一通では、「雁皮紙」という最高級の和紙が使われ、紙全体に「金泥」と呼ばれる金粉を溶かした絵の具を塗った上に墨の文字を定着させるという職人による高度な技術が用いられていることが分かりました。

さらに、この書簡に記された署名を詳しく調べたところ、武士や商人など京都を中心とした地域の有力者と見られる人物であることが確認できたということです。

調査にあたった上智大学の川村信三教授は「京都を中心にした地域の有力者たちの中に、弾圧を受けながらもキリスト教を強く信仰していた人がいたことを示す貴重な資料だ」と話しています。

研究チームは今後、クラウドファンディングで資金を募るなどして現地での調査や研究を続けていきたいとしています。