北海道 震度7の地震から3年 犠牲者を悼む 今後の課題や教訓は

北海道で震度7の揺れを観測し、44人が犠牲になった地震から6日で3年となりました。
大きな被害が出た厚真町では、地元の人たちなどが献花台を訪れ、犠牲者を悼みました。

3年前の9月6日未明に、北海道の胆振地方を震源とする震度7の揺れを観測した地震では、厚真町で大規模な土砂崩れが起きるなどして災害関連死を含めて44人が死亡、785人がけがをしました。
このうち37人が犠牲になった厚真町では、6日朝早くから知人を亡くした人たちなどが土砂崩れ現場に設けられた吉野地区の献花台を訪れ、花を手向けていました。

親戚2人を亡くした苫小牧市の34歳の男性は「とにかく今は『ゆっくり休んでください』としか言えません。町の復興はだいぶ進んだと実感しますが、自分はなかなか前に進めずにいます」と話していました。

また、町の中心部に5日設置された慰霊碑を訪れて、追悼する人の姿も見られました。

友人やかつての同僚を亡くした町内に住む89歳の男性は、「『町を守っていきます』と誓いを申し上げました。これからも一日一日を精いっぱい大事に過ごしていきたい」と話していました。

厚真町長や職員が黙とう

厚真町では、宮坂尚市朗町長や町の職員が慰霊碑の前に集まり、正午のサイレンに合わせて黙とうしました。

このあと、宮坂町長は取材に応じ「犠牲になられた方々の思いをしっかりと受け止めながら、厚真町の復旧復興、そして創生へ向けて決意を新たにしています。犠牲者の皆さんも『立ち止まってはいけない』と語っていると思います。これからは理想と希望を掲げながら、厚真町の復興に向けて頑張っていきたい」と述べました。

孤立防止へ“つながり”づくり課題

大きな被害が出た厚真町などでは被災した住民が災害公営住宅などでの暮らしを始めていますが、新たなコミュニティーで孤立を防ぐために住民のつながりをどうつくっていくかが課題となっています。

厚真町、安平町、むかわ町の3つの町では合わせておよそ960人が、仮設住宅や民間の賃貸住宅を借り上げるいわゆる「みなし仮設」などでの生活を余儀なくされましたが、去年秋に災害公営住宅が完成するなどして新たな暮らしを始めています。

しかし、高齢者の世帯を中心に仮設住宅などを出たことによる経済的な負担に対する不安の声が上がっているほか、新たなコミュニティーで孤立を防ぐために、住民のつながりをどうつくっていくかが課題となっています。

北海道内 被害の詳細

3年前の9月6日午前3時7分に、北海道の胆振地方を震源とする地震が発生し、厚真町で最大震度7、安平町とむかわ町で震度6強の揺れを観測しました。

厚真町で大規模な土砂崩れが起き多くの住宅が巻き込まれるなどして、道内では災害関連死を含めて44人が死亡、785人がけがをしました。

また、厚真町にある道内最大の火力発電所の苫東厚真火力発電所が緊急停止し、道内全域の295万戸が停電する「ブラックアウト」が発生しました。
札幌市清田区では、大規模な液状化現象で、住宅が傾いたり道路が陥没したりする被害が相次ぎました。

住宅の被害は全壊491棟、半壊1818棟などを含む合わせておよそ4万9400棟に上りました。

また、厚真町、安平町、むかわ町の3つの町では地震のあとおよそ960人が仮設住宅や民間の賃貸住宅を借り上げるいわゆる「みなし仮設」などでの生活を余儀なくされました。

