ワクチン希望する受験生 速やかな接種へ 国が自治体に通知

新型コロナウイルスのワクチン接種を希望する受験生が速やかに接種を受けられるよう国は14日、受験生を優先的に接種する取り組みの事例を、全国の自治体に通知しました。

大学入試では、今月1日から「総合型選抜」の出願が始まり、面接や小論文などの試験が進められるほか、高校入試では2学期の定期試験の結果が影響するところも多く、受験生への優先接種を求める声も上がっています。

文部科学省と厚生労働省は、希望する受験生やその保護者などが速やかに接種を受けられるよう、すでに優先接種に取り組んでいる事例を、14日全国の自治体に通知しました。
このうち、
▽兵庫県の姫路市では高校3年生を対象に「受験生優先DAY」という専用の予約枠や会場を設けているほか、
▽沖縄県那覇市でも受験や就職活動のため中学3年生や高校3年生などに専用の予約枠を設けているということです。

また
▽静岡県浜松市では受験生が接種を受けやすいように平日の夕方や土日に接種機会を設けているほか、
▽東京都では高校などの最終学年の生徒を都の大規模接種会場の対象者に追加しています。

一方、文部科学省はワクチン接種は強制ではなく個人の判断を尊重することが大切だとしていて、自治体に対し差別やいじめにつながらないよう対応を求めているほか、大学や高校に対し接種の有無を受験要件にしないよう強く求めています。

都内の学習塾からは歓迎の声

新型コロナウイルスのワクチン接種について希望する受験生が速やかに受けられるよう、国が全国の自治体に通知したことについて、今月からすべての集団授業をオンラインで実施している都内の学習塾からは歓迎の声が聞かれました。

東京・豊島区に本社がある大手学習塾では関東地方のおよそ160か所で、小学生から高校生までを指導していますが、第5波の感染拡大に伴って一部の施設で生徒などの感染がわかり、一時休業するなどの対応をとりました。
これまでも対策を徹底して授業を行ってきましたが、今月から対面での集団授業を取りやめ、すべてオンラインの授業に切り替えました。

感染者数の状況などを踏まえ、今月19日からは対面での授業を再開する方針ですが、不安な生徒などのために引き続きオンラインでの授業も続けることにしています。
こうした中、ワクチン接種を希望する受験生が速やかに受けられるよう、国が全国の自治体に対し通知したことについて、早稲田アカデミーの伊藤誠専務執行役員は「接種するかどうかは家庭ごとの判断だが、行政が働きかけを行い、万全の体制で人生の転機になる受験を迎えられるのはいいことだ」と歓迎していました。

そのうえで、「職員のワクチン接種も進み、必要な対策の準備は整っている状況だが、19日から、また多くの生徒を教室に迎え入れることになるので、改めて感染対策を徹底したい」と話していました。

イギリスでは来週から12歳から15歳の子どもも接種対象

イギリス政府は、新型コロナウイルスのワクチンについて、ロンドンのあるイングランドでは、来週から、12歳から15歳の子どもも接種の対象とすることを、明らかにしました。

イギリスでは、16歳以上にはワクチンの接種が広く行われていますが、12歳から15歳については、接種は基礎疾患がある人など一部に限っていて、専門家の委員会も、この年代へのワクチン接種の恩恵は小さく、若い世代でまれに心筋炎の副反応が報告されたことなどから、接種を必ずしも推奨しないとしていました。

これに対し、政府の首席医務官は13日、今後、冬にかけて感染が拡大し、学級閉鎖が相次ぐ事態を防ぐため、12歳から15歳の子どもについても、ワクチンを1回接種すべきだとする見解を示し、イギリス政府は、この見解を受け入れることを明らかにしました。

2回目の接種が必要かどうかは、今後判断するとしています。

接種するのはファイザーのワクチンで、ロンドンのあるイングランドでは、すでに新しい学期が始まっている各学校で、来週から順次、接種を始めるということです。

また接種にあたっては保護者の同意を求めるとしています。

ジャビド保健相は、声明を発表し、「接種を行うことで若い人たちを感染から守るとともに、学校での感染を減少させ、生徒は学校で学び続けることができる」としています。

チリ 6歳以上の子どもに中国製ワクチンの接種開始

南米のチリでは、感染力の強い変異ウイルスの影響で、新型コロナウイルスに感染する子どもが増えているとして、新たに6歳以上の子どもに対してワクチンの接種を始めました。

南米のチリでは、中国製ワクチンを中心に接種がすすみ、18歳以上の接種率は80%を超えていて、ことし6月からは12歳以上の子どもに対しても接種を進めています。

しかし感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」やコロンビアで最初に確認された「ミュー株」の影響で、このところ子どもの感染者が増えていることから、チリの保健当局は13日、6歳以上の子どもに対してもワクチンの接種を始めました。
ワクチンは中国製のもので、チリの感染症対策の専門家は「中国で得られたデータから十分な安全性や効果が確認され、これまで国内でもほとんど問題が起きていない」としています。

子どもへのワクチンの接種について南米では、ウルグアイも12歳以上に対してファイザー製ワクチンの接種を進めています。

また、カリブ海のキューバでは先週から2歳以上の子どもに国産のワクチンの接種を始めています。