陸上自衛隊 過去最大規模の演習始まる 南西地域の防衛を想定

南西地域の防衛を想定し、全国から1万人を超える隊員を九州に集結させる陸上自衛隊の過去最大規模の演習が15日から始まりました。

15日始まった「陸上自衛隊演習」は、ことし11月下旬まで2か月余りにわたって行われ、南西地域の防衛を想定し、部隊の移動など作戦の準備段階の課題を検証するのがねらいです。

北海道と山形県、それに香川県にある「師団」と「旅団」と呼ばれる3つの部隊のおよそ1万2000人の隊員や4000台近い車両を、民間のフェリーなどを使って九州に集結させることにしていて、15日は各地の駐屯地で隊員が資材を車両に積み込むなどしたということです。

今回の演習には、後方支援などを含め全国の部隊からおよそ10万人の隊員や、およそ2万台の車両が参加する予定で、陸上自衛隊によりますと、これだけの規模の演習を行うのは平成5年以来およそ30年ぶりだということです。

一方、演習中、所属する方面の外に移動する隊員については事前にPCR検査で陰性であることを確認するなど、新型コロナウイルスの感染防止策を徹底することにしています。

中国が海洋進出の動きを強める中、防衛省は離島に新たに部隊を配備するなど南西地域の防衛体制の強化を進めていて、今回の演習を通して部隊の展開や後方支援にどのような課題があるのかを検証し、実際の作戦に備えた計画づくりにいかすことにしています。

過去の大規模演習と演習の位置づけ

陸上自衛隊が10万人規模で演習を行うのは28年前の平成5年以来です。

この時の演習は全国の部隊を北に展開させる想定で行われました。

冷戦時、日本にとって安全保障上の最大の脅威が旧ソ連による侵攻だと捉えられていたことが背景にあります。

しかし、冷戦構造が終わり、中国が急速に軍事力を増強して東シナ海などで海洋進出の動きを強める中、政府は、南西諸島の防衛体制を強化する方針を打ち出します。

沖縄県や鹿児島県の離島に新たに部隊を配置したほか、長崎県に離島の奪還作戦を専門とする「水陸機動団」を新設するなどしてきました。

一方、仮にこの地域で緊張が高まった場合には、全国から部隊を集結させることになりますが、広大な範囲に島々が点在する南西諸島に部隊や物資をどう送り込むかが課題になると考えられていました。

「師団」や「旅団」と呼ばれる数千から1万人規模の部隊を、複数、同時に移動させるのは今回が初めてで、今回の過去最大規模の演習は、自衛隊が部隊の配備にとどまらず、南西諸島で実際に作戦を行うための備えを本格化させていることを示しています。