濃厚接触者の妊婦 腹痛もPCR未検査で受診できず流産 三重

三重県四日市市で、新型コロナウイルスに感染した夫の濃厚接触者と判断された妊娠中の女性が、腹痛などの症状が出たため医療機関を受診しようとしましたが、保健所の対応が追いつかずに、PCR検査を受けられなかったために受診できず、流産していたことがわかりました。

四日市市によりますと、8月下旬、市内の20代の男性が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、保健所の調査によって、男性の妻で妊娠中の20代の女性が濃厚接触者とされました。

四日市市保健所では、妊婦や基礎疾患のある濃厚接触者については、PCR検査を優先することにしていますが、感染の急拡大の影響で対応が追いつかず、女性は検査を受けられていませんでした。

女性はその後、腹痛や出血の症状が出たため、かかりつけの医療機関を受診しようとしたものの、PCR検査を受けていないことを理由に受診できなかったということです。

女性は翌日、別の医療機関で検査を受けて陰性と確認されましたが、この日のうちに流産したということです。

四日市市保健所には、女性を濃厚接触者としたあと、検査などについて女性とやり取りした記録は一切残っておらず、女性の流産についても親族からの連絡で初めて把握したということです。

四日市市健康福祉部保健所の市川和彦副所長は「大切な命を失ってしまう形となり、お悔やみ申し上げます。今後、これまで以上に市民の皆さんに不安を与えないように丁寧に対応していきたい」と話しています。
三重県は、今回の事例を受けて、濃厚接触者となった妊婦は、検査を徹底するよう県内のすべての保健所に対して求めるということです。