仮設住宅は入居期限が2年となるため、厚真町などでは去年10月ごろに完成した災害公営住宅や再建された自宅への入居が進みました。

また、3つの町では道や町が発注した河川や道路の復旧工事の9割が終わっています。

一方で、山林の土砂崩れは、記録が残る明治以降で最大規模となるおよそ4300ヘクタールに上りましたが、今もほとんど手付かずのままとなっています。

厚真町やむかわ町は林業が基幹産業の1つで、林業の再生にどう道筋をつけていくかが課題となっています。

液状化発生の里塚地区 復旧工事完了 住民は

大規模な液状化が発生した札幌市清田区の里塚地区では、今月、復旧に向けた一連の工事が完了しました。

3年前の地震では、札幌市清田区の里塚地区で大規模な液状化が発生し、住宅106棟が半壊以上となったほか、道路が陥没するなどの深刻な被害が出ました。

市が進めてきた地盤強化などの復旧工事が今月3日に完了し、地区には新たに移り住む人も出てきています。

里塚地区の自治会長を務める、盛田久夫さん(77)は「ようやくここまで来たなという思いでいっぱいです。いろいろな方の協力があったおかげだと思います」と話していました。

また、ことし2月に里塚地区に移り住んだという子ども連れの30代の女性は「液状化の被害は聞いていましたが、地盤工事が行われたのでむしろ安全だと思い決めました」と話していました。

一方、自宅が一部損壊の被害にあった後藤進さん(70)は「以前の町並みとは変わってしまったし、心の傷は簡単に癒やされるものではないので復興は道半ばかなと思います」と話していました。

ブラックアウトの教訓は

道内のほぼ全域が停電する「ブラックアウト」が起きたことを受けて、北海道電力は早急な対応を迫られました。

道内の発電設備のうち、最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所の出力は、合わせて165万キロワットあり、ブラックアウトが起きた当時の電力需要の半分以上を占めていました。

こうした状況で地震によりこの発電所が発電を停止したことで、供給される電力が急速に減り、ブラックアウトの一因になりました。

道内の発電設備を増強するため、北電は翌年の2019年、札幌近郊の石狩湾新港に、LNG=液化天然ガスを燃料とする火力発電所を稼働させました。

それに加えて北海道と本州をつなぐ送電線、「北本連系線」の容量が、それまでの60万キロワットから90万キロワットに増強され、本州から電力を融通してもらいやすくなりました。

この結果、北電は再び苫東厚真火力発電所が停止する事態に陥ったとしても、大規模停電は発生しないとしています。

加えて、地震の際に東部と札幌周辺を結ぶ送電線がショートし、東部の水力発電所から送られる電力の供給が止まったこともブラックアウトの一因となったことから、一部の送電線を補強する工事を行いました。

このほか、北電グループは年に1度、関係するすべて部署が参加して訓練を実施し、仮にブラックアウトが起きた場合でも対応できるよう備えています。

巨大地震への備えは

3年前に胆振地方を震源とする震度7の揺れを観測した北海道で次に起こるおそれが高いとされているのが、北海道から岩手県にかけての沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」を震源とする東日本大震災クラスの巨大地震と津波です。

去年4月に国が公表した巨大地震の想定規模は、「千島海溝」沿いでマグニチュード9.3、「日本海溝」沿いでマグニチュード9.1とされていて、政府の地震調査委員会は、このうち「千島海溝」を震源とする巨大地震が切迫している可能性が高いとしています。

巨大地震による津波については、北海道がことし7月、東部の釧路町で最大で26.5メートルの津波が押し寄せ、苫小牧市では1万ヘクタール以上が浸水するなどといった想定を発表しました。

一方で、この巨大地震による被害の規模については、今も内閣府による検討が続いています。

被害が想定される自治体では、津波から避難する建物の指定を増やすなど対策が進められている一方で、徒歩での避難が難しいとされる地域もあるなど多くの課題が残されています。

加藤官房長官「自治体による調査・整備を促していく」

加藤官房長官は6日午後の記者会見で「政府は、復旧復興に向けた支援策に基づき、インフラの復旧や、生活、なりわいの再建など必要な取り組みを行ってきたところで、被災地のインフラの復旧復興は着実に進んでいる」と述べました。

その上で、大地震によって崩落が生じ、人命や家屋などに甚大な被害が発生する可能性がある大規模な盛り土の造成地について、自治体による調査を促進していくほか、災害発生時における自治体の業務の継続性を確保するため、庁舎の非常用電源の整備を促していく考えを示しました。