イスラエル UAEなどと国交正常化から1年 従来姿勢崩さない国も

中東イスラエルと対立してきたアラブ諸国のうち、UAE=アラブ首長国連邦など2か国がイスラエルとの国交正常化に踏み切ってから15日で1年になります。その間、さらに2か国が国交正常化で合意した一方、ほかのアラブ諸国は従来の姿勢を崩しておらずイスラエルに接近する国が増えていくかは不透明な情勢です。

アラブ諸国は長年パレスチナ占領を続けるイスラエルと対立してきましたがこのうちUAEとバーレーンがアメリカのトランプ前政権の仲介で去年9月15日、イスラエルと国交を正常化する合意文書に署名しました。

それから1年になりますが、イスラエルとUAEとの間のことし1月から7月にかけての貿易総額は6億1390万ドル、日本円にして675億円余りと前の年の同じ時期の10倍以上に増え経済交流が進んでいます。

また特にイスラエル寄りの立場だったトランプ前政権の働きかけでさらにスーダンとモロッコがイスラエルとの国交正常化で合意しました。

一方でことし5月、イスラエルがパレスチナのガザ地区を空爆して多くの市民が死亡した際、アラブ諸国は強く非難したほかその中心的な存在のサウジアラビアもパレスチナ問題の解決が国交正常化の条件だとする姿勢を崩していません。

イスラエルとアラブ諸国には関係を改善してイランの脅威に対抗する思惑もありますが、イスラエルが国際法に違反してパレスチナの占領を続ける中でイスラエルに接近するアラブの国が増えていくかは不透明な情勢です。

両国間で人の往来や貿易は活発に

国交正常化を受けてイスラエルとUAE=アラブ首長国連邦はお互いに大使館を設置し、両国の間で人の往来や貿易が活発になっています。

このうちUAEでは防衛や情報通信技術それに医療などの分野の国際見本市にイスラエル企業が出展し、UAEのビジネスマンなどと商談を行う様子も見られるようになりました。

また最大都市ドバイでは新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続くなかでもイスラエルから訪れる観光客の姿が見られます。

イスラエル外務省によりますとことし1月から7月にかけての両国の貿易総額は6億1390万ドル、日本円にして675億円余りと前の年の同じ時期の10倍以上に増えたということです。

これについてイスラエル外務省のリオール・ハイアット報道官がオンラインでNHKの単独インタビューに応じ「この1年の目標は将来の関係に向けたインフラを整えることだ。両国は経済で補完関係にありすでに多くの経済交流が実現している」と述べ経済関係の強化が進んでいると強調しました。

そしてイスラエルとアラブ諸国との国交正常化は中東における新たな現実を示しているとしたうえで、2014年を最後に途絶えているイスラエルとパレスチナの和平交渉にもよい効果をもたらすと主張しました。

一方、ほかのアラブ諸国がパレスチナ問題の解決を国交正常化の条件としていることについては「パレスチナのリーダーこそ方針を変え和平交渉の場に戻るべきだ」と述べパレスチナ側に責任があると非難しました。

JETROテルアビブ事務所長「ビジネスチャンス拡大は事実」

イスラエルとUAE=アラブ首長国連邦との経済交流が進んでいることについて、JETROテルアビブ事務所の廣田新 所長は新型コロナウイルスの感染拡大が直行便や貿易などに影響を及ぼしているとしながらも「投資分野では巨額の投資ファンドが設立されるという計画もあるが具体的な動きはまだ少ない。ただ、政府が旗振り役となることでビジネスチャンスが拡大しているのは事実だ」と指摘しています。

一方、日本企業の動きについてはUAEに拠点を置く企業からはイスラエルでの販路拡大について、またイスラエルに拠点を置く企業からは湾岸諸国での販路拡大についてそれぞれ問い合わせがあるとしつつも「これまでのところ目立った動きは把握しておらず各社が情報収集の段階にある」と分析しています。