鹿児島で翼竜の化石発見 「薩摩翼竜」と命名

恐竜が繁栄したおよそ1億年前に生息し、空を飛ぶは虫類として知られる翼竜の化石が鹿児島県長島町で発見され、研究チームによって「薩摩翼竜」と命名されました。

東京都市大学の中島保寿准教授などの研究チームによりますと、翼竜の化石は長島町の獅子島にある、およそ1億年前の白亜紀の地層で見つかりました。
化石の大きさは長さ7センチほど太さ2センチ余りのだ円のような形で、翼竜の体の特徴と同じく内部は空洞であることが分かったほか、過去の研究事例とも照らし合わせた結果、翼竜の翼か後ろ足の骨の一部と結論づけたということです。

鹿児島県内で翼竜の化石が見つかったのは初めてで、研究チームは地元で愛着を持ってもらおうと「薩摩翼竜」と名付けました。

研究チームによりますと、翼を広げたときの大きさは同じ時代に生息していた、5メートル近くに上る翼竜「アンハングエラ」に匹敵すると考えられ、今後ほかの部位の化石の発見を目指し、詳細な分類を進める方針です。

「薩摩翼竜」の化石は、去年11月研究チームが、同じ獅子島の地層で過去に見つかった、海に生息していたは虫類「クビナガリュウ」の化石を調査している際に偶然発見したということです。

今回、翼竜とクビナガリュウの化石が近い地層から見つかったことから、研究チームは当時の生態系を探る上で重要な発見だとしています。

発見した宇都宮さん「鹿児島にあって意味がある」

研究チームによりますと、翼竜の化石は過去に長崎県や北海道などで見つかっていますが、北太平洋では日本以外で見つかったケースは少なく、温暖な気候のもと翼竜のグループの多様化が進んだとされる、白亜紀中期の生態系を研究するうえで重要な発見だとしています。

さらに、海に生息していた大型のは虫類「クビナガリュウ」と近い地層から翼竜の化石が見つかったことについても、当時のアジア近海の生態系を探るうえで重要な手がかりになると期待を寄せています。

東京都市大学の中島保寿准教授は「翼竜は空のは虫類なので、陸の上を飛んでいたか、海の上を飛んでいたかで、何を食べていたかやどこに巣を作るかといった生態が変わってくる。今回の発見は翼竜を海の生態系の一部として考えることができ、空から魚やイカを襲って食べるといった生態をもち、クビナガリュウと共存していた可能性を間接的に示すものだ」と話していました。

「薩摩翼竜」の化石は、今後、長島町に寄贈され、鹿児島市の県立博物館での展示が予定されています。

研究チームの1人で“サラリーマン化石ハンター”としてこれまでに数々の化石を発見し、今回の化石も発見した宇都宮聡さんは「ネーミングも“薩摩翼竜”ですし、鹿児島にあって初めて意味があるのではないかと思っています。たくさんの人に標本を見ていただきロマンを描いていただけたら、それがいちなん標本としても喜ばれるのでは」と話していました。

発見の様子はNHKのカメラに収められている

「薩摩翼竜」が発見された去年11月、研究チームは、もともと別の調査で長島町の獅子島を訪れていました。

獅子島の地層では17年前、今は大阪在住で「パナソニック」に勤める会社員の宇都宮聡さんが、クビナガリュウの化石を発見し「サツマウツノミヤリュウ」と名付けました。

宇都宮さんは東京都市大学の中島保寿准教授とともに「サツマウツノミヤリュウ」の調査で獅子島を訪れ、NHKの自然番組「ダーウィンが来た!」の取材班も同行していました。

そして、サツマウツノミヤリュウの発見場所から20メートルほど離れた岩場で、地層の表面に化石の一部が露出しているのを発見。

当初はアンモナイトの化石と思ったということですが、過去に翼竜の化石を北海道で発見したことがある中島准教授が見たところ、翼竜のものではないかと考えたということです。

その様子はNHKのカメラにも収められ、思わぬ偶然の発見に2人をはじめ、現場の興奮した様子や、その場で風化による損傷が進まないよう、応急的に接着剤で保護する様子がうつっています。

獅子島での化石の発掘には許可が必要なため、研究チームはその日は化石をもとの場所に戻して町役場に連絡し、後日、回収して研究にあたりました。

宇都宮さんは「表面に棒状のえたいの知れないものが露出していることに気付きました。てっきりアンモナイトかと思っていたのですが、中島先生と確認する中で、これは翼竜に違いないと聞いてうれしかったです」と話していました。