台風14号 あす西日本上陸へ なぜ予報は大幅に変わったのか…?

九州の西の海上で勢力を落とし、温帯低気圧に性質を変えて西日本に接近すると予想されていた台風14号。しかし気象庁は、温帯低気圧に変わらず、台風の勢力を保ったまま西日本に上陸すると変更しました。

「ちょっと…台風、勘弁してください…」
「温帯低気圧に変わる予報だったじゃないか…」
「台風が来るから明日は小学校、休校でオンライン授業ですって」

突然の予報の変更に、ネット上ではこうした投稿も見られました。なぜ、大幅に変わったのでしょうか?

台風14号 あす西日本に上陸か

気象庁によりますと、台風14号は当初、対馬海峡付近で温帯低気圧に変わる見込みでしたが、予想以上に発達し17日に西日本に近づき上陸するおそれがあります。
午後9時には、長崎県五島市の西南西およそ300キロの海上を1時間に15キロの速さで北東へ進んでいます。

中心の気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は25メートル、最大瞬間風速は35メートルで、暴風域はありませんが、中心の北東側390キロ以内と南西側330キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
九州南部では前線の活動が活発になり、特に宮崎県では局地的な大雨となっています。

▽日南市付近ではレーダーによる解析で午後4時までの1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁が「記録的短時間大雨情報」を発表しました。

▽宮崎市にある宮崎空港では、午後7時までの72時間の雨量が700ミリを超えるなど記録的な大雨となっています。

宮崎県では土砂災害の危険性が非常に高まり「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。引き続き、土砂災害や川の氾濫に厳重な警戒が必要です。

各地で備えの動き

台風の進路に当たる地域では16日、各地で備えの動きが見られました。

<福岡 糸島>漁港 船を岸壁に固定

福岡県糸島市の岐志漁港では高波や強風で漁船や釣り船が流されてほかの船にぶつかる被害を防ぐため、漁業者が船のいかりをおろしたり、船どうしをロープでつないで岸壁に固定したりしていました。また、漁に使う網など風で飛ばされそうなものが船の上に残されていないか確認していました。

<鳥取>観光農園 梨の落下など防止にネット設置

鳥取市福部町にある観光農園では、来月にかけて県特産の「二十世紀梨」など20品種ほどの梨の収穫体験を行っています。強風で梨が落ちるなどの被害が予想されることから、15日に風を防ぐネットを農園の周辺に張ったり、落下を防ぐ農薬を梨の木に散布したりしました。

17日は西日本 18日は西~北日本で雨や風が強まる

今後の見通しです。

台風の接近に伴い17日は西日本を中心に、18日は西日本から北日本にかけての広い範囲で雨や風が強まる見込みで、特に大雨に警戒が必要です。
17日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
▽九州北部で250ミリ
▽四国で200ミリ
▽九州南部で150ミリ
▽近畿で120ミリ
▽東海で100ミリと
予想されています。

さらに18日夕方までの24時間に降る雨の量は
▽四国、近畿、東海、関東甲信で200ミリから300ミリ
▽中国地方、北陸、東北で100ミリから200ミリ
▽九州北部で100ミリから150ミリと
予想されています。

中国地方や四国の瀬戸内側など、ふだん雨が少ない地域でも雨量が多くなるおそれがあります。

暴風 高波 高潮にも警戒

暴風や高波、高潮にも警戒が必要です。

17日にかけて予想される最大風速は
▽九州北部と四国で25メートル
▽中国地方と近畿で23メートル
▽九州南部で20メートルで
最大瞬間風速は
▽九州北部、四国、中国地方、近畿で35メートル
▽九州南部で30メートルなどと
予想されています。

波も高くなる見込みです。また、瀬戸内海に面する地域では17日の夜は潮位が高くなる時間帯と台風が近づく時間帯が重なるため、高潮にも警戒が必要です。

気象庁は、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水、暴風、高波それに高潮に警戒し、落雷や竜巻などの突風にも十分注意するよう呼びかけています。

なぜ、予報が変わったのか?

予報が大幅に変わった理由について気象庁は「予想以上に台風が発達した」ことを理由に挙げています。

<15日 0:00>中心付近に活発な雲域なく勢力弱まる

衛星画像でみると15日午前0時の段階では東シナ海でほとんど停滞し、台風の中心付近に活発な雲域がほぼ無くなっている状況で勢力が弱まっていました。

<16日 2:00>積乱雲まとまり始める

しかし16日未明ごろから台風の中心付近で雲の渦が形づくられ、積乱雲がまとまり始めている様子が確認できます。気象庁は「予想は現状難しく、さらに発達するおそれもある」と話していました。

要因1. 停滞した東シナ海 海面水温が平年より1度前後高い

今回の再発達、気象庁の担当者は「海水温」が影響した可能性があると説明しています。

15日の海面水温の状況を見ると、台風が停滞していた東シナ海付近は28度から29度ほどで平年より1度前後高くなっています。

要因2. より海面水温の高い方向へ 水蒸気を補給

さらに、台風がより海面水温の高い南東方向に進んだことから、周辺の湿った水蒸気を補給して勢力が強まった可能性があると説明していました。

専門家「再発達“まれ” しかしまだ発達の可能性も」

再発達について、専門家も珍しいと指摘しています。

台風のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授は「台風が東シナ海で再発達するには、海水温に加えてジェット気流の流れといった大気の状態などかなりの条件が整わなければならず、今回は“まれ”な台風だと言える」と指摘します。

そのうえで「東シナ海の海水温は高くまだ発達する可能性もある。さらに台風の北側にあるジェット気流は1000キロほど離れた位置にあるため、大気の面からも発達できる環境が整っている」と指摘しています。

<15日 18:00>進路予報 対馬海峡付近→日本海側

進路の予報も変わっています。15日の午後6時の予報では対馬海峡付近から日本海側を進む予報でした。

<16日 21:00>進路予報 九州~関東 各地に影響か

しかし現在は、九州をはじめ中国地方、四国、近畿や東海、関東と各地に影響をもたらす可能性が高くなっています。四国の瀬戸内側や山陽地方ではふだん雨量は多くないため、進路などによっては災害につながりやすい危険性があります。

台風はその後、温帯低気圧に変わる見込みですが「台風だから危険で、温帯低気圧だから安心だ」というわけでは決してありません。

坪木教授も「温帯低気圧は広い範囲で強風や大雨、突風をもたらすおそれがある。前線も南側にあって大量の水蒸気が流れ込むため警戒が必要だ」と指摘しています。

「リードタイム」意識して備えを

九州や四国では、台風が接近する前の16日夜から次第に雨風が強まるおそれがあります。災害に備える準備の時間「リードタイム」を考慮して必要な対策を進めてください。

地域の災害の危険性はハザードマップなどで確認できますが、おととしの台風19号では台風の接近・上陸後にアクセスが集中し、ウェブサイトを閲覧できなくなった自治体もありました。
特にお年寄りや体の不自由な人など避難に時間がかかる人は、あらかじめ地域の危険性を調べ、早めに安全な場所へ移動できるよう準備を進めるなど16日夜のうちにできる備えをするようにしてください。

また、気象庁ホームページの危険度分布「キキクル」や自治体の避難情報など最新の情報をこまめに確認するようにしてください